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提督はBarにいる。

作者:ごません
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提督と艦娘達の夏休み~浜遊び編・3~

「では、私は爽やかな口当たりのカクテルを」

 夕雲の注文だ。

「巻雲は甘いのが良いです、司令官様!」

 早霜から聞いて知ってはいたが、やっぱり甘いのが良いのか。

「アタシはノンアルのにしよっかな~、も少し泳ぎたいし」

 長波の判断は妥当だろう。飲酒の後での遊泳は誉められた物ではない。実際、酔って海に入って溺れ死んだなんて事故はザラにあった話だ。

「た、高波はお酒が入ってないのがいいかも……です!」

「あ、私もお酒無しのを…」

 高波と沖波の大人し目コンビはどっちもノンアルコールか。予想通りっちゃ予想通りだがな。

「アタイは酒の入った奴だぜ、ガツンとキツいのくれよな!」

「私もお酒入り!ココナッツミルク使った奴がいいなぁ」

 朝霜と清霜はどっちもカクテルをご所望か。朝霜はともかく、清霜が意外に感じるのは見た目と性格が幼すぎるせいか。

「あいよ、ちょっと待ってな。飯はこっちの設備じゃ出せねぇから、隣の間宮の店で買ってきな」

 そう聞いて数人が立ち上がり、間宮の店へと向かう。遊び疲れて喉の渇きだけでなく腹も減っていたのだろう。残った数人は楽しげにこちらを観察している。見られてるのもこっ恥ずかしいから、とっとと作っちまおう。



《夕雲リクエスト:モヒートのレシピ》

・ライトラム:40ml

・ライムジュース:10ml

・ライム1/4個

・ミントの葉:数枚

・砂糖:1tsp


 夕雲のリクエストは爽やかな口当たりのカクテルを、だったな。それならばカリブの海でイギリスの海賊が生み出したと言われるモヒートを作ろう。

「榛名、ライムを搾ってジュースを作ってくれ」

「りょ、了解です!」

 そう言って榛名はそそくさとライムと絞り器を準備して、ライムを搾り始める。タンブラーに砂糖(ブラウンシュガーがオススメ)と大量のミントの葉を入れて、マドラー等で押し潰す。あんまり潰しすぎるとミントから苦味が出るから注意な。彼の文豪ヘミングウェイはモヒートをこよなく愛したとされているが、彼はしっかりとミントを潰して苦みばしったモヒートを好んだとされているから、まぁ好みだな。そこにライムジュースとライトラム、スライスしたライム、クラッシュアイスを入れたら、お好みで炭酸水を加えてステアすれば完成。

「はい夕雲のリクエスト、『モヒート』だよ」

「じゃあ、いただきますね……ライムとミントが凄く爽やかで、いい感じですね♪」

お次は巻雲か、甘口なら……今度もラムを使った一杯にしよう。

《巻雲リクエスト:イエローバードのレシピ》

・ゴールドラム:30ml

・アプリコットブランデー:15ml

・バナナリキュール:15ml

・オレンジジュース:60ml

・レモンジュース:30ml

・砂糖:1tsp

 今度も榛名にオレンジとレモンを搾ってもらっている間に、カクテルに使う酒類を準備する。ゴールドラムやバナナリキュールは分かりやすいだろうが、アプリコットブランデーってのは杏を原料にした蒸留酒で、主にチェコやハンガリーで生産されており別名バラック・パリンカ。チェリーブランデー同様、杏を漬け込んだリキュールもアプリコットブランデーと呼ばれたりもする。

