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ロザリオとバンパイア〜Another story〜

作者:じーくw
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第58話 冤罪事件










「……えー、さてさて皆さん。よくウチの部に入ってくれました! それではこれから 陽海学園新聞部の部活動を始めまーす!」


 それは、新聞部の新入部員歓迎会である。
 この学園の規模、そして、体験入部の際の人だかりを見たら。

 “ワーーー パフパフパフッ!! ♪”

 と、言う感じで一斉ににぎやかになるだろう、と思えるのだが。



 し―――――ん



 と、凄く静かだ。
 何故なら、僅か部員4名しかいないから。それも、新入部員である つくね、モカ、カイト、くるむの4人である。既存の部員は1人もいなかった。……来てないだけ?

「(そりゃ、“シーン”ってなるわな。猫目先生が言ってた人数少ないっていうの、本当(ガチ)なヤツだったんだ)」

 苦笑いをしている間に、この間がどうしても気になったつくねが。

「先生……。なりゆきで入部してこの部の事全然知らないんですけど、 たった4人なんですか? 新聞部って……?」

 早速疑問を。早速の質問タイムである。

「あら まーさか---」

 猫目先生が、つくねの質問に答える前に、タイミングを計ったかの様に新聞部の扉が開く。


「すみませーーん」

「ほら来たわよ もう1人の部員が」

 誰かが入ってきたのだ。猫目先生の言う新聞部の部員が。

「いや~~~ 申し訳ない 初日から遅れてもうて……」

 まず見えたのは、表情の前に、手に持たれていたバラの花束だった。
 虚を突かれた光景だったので、少しばかり言葉を失ってしまう面々。 

「はじめまして オレ新聞部部長 森丘(もりおか)銀影(ぎんえい) よろしく!」

 キラっと、ウインクさせながら、自己紹介をした。100万ドルの笑顔とはこの事かぁ、と思える様な、見事な輝く笑顔と共に。

「(部長!!?)」
「(んー……、はぁ、成る程。 大体どんなキャラかは想像ついた)」
「(へ? そうなの? カイト。たった一目で?)
「(ああ……、十分だよ。それに すぐわかると思うぞ? つくねにも)」

 カイトとつくね、2人で密談をしていたその数秒後、早速理解できた。

「おおぅ! 先生に聞いとったけど 何て美しい新入部員なんや!!」

 部長は、持ってたバラの花束をモカとくるむに差し出した。

「オレの事は 「ギン」って呼んでな! ギンちゃんでもOK ああ……、べっぴんはんには赤い花がよう似合う!」

 キラ キラ キランッ! と擬音を着けたい、と思える程の表情。本当に輝いて見える程の笑顔だ。
 でも、やっぱりなんとも表現しづらい。そんな顔で、モカ達に話していた。

「(……な? つくね。判っただろ?)」
「(う、うん。 そうだね。……なんと言うか、また個性的な人だね……)」
「(この学園だもんなぁ……、それにしても、男は完全スルーか。判りやすい)」

 ため息交じりであきれていると、ギン先輩は、くるむとモカの2人をキョロキョロと見ていたのに、今度は、モカだけをじっと見つめていた。

「??」

 モカは、あまりに突然の事だったから、思わず少し引き、そして 一体何なのか? と不思議に思っていると。

「ギン君は2年生でたった1人の部員でーす。 部でわからないことは銀君に聞いてね!」
「フッ 頼ってくれてええでーー」

 先生が軽く紹介をしてくれた。

「(うー、つくねー カイトー。その、わたし ちょっとこーゆー軽そーな人苦手ー)」
「((はははは………))」

 くるむがその後に加わってきたが、大体の人がくるむと同じ意見だろう、と苦笑しか出てこなかった。

「……えっと、それじゃあ わたしはこれから職員会議で席をはずします。後の部の進行はギン君よろしくねー!」
「ああ まかせてや!」

 必要最低限の説明を、ほんっとに少ない説明を終えた先生は、さっさと退場する様子だ。……本当に顧問?

