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提督はBarにいる。

作者:ごません
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艦娘とスイーツと提督と・1

 
前書き
ここから10話程ハーメルン時代のホワイトデーリクエスト企画の話となります。普段のような飯テロ要素はあまりないですが、甘ったるい雰囲気をお楽しみ下さい。 

 

~陸奥:ポン菓子~


「なぁ、陸奥よぉ。マジでやるのコレ?」

「あら?提督が何でも良いっていうから、これをリクエストしたんじゃない。」


 ホワイトデーの当たりくじ入りのクッキーを配った翌日、さっそく当選者からのリクエスト・第一弾がやって来た。それは予想外にも戦艦陸奥。こう言ってはなんだが、運の低い彼女が当たりを引くとは思っていなかった。

 そして今、二人で中庭に出て巨大な装置の前に立っている。陸奥のリクエストしてきた菓子を作るには特殊な装置が必要だった為、妖精さんにお願いして作ってもらった。相変わらずの万能ぶりだぜ、妖精さん。そのお菓子とは『ポン菓子』である。

 穀物に高圧と熱を加えて、一気にその圧を解放する事によって爆発的に膨らませる、昔懐かしい駄菓子。陸奥のリクエストはそれだった。




「いいか、近付くなよ!?絶対近付くなよ!?」

 既にポン菓子機の中の米は良い感じに調理されている。後は圧を解放するだけなのだが、その役目は俺がやる事にした。理由?察してくれ。

「もう、大袈裟ねぇ。妖精さんが作った機械なんでしょ?なら問題ないと思うけど?」

「俺が心配してんのは陸奥の方だよ!主にフラグ的な意味で!」

 ポン菓子はその名の通り、圧を解放する時に破裂音のような音がするのだが、音がデカ過ぎて破裂音というより、一種の『爆発音』に近いような音がする。

「ひどいわね~、ちょっと童心に帰って懐かしい駄菓子をリクエストしただけなのに。」

そもそも艦娘に童心があるのかはさておき。

「いやいや、ポン菓子じゃなくても懐かしい駄菓子は幾らでもあるだろうに。なんでわざわざポン菓子よ?」

 俺がそう言うと、陸奥はうーんとしばらく唸った後、

「うーん、敢えて言うなら……シンパシー?」

「ありがとう、これ以上無い自虐ネタを見たよ。」



「さぁさぁ、私は大丈夫だから景気良くやっちゃって、提督!」

「解ったよ……南無三!」

 圧を溜めていた弁をハンマーで叩いて解放すると、バアアァァァァン!と爆発音がして中に入っていた米が弾けるように飛び出して来た。飛び散っても良いようにビニールシートは敷いてあったが、いやはや凄いもんだ。

「~っ!凄い凄いとは聞いてたけど、ホントにすごい音だったわね。」

「鎮守府の敷地内でポン菓子作るなんざ、ウチくらいしかやらねぇよ畜生!」

 俺も負けじと自虐を言ってみたが、悲しくなってきた。

「温かいポン菓子なんて初めて食べたけど、美味しいわねコレ。」

「そうだなぁ。味付けしてないけど米本来の甘味とこのポリポリって食感がいいよなぁ。……あ?ほうじ茶淹れてきたんだ。飲むか?」

 中庭に置いてあるベンチに腰掛け、拾い集めたポン菓子をポリポリやりながら、ほうじ茶を啜る。意外と和むし、楽しいからたまにやるのは良いかもしれんな。

「……あら?何だか中が騒がしいわね。」

 耳を澄ますとバタバタと数人が走っている音がする。

「だな。大方島風辺りが廊下を走り回ってんじゃねぇのか?」

「でも、足音こっちに近付いて来てるわよ?」

 その瞬間、バァン!と弾かれた様に中庭に通じる扉が開かれた。

「て、提督!大丈夫ですか!」

 息を切らしながらやって来たのは大和……今日の秘書艦だ。

「陸奥も居るようだし、まさか……!」

 青ざめて居るのは武蔵。いや待てお前ら、幾らなんでもそれは。

「陸奥!私はいつもあれほど気を付けろと言ってあっただろうに……!」

 実の姉である長門のこの一言が陸奥にとどめを刺してしまった。

「…ねぇ提督。」

「……なんだ?」

「私、ちょっと泣いても良いかな?」

 陸奥の目には既に大粒の涙が溜まっている。

「……思いっきり泣いても良いぞ。」

 その後、大和と武蔵は平謝りし、長門など土下座までした。しかし陸奥の怒りは修まらず、長門は1ヶ月間無視され続けて狼狽えていたのはまた別の話。 
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