「提督、オレンジとレモンの準備が出来ました!」

「お、サンキュー」

 材料は準備出来たら後はシェイカーに材料を全て入れ、よくシェイクして氷の入ったグラスに注ぎ、カットオレンジとマラスキーノチェリーを飾れば完成。

「巻雲のリクエスト、『イエローバード』だ」

「いただきま~す!……ふわぁ、色んなフルーツの味がして美味しいです~♪」

 コクコクと飲んでいく巻雲の顔が真っ赤に染まっていく。巻雲も飲めない訳ではないらしいが、あまり強くないらしい。



「提督~まだか~?」

 カウンターに突っ伏したままの長波が呻いている。

「へいへい、ちょっと待ってな」

 この後も遊ぶつもり満々の長波には、フルーツでビタミンたっぷりのトロピカルドリンクを。

《長波リクエスト:ビタミンたっぷりトロピカルドリンク》

・ゴールドキウイ:1個

・マンゴー:1個

・グレープフルーツ:1/2個

・バナナ:1本

・パイナップル:50g

・クラッシュアイス(なければ角氷):1/2カップ

 グレープフルーツは果汁を搾り、他の材料はミキサーに入れやすい大きさにカット。カットした果物と氷、グレープフルーツの果汁を加え、滑らかになるまで撹拌する。トロみをあまりつけたくないなら、パイナップルも果汁を搾って加えるか、100%果汁のジュースにしよう。

「はいお待ちぃ、『特製トロピカルミックスジュース』だ」

「くぁ~!甘酸っぱくて美味いなぁコレ!」

 ゆっくり味わって飲めばいいのに、長波は腰に手を当てて風呂上がりに牛乳でも飲むようにゴクゴクと喉を鳴らして飲んでいる。オッサン臭いぞ、とは言わないでおいてやろう。さてさて、続けてノンアルコールのドリンクを作るかね。

《高波リクエスト:オレンジとマンゴーのトロピカルドリンク》

・マンゴー(缶詰):8切れ位

・100%オレンジジュース:100cc

・レモン汁:小さじ1~

・氷:家庭用製氷皿の大きさで3つくらい

 これは家庭でも作りやすいレシピだ。使うマンゴーは100均等でも売っているカットマンゴーの缶詰をチョイス。シロップは使わず、8切れ程をミキサーの中に。そこにオレンジジュースと氷、それに酸味をプラスするためのレモン汁をお好みの量加え、ミキサーにかける。

「お待ち、『オレンジとマンゴーのトロピカルドリンク』だよ」

「あ、甘くて美味しいです……!」

 高波は目を輝かせてチュウチュウとストローで飲んでいる。引っ込み思案で大人しい娘だと聞いていたが、神通に師事してからその傾向も変わってきているらしいーー良い事だ。




「司令、アタイ達の分はまだかい!?」

「早く早く~っ!」

 朝霜、清霜の二人は待ちきれないと言わんばかりに騒いでいる。いつもの事ながら姉妹の中でも騒がしい2人だ。

《朝霜リクエスト:ダイヤモンドヘッド》

・ドライジン:30ml

・アプリコットブランデー:20ml

・レモンジュース:30ml

・パイナップルジュース:適量



 ダイヤモンドヘッドといえば、言わずと知れたハワイのシンボルだ。あのハワイを象徴するようなTHE・南国という黄色い色彩とトロピカルな味わいのカクテルがこいつだ。作り方は、パイナップルジュース以外の材料をシェイクし、タンブラーに入れる。氷を追加し、パイナップルジュースでタンブラーを満たしたらステアしてカットパインとマラスキーノチェリーを飾れば完成。



《清霜リクエスト:ブルーハワイアン》

・ホワイトラム:30ml

・ブルーキュラソー:15ml

・パイナップルジュース:60ml

・ココナッツミルク:30ml


 これは有名なトロピカルカクテルの『ブルーハワイ』の変種のようなカクテルだ。ブルーハワイのレシピからレモンジュースを抜き、代わりにココナッツミルクを加えたレシピになっている。透き通るような真っ青な色のブルーハワイに対して、ブルーハワイアンはココナッツミルクが入る分白っぽく、淡い色の青いカクテルに仕上がるし、味わいもクリーミーになる。作り方は全ての材料をクラッシュアイスと共にミキサーにかけ、よく混ざったらグラスに注ぎ、カットしたバナナを一切れ飾れば完成。


「はいお待ち、朝霜が『ダイヤモンド』で、清霜が『ブルーハワイアン』だ」

 二人とも満足そうにストローで味わっている。

「あの~……私の分が、まだ…」

 おずおずと手を挙げたのは沖波だ。

「わかってるよ、ワザと最後に回したんだからさ」 
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