「え!? 先生もういっちゃうの!?」

 つくねが慌ててそう聞くが。

「ごめんねーそれじゃあ、みんなも先輩とは仲良くね?」

 本当にあっさり退出して言った。教師と言う職業は、色々と大変なのは判る。……それが、こんな個性派揃いの、際物揃いの学校だったら、尚更だ。……だけど、そうだとしても、開始僅か2~3分で退出は幾らなんでも早い。

「(ほんっと、早い退出だなぁ……、猫目先生って、ほんとに新聞部の顧問なのかな?)」

 カイトは、半ば呆れつつ、ふぁぁっと 欠伸をしながらそんな風に考えていた。


 何はともあれ、顧問の猫目先生からバトンタッチしたギン先輩から、説明開始。

「……えーー というワケで まずオレから新聞部がどないな部か説明しとくな新聞部の目的は校内新聞の発行! 学園内のあらゆることを取材して新聞にするのが活動内容やな 取材のためなら危険の中へも突っ込んでいく! 言うとくがウチは甘い部ちゃうで 入った以上は覚悟したってや!」

 一通りの説明の時 表情が真剣になった部長。
 その表情、そして言葉を訊いて、一瞬だけだが部室の空気が変わった。

「(第一印象は………、だけど)何か頼りがいのありそーな先輩だね?」
「え? うん… そうだね」
「……思ったよりも、しんどそうかも………」

 カイトだけ若干違った意味で雰囲気が変わっていた。

「(正直……、文化部ってことで嘗めてた… ううん…)」

 思いっきり落胆しているのが目で見てわかる程に。

「(ちょっと、カイトどうしたの?)」

 くるむも、こういったカイトを見たのは初めてだったから、少し心配しながら聞いた。

「(うう…ん…)」

 カイトは、くるむに応える事なく、ただただ頭を悩ませているだけだった。

「(くるむちゃん、カイトはね……、その、部活動に対してなにかトラウマを持っているらしくって。多分ギン先輩の話で思い出してるんじゃないかな?)」
「(そーなの… じゃ!)」

 くるむは何かを思いついた様で……、と言うか、くるむが取る行動は大体同じだ。そのままカイトに抱きついた。

「わあぁ!」

 当然、くるむの行動は大体同じだけど、いつ来るのかはわからない。だからいきなりの抱き着きには当然驚いてしまう。カイトだって例外ではない。くるむは、そのままカイトに抱き着いて一言。

「大丈夫だよ! カイト!! 一緒にがんばろうよ!」
「ん…? あ ああ! ありがとな。くるむ」

 一瞬驚いたがすぐに理解した。自分の事を励ましてくれているという事が。だから、カイトはくるむに礼を言い、今までの自分の表情を思い返した様で、しっかりと気を持ち直していた。

「お前らな~、早速私語かーい! ウチは甘い部とちゃうって言ったばっかやろー? ちゃんと部長の言う事は聞くもんやで!」

 当然ながら、説明の最中の私語は失礼だろう。と言う訳で、しっかりと注意された。

「あ、 すみません」
「ゴメンなさい…」

 今回は完全に自分たちに非があるじゃら、カイトは勿論、くるむも素直に謝った。
 だけど、そんな2人を見て、にやっ、と笑うギン先輩。

「なーんてな! う・そ・や! カタイ事は言わん! 楽しくやろうや! これ ウチの宣伝ポスターや後ろの壁に貼っといてや!」

 どうやら陽気な人物の様だ。チャラそうな、第一印象はよそに、和を乱す様な事はしなさそう……、そして、ムードメーカー、とも言えるだろうか。

 部長とは、頭の固いイメージがあるのだが、新聞部は顧問もそうだが、部長も何処かお気楽で、人数こそ少ないが、雰囲気は決して悪くならなさそうだ、とこの時、つくねは思えた。

