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IS 輝き続ける光

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怪物の武器

 
前書き
「初回から大蛇とは穏やかでは無いですね。貴方も大概鬼ですね」
「神に鬼とは、笑ってやろうか?」
「止めて起きましょう。しかしあれは何所から連れてきたのですか?」
「さあな、宇宙を彷徨っていた獣だ、それを使った」
「貴方ねぇ……それで地球滅んだらどうするんですか?」
「知らん」
「殺して良いですか」
「止めてくれ、神殺しは利かないがあなたのは痛い」
 

 
謎の怪物の無い乱入によって中止されたクラス別代表戦、パニックを起こす生徒達とそれを収めようと必死になる教師陣を尻目に事態を収拾した閃輝は能力を使用してさっさと部屋に戻り先程の怪物の事を考えていた。

「あの怪物、明らかに俺を狙っていた……。3組と4組の代表が居たのにも拘らず目もくれてなかった、どこかの国が送り込んできた生物兵器か?」
『それは考えにくい。このIS学園は言わばこの外界で最も重要な拠点の一つだ、そんな所にあのような怪物を投入すれば世界中から非難の的だ』
「だよな……それなら密偵とかの方が遥かに効率が良い―――それに」

懐から取り出したのは先ほどの怪物の頭部を模したようなガントレットのような物、怪物が爆散した後に唯一残っていた物だった。学園にでも引き渡そうと拾うとしたがこれは自ら望むように自分の手に収まった、謎極まりない。

「こいつも謎だ、しかもこれPEに感応してるんだぜ?装備として運用できるようになってる。解析出来るか?」
『了解した、黒檀とリンクし解析する』

端末からではなく黒檀からの直接の解析、フォンブレイバー自体の性能は外界のスーパーコンピュータに迫る性能だが矢張りPEの情報処理能力に比べてしまえば見劣りしてしまうし容量も天と地の差がある。それに感応しているのであれば解析もし易いと言う物。セブンはガントレットにリンクして解析を行うが漏れてくる声は余り芳しくない物ばかり。

『むぅ材質不明、物理法則を無視した構造不明も多々見受けられる。だがネットワークが機能している、それが謎だ。むぅ何とも言えないが機能自体は判明した』
「マジか」
『"マガオロチ"という武器だ。信じられんがダイヤモンドの比ではない硬度だ、鋼鉄に向かって拳を振るえば簡単に跡を残せるだけではない。バディ、君の力なら大地を割り地割れを起こすのも容易だろう』
「おいおい……」

調べて見れば見るほど恐ろしい代物だ、あの怪物はどうしてこんな物を残したのか。自分を破ったから託すと言う事なのだろうか。

『更にエネルギーを収束させれば破壊を呼ぶ雷、"マガ迅雷"という物を出せるらしい。これはあの怪物が口から出していたエネルギー攻撃だろう』
「マガ迅雷ねぇ……」
『解析終了、リミッターを施す事も成功した。使用するには問題ないだろうが余りお勧めはしないぞバディ』
「了解、一応格納を頼む」

閃輝の言葉を聞いて収納するセブン、指輪に収まった謎の武器。そして怪物、何かが狂い始めているのかもしれない……。何かが……。考え事を始めようと思った時フォンブレイバーの方に連絡が入った、咲夜からだ。

「はい」
『閃輝君今良いかしら?さっきの怪物について聞きたい事から織斑教員が顔を出せって言ってるけど来れるかしら?』
「俺は大丈夫です、場所は?」
『学園長室よ』
「了解。セブン案内頼む」

セブンの案内に従いながら部屋を飛び出した、急ぐ理由は当然咲夜からの呼び出しだからだ。因みに咲夜からの呼び出しでなければバックれる気満々だった。廊下を走って学園長室へと辿り着くとそこには机に座った男性に咲夜、千冬そして山田教員が居た。男性はニコヤカに笑うとこちらに来て欲しいと言った。

「待っていましたよ霧雨 閃輝君。私はここの学園長をしております轡木です」
「ファンタジスタ専属操縦士、霧雨 閃輝です」
「態々呼びだしてしまい申し訳ありません、しかし君からもお話を是非お聞きしたかったのです」

丁寧に柔らかな口調で話し学園長に抱いた印象は師匠である覇狼に近い物があった。直感的にこの人は信用に値するかもしれないと思考する、自分の勘はそれなりに頼りになる。

「まず事実確認からです。君は1組代表セシリア・オルコット君と2組代表の凰 鈴音君、そして十六夜君と共にピット内にいた。そして待機中にあの怪物が来襲した」
「はい」
「では問いましょう、何故アリーナに突入したのですか?」

重要な部分は此処だ。あのような場合なら教員の戦闘部隊が突入するのを待っていれば良かった、しかし彼はそれを待たずに突入し怪物を倒した。何故危険を冒してまで突入したのかその理由を聞きたかった。

「単純ですよ。そうしたかったからですよ」
「ほう……?」
「女子だらけのこんな場所に押し込まれて、ハニートラップやら女尊男卑思想の馬鹿共のせいでストレスが溜まりっ放しなんですよ。そしたら丁度良い獲物が飛び込んできたんでね、それと俺の力を見せ付けて置く為ですね」
「……やれやれ八雲氏の言葉通りの人物ですね」

轡木は思わず溜息と共にそう漏らした。霧雨 閃輝という男は何所までも自由で自己完結している、そしてそれを実行するだけの力と能力、意思があると。話して見て解った、彼は良くも悪くも純粋なのだと。

「おやあの人とお知り合いで?」
「軽くですがね。まあ君の行動のおかげで生徒達に被害が及ぶ前に事無きを終えました。そして十六夜さん、貴方のおかげで観客席の生徒達が迅速に避難できました、感謝します」
「閃輝の指示があったからやったまでです」
「しかし危険な事は控えてくださいね、ではお帰りになって結構ですよ」

そういうと千冬は信じられないと言う表情をした、何故厳罰などを与えないのだと。轡木は千冬など完全に無視して部屋から出ていく二人に手を振り真耶はゆっくり休んでくださいねと言葉を掛けつつ後処理を手伝ってくると部屋を出た。残った千冬は抗議するように机を叩きながら声を張り上げた。

「何故です学園長!?何故罰を与えないのです!?」
「はて与える必要がありますか?確かに危険な行為ですがそれによって多くの命が救われたのは確かです」
「ですが罰を与えなければ奴らはまた繰り返します!!」
「……貴方は彼らを獣か何かだと思って居るのですか?彼は理性ある人間です、それに……意識を失って仕事を一切していなかった貴方に彼らを非難する資格などありませんよ」 
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