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IS 輝き続ける光

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閃光

突如起きた爆破と衝撃、そして巻き上がった土煙がアリーナを包み込んでいた。管制室では全ての計器がレッドアラートでけたたましい音を鳴り響かせていた。

「なんだなにが起きた!?」
「わ、解りませんいきなりアリーナのシールドが一瞬破壊されたと思ったら瞬時に復元されたと思ったらこの衝撃です!?」

管制室にて審判及び管理を行っていた千冬と真耶はとにかく混乱していた。3組と4組の試合中にアリーナに張られている観客を守るためのシールドが破壊されたかと思いきや次の瞬間にはまるで破壊されていなかったかのように復元された、そして突如襲った大きな衝撃によって計器がレッドアラートを吐き出している。

「一体何が……」
「お、織斑先生あれっ!!!」

計器のチェックをする千冬に真耶が中央モニターを指した、映し出されているアリーナの土煙が少しずつ収まっていく、一体何が起きたのかが確認出来るようになっていく。がそこにいたのは彼女らが今まで生きてきた常識という領域には存在するはずもない異形の物であった。

やや黒ずんだ肌はどこか赤い、まるで血で染まった皮膚が乾燥して出来上がったような醜い物。人間のように直立歩行をしているが人間とは次元そのものが違う、酷く長く鋭い牙に翼のようにも見える広がっている突起物。悪魔にも見えるそれは人間の悲鳴にも聞こえるが聞くだけで鳥肌が止まらない。

「か、怪物……!!?」
「ぁっ……ああ……?!」

真耶は恐怖しつつもモニターに映っている観客席の生徒を見つめるとハッと我に返った。自分がくるってしまってはだれが生徒たちを助けるのかと、自分無理やり脅迫感に駆り立てて無理矢理体を動かして観客席に避難勧告を出す。だが

「えっ嘘システムに異常!?ゲートが閉まってる!!!?」

緊急避難の勧告を出したのに出入り口になっているゲートが何故か閉まっている、このままでは避難させる事が出来ず危険に晒すことになる。

「織斑先生如何しましょう!?お、織斑先生!?」
「ぁぁぁっ……」

縋るような声も届かなかった、千冬は真っすぐと来訪者を見てしまった。今までの人生で体験したこともない恐怖が身体中を駆け巡っている、狂気と恐怖に支配されてしまったのだ。思考は停止し唯々恐怖と狂気を咀嚼し続ける事しか出来なくなっている。冷静な判断を下せる千冬が使えなくなってしまい真耶はパニックの一歩手前まで来ていたがそこへ咲夜がやってきた。

「山田先生、状況は?」
「い、いいい十六夜さん!?え、ええっとですね!?」

藁にも縋りたい気分の真耶は咲夜に状況を事細かく丁寧に説明した、パニック一歩手前だというのに見事な説明だった。咲夜はそれに頷くと"503"とサードの変形コードを打ち込みコンピュータへと放り投げる、サードは手足を展開しつつ着地しお辞儀をする。

「サード仕事よ、観客席のロックを解除なさい」
『承知しましたバディ』
「け、携帯が動いてる!?」

いきなりの出来事に真耶は恐怖が吹き飛び驚きで支配された、目の前で所謂ガラケーが直立歩行をし喋っているのだ。サードは真耶へと丁寧に頭を下げた。

『初めまして山田様。私はサード、バディである十六夜 咲夜の"銀刃"の管理AIで御座います』
「A、AI……!?えっあ、ご、ご丁寧にどうも……」
『この身体は外部活動ユニット、通称フォンブレイバーです。この事はどうか機密でお願いします』
「サード、お喋りはそこまでよ。お仕事よ」
『畏まりました、イニシエイト・クラック・シークエンスアクセス開始!』

画面へと腕を伸ばすと次々とほかの画面にも侵食していくようにサードのフェイスパターンの映像が映し出されていく。真耶は一瞬どうするべきかと迷ったが素直に計器チェックを続けた、すると次々とシステムエラーが解消されていくのが見て取れた。そして僅か20秒後にはシステムは完全に修正させて復元され、ゲートが解放された。