 そして、早速手渡されたポスターを受け取り。

「「「はい!」」」

 早速仕事開始である。








「先輩ーーーポスター貼るのこんなに上の方で良いんですか?」
「いや もうちょい上やな!」

 レイアウトは、全てギン先輩が決める。と言う訳で、モカとくるむがポスターを貼り、ギン先輩が指示を出していた。

「変なポスターだね…」
「個性があって…まあいいんじゃないか?」

 つくねとカイトは、指示された新聞部のポスターを、見ていた。人数が少ないのは、やっぱり部の存続にかかわる問題だから、兎に角外へアピールするのが必要となってくる。だからこその、宣伝、ポスター張りだ。

「さて、と。ここらの壁に貼るんなら、まだ少ないな。もうちょいポスターとってくるよ」
「うん! よろしく!」

 カイトは、この場をつくねに任せると、部室に備え付けられている資料室へ入っっていった。

「(それにしても…ギン先輩って軽そーだったり まじめだったり… いったいどんな人なんだろ?)」

 まだまだ、判らない部分のあるギン先輩。妖怪の学校だから、第一印象だけで全て決めるのは良くない、と言うのは当然だ。美人な水泳部の人達が、あんな化け物になったのだから、尚更、である。 そして、つくねは、何気なくギン先輩の方を見てみる……と。
 ギン先輩は、モカとくるむの後ろにいて……しゃがみこんでなにやら見上げていた。

「(って、まさか!? この人!!!)」

 不審に思ったつくねが、ギン先輩のそばに行くと。


~♪~♪~♪~♪~


 ギン先輩のいる位置が一番ナイスアングルだった様で……、ばっちりとモカとくるむのパンツが見えてしまった。

「せ、先輩! 何やってんスか!!  やめて下さいっ! まさかこんなことのためにわざと高いところにポスター貼らせているんですか!!?」

 つくねが、これ以上見せまい! とギン先輩の視界を遮るように身をのりだした。それが一番不味い行動である事も知らずに。

「…は? 何のことや?」

 ギン先輩は当然ながら知らぬ存ぜぬ。認める訳も無かった。

「って、とぼけないでください! 今2人のスカートの中覗いてたでしょ?」

 つくねは、誤魔化さずに追求すると、これまた暖簾に腕押し。

「フッ。 アホやな? このオレがそない お寒い事するわけないやろ?」

 またまた、100万ドルのキラキラな笑顔を見せながら知らぬ存ぜぬ。

「ななな、何ィィーーーーーッ!!」


 決して認めようとしないギン先輩。つくねは、2人の(特にモカの)パンツを見ていた事に、苛立ちもあったのだろう。そのまま少々言い合いになってしまっていた。
 当然、モカとくるむのすぐ後ろで、2人が騒いでいた為、何事か、と脚立から降りてくるモカとくるむ。

「? どーしたんですか??」
「どーしたの? つくね」

 そして、またまたタイミングを見計らったかの様に、資料室の扉も開き、カイトも出てきた。

「ふぅー… 流石は部員数たった4名だ。(いや 事実1人か? オレ達入ったばっかだし) 資料室… メチャクチャになってるし、埃まみれだし……ゴホッゴホッ……! ……んん? どうかしたのか?」

 全員が集合した所で、ギン先輩が一言。

「いやーな つくね君が、自分らのパンツを見てもーたんやって!」

「あらら……」

「「ええーーーーーーーーーーー!!?」」
「いや先輩でしょそれーーーーーーッ!!」

 それは、ねつ造されてしまった事実。つくねは必死に誤解を解こうとするが、全く嘘、と言う訳ではない。何せ、つくね自身も見てしまった事実は変えられないのだから。

 だけど、そんなの黙っていれば良いのに……、馬鹿正直に言ってしまった為(自分も見えちゃった)。


“パンッ!”“パンッ!”


 つくねは、モカとくるむに左右の頬にビンタの一撃を貰ってしまった。

「……大丈夫か? つくね。顔がおたふく風邪みたいになってるぞ……」
「はっはっはー アホやなー自分 おかげで今日の部活はおひらきやー」

 つくねは、なかなかに強烈なビンタを受けてしまって、呆然としていたのだった。








 そして、見られてしまった事に、羞恥と怒りを感じながら教室を出て行ったモカはと言うと、だんだん怒りよりも、恥ずかしさの方が勝ってきていて。

「や、やだ……、本当につくねに見られちゃったのかな? は、恥ずかしい。 ……今日は、どんなのだっけ……?」

 そーっと 自分の下着を確認しようとしていた。女の子は隠れた部分もしっかりとおしゃれをするものなのだ。それが、純粋に好意を持つ相手に見られてしまったのであれば、尚更 チェックをしなければならない。……それが女の性、と言うものです。

 と言う訳で、しっかりと確認をしようとしたその時。

『……何をやっているんだ?』
「きゃああああ!」

 モカのロザリオから、声が聞えた。裏モカである。

「な……、何だ……。 ロザリオ(あなた)か……」
『何だとは何だ……。それより気をつけたほうがいい』
「え?」

 まだ、ロザリオから話しかけられる事に慣れてないモカは、一瞬驚いたが、すぐに声の主が分かったため落ち着いたが、話の内容に疑問を持っていた。そう、『気を付けろ』と言う部分に。

『あいつからは何かやばい匂いがする 強い力でも秘めている匂いだ……。 あのギンって男には気をつけておけ……』
「!!!」

 裏モカの声、その忠告で間違った事はこれまでに一度も無い。
 だからこそ、モカは疑う事をせずに、その言葉を真摯に受け止めたのだった。










 ~翌日 陽海学園~

 昨日から、モカとは話をちゃんとできてなかったつくね。何度か謝ったけれど、それでも許してくれなかった。だから、今日こそは……と、思って登校中に、つくねはモカを見つけたから急いで声をかける。

「モカさんっ!」
「わたし えっちな人ヤダ!」

 だけど、モカはやっぱり昨日の事をまだ怒ってる様で、顔を紅潮させながらキッパリ言っていた。

「えーっ、ま、まってよ! まだ怒ってんの!? 昨日のは事故なんだってばー! ほんとだってーーっ」
「事故でもダメなものはダメなのっ! もー、つくねなんて知らないもん!」

 モカに拒絶されてしまって、つくねはまたまた呆然とした。そんなつくねに、擬音をつけるとしたら《ガーン》が、もっとも当てはまるだろう。
 
 因みに、モカの本心はと言うと。
 
「(別にそこまで本気じゃないけど……、見られたお返しに暫く口聞いてあげないんだから)」

 何処か、まんざらでもない様子だ。つくねに見られない様に、舌をぺろっ、と出してそう思っていた。モカはそこまで怒ってはいない。

「おはよう 2人とも」

 そこへ、同じく登校してきたのはカイト。

「あ、カイト! おはよー!」
「ああっ! カイト!! お願いっ! モカさんに言ってー、昨日のアレは事故なんだって!!」

 モカは、手を挙げてカイトに挨拶。……つくねは、ヨヨヨヨ~っと、涙を流しながらしがみついて来た。

「って、コラコラ! 朝っぱらからなんだ、一体。それに、オレは男にしがみつかれて喜ぶ趣味は無い。 離れろ」

 カイトは、つくねの頭を手で鷲掴みにして、強引に引き剥がした。顔は、涙と鼻水で覆われていて……、正直、汚い。

 それは兎も角、大体の状況を察したカイトは、つくねに。

「昨日のって……。大体な、つくね。オレは、昨日の事件(笑)の発生時、現場にはいなかったんだぞ? 何にも見てないから、弁解の仕様がないだろ? 無茶言うな」
「あああ!! そ、そーだった……」
 