『システムエラー復元及び修正完了で御座います』
「お疲れ様サード、アナライザーも不要だったわね。一応準備してたけど流石ね」
『この程度なら必要も御座いません。お褒めいただき恐縮至極』
「す、凄いあんな僅かな時間で!?す、凄いですよサードさん!!」
『お褒めにいただき感謝ですがさんは不要で御座います。サードと軽くお呼びください』
「さてと……後は」

中央モニターへと視線を向けるとそこには一人の少女を庇うかのように立ちながら剣を抜刀してる閃輝の姿があった。

「任せたわよ、閃輝君」


「見た感じドラゴン……って感じでもねえな、龍の気は皆無……おい動けるか?」
「……へっ、あっはい……」
「何よりだ、早く逃げな。あいつは俺が引き受けてやる」
「で、でも……わ、解った」

一瞬私も戦うと言いかけた少女は先程から自分が恐怖していることに気づき、自分に腹を立てつつ気を失っている対戦相手の3組の生徒を抱えてピットへと戻っていった。それを見ても怪物は尚閃輝をじっと見つめている。少女には興味など最初からなかったように。

「(こいつの目的は俺か……?)まあ、行くぜセブン」
『承知した、サポートは任せてくれ』

剣を納めそのまま拳を作るとそのまま走りだして怪物へと向かっていく。怪物は大きく咆哮を上げると翼にも似た器官を発光させると口内をバチバチと激しく輝かせた、禍々しい雷鳴を口内へと収束させていきある一点を迎えるとそれを閃輝に向けて吐き出すように打ち出した。それを真正面から突撃した閃輝は受けて吹き飛ばれそうになりながらも強引にそのまま突き進み顎へとラリアットを決めて強引にそれを吐くの止めさせた。

「おおらぁ!!」
―――ギュルアアアア!!!

激しい殴打の嵐が怪物へと決まっていくが怪物はまるで答えていないのかように咆哮を上げると閃輝の首を締め上げるように掴みそのまま持ち上げる。掴まれた閃輝はそのまま腕に組み付き四肢に力を入れて腕を自らの力でもぎ取ろうとするが怪物の身体は異常に強固で全く揺るがない。それどころか組み付いている閃輝を地面へと叩き付ける。

「うぐぉ!負けるかよぉ!!」


今度は距離を取ってから一気に蹴りを腹部へと決めると流石に応えるのか後退しつつ呻くが後退しながら体をひねった怪物は長い尾で閃輝をからめとるように巻き付いた。動きを封じられた……ではない、ワザとだ。腰に下げている剣の師匠から授かった冥神剣を魔力を込めて抜刀した。抜刀とともに弾けた魔力で尾は身体が離れてそこを尾を切り刻んだ。

―――ギュルグアアアア!!!

流石に尾を切り飛ばされた痛みを感じたのか怪物はうなりをあげて苦しんでいる、そこを見逃す閃輝ではない。斬撃を速度を上げて振るいその斬撃を停止させる。それを幾度もなく繰り返すと閃輝の周囲を魔力の光で構成させた剣が浮かんでいる。それは冥神剣を怪物へとむけると一斉に怪物へと向かって突撃していった、まるで主に忠実な猟犬のようだ。

怪物は先程のような光線を吐き出し剣を迎撃しようとするが剣はそれをまるで意志を持っているかのように回避して次々と身体へと突き刺さり肉をえぐっていく。物理的なものには強い身体を持っているがエネルギーの塊である光の剣は深々と傷を残しては爆発を起こしていき更に怪物の身体をえぐり返していく。

「ラストだッ……」
『魔法陣展開!』

苦しみもがきその場に倒れこむ怪物、必死に立ち上がろうとしても身体の傷が深すぎて立ち上がることすら困難になっていた。そしてそこへ輝きの光が灯っていた。

「速度とは重さ、重さは速度。重ければ重いほど速度は上がり速度が速ければ、速いほどに重さは上がる。高速から生み出される重量と威力、その身をもって味わうが良い!!」

剣の刀身に展開された魔法陣は時を重ねる毎に加速して回転していく、そしてそれが頂点になったとき一閃!!剣が振り抜かれた、いや視覚でそれを捉える事など出来なかった。出来たのは振り切られた剣と怪物に刻まれた一文字の傷であった。傷には雷光が走り、それは徐々に激しさを増していき怪物は大爆発を起こし消えてなくなった。

『戦闘終了、お疲れバディ』
「サンキュセブン」 
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