 唯一の証人になってくれる可能性があったカイトにもそう言われて……、またまた落ち込んだ。

 つくねは落ち込んでいて、カイトは苦笑い。モカもどことなく楽しんでいる様子。少々いつもとは違うが、それでも平和な一時だった。


 ……いや、そうでも無かった。


 何故なら、そんな平和そうな3人を、影から見ている男がいたのだから。
 男は、一頻り動向を確認した後。

「なぁ、ちょっとええかな? そこの君ら」

 丁度、登校していた女子生徒に話しかけていた。

「ちょっと教えてほしいんやけど」

 因みに、隠す必要もないので、バラしておくが 彼はギン先輩。
 そして、まさにいつも通り。女の子には優しく爽やかな先輩!を演じている様で、とても素晴らしい笑顔を見せていた。たらしな性質を知っているのは、同学年以上の女子生徒に限るから、一年生である彼女達は知らない。

「なんですかー?(いい男♪)」

 つまり、友好的な目で見てしまっても不思議ではないのだ。

「あのつくねってやつと、カイトってやつ。……モカさんといつも一緒におるけど なんなんかなぁ? どっちかと付き合ってんの?」

 ギン先輩は、モカたちのほうを指をさしながら聞いていた。

「(な~んだモカさん目当てか。つまんないのー)えーーー よく知らないけど……、確かにあの3人良く一緒にいるね……。 う~ん、私個人としては、カイト君はわかるけど、正直な所、普通なイメージが強い、つくね君には、モカさんとは釣り合わないと思うかな~」

 そして、もう1人の女子生徒が、話に加わってきた。

「あ、だよね? 私もそう思った! ほら、つくね君普通すぎるし。モカちゃんって 女の私から見ても惚れ惚れする美しさなのにねー? その点、カイト君はかっく良いじゃん♪ とっても強いって噂だし! あ、でも……ホラ 噂じゃ、モカちゃんに関して言えば、つくね君の方ががカイト君より一歩リードしてるらしいじゃん。モカさんがつくね君の首に(・・)キスしてるの見た人もいるって! だから、モカちゃんは、つくね君と付き合ってるのかも……」
「ハァッ!!?」

 それを聞いた途端、ギン先輩は体をブルブル震わせた。

「あかん! シャレにならんでェ! それはシャレにならんでェー! つくね君ッッ!!!」

 突然、頭を抱えながら叫びだしたのだ。女子生徒の2人からすれば、それは奇行以外のなんでもなく、驚いてしまって急いで離れていった。

 イメージダウンに繋がりかねない状況で、迂闊だと言えるのだが、最早彼はそんな事は考えていない。

「(こーなったら、つくねをモカさんから嫌われるように仕向けなアカン! 昨日のあの程度じゃ、割に合わんわ)」

 何か悪い事を考え出したギン先輩は、足早に1年校舎へ向かっていったのだった。




 そして――彼の《計画》は実行されていく。



 着実につくねに迫る魔の手。このままだったら、つくねの運命はたいへん悲惨なものへと向かってしまうのだが……。

「あ、つくねだっ! おーい、つくね~~~って あれ?」

 1つの光明があった。目撃者がいた、と言う事だ。

 目撃者はくるむ。

 本当にたまたま、くるむが つくねがギン先輩と話しているのを見かけたのだ。そして、2人でどこかへ歩いていってしまったのも。

「(……あれ? どこにいくんだろう? ううーん、何だか気になるわね。昨日の件もあるし、何だか、ギン先輩って、胡散臭いのよねー。 うん、後を付けてみよ……)」


 何か気になったくるむが後をつけて、目撃した光景。


 それは、ギン先輩が、つくねに女子更衣室を覗かそうと誘導していた場面だった。
 その上に、その決定的とも言える瞬間をカメラに撮っていた。


 それだけじゃ飽き足らず、大声を上げて 女子生徒たちを呼び寄せてしまったのだ。



 その後にどうなるのかは、最早言うまでもないだろう。
 覗きをする様な男子を見逃す程、優しい女子は、この学園にはいないのだ。……むしろ、男よりも強い女の子が沢山いるから……、ただの人間であるつくねに抗う術など無い。

 そのまま、盛大にリンチされてしまうのだった。

 

 見てしまった、と言う事実は覆らないが、それでもつくねには、当たり前だが悪意はなく、わざとじゃない。……でも、つくねにとって、悲惨な運命には違いないのだった。










 
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