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提督はBarにいる。

作者:ごません
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提督の休日・7

 キッチンは狭いからな。先ずは俺が先に仕込んでしまおう。

「金剛、今のうちに風呂沸かしといてくれ。」

「ハーイ。任せるネ~。」

 よし、始めるか。米は土鍋で炊くとして、メインの方にとりかかろうか。鶏肉と根菜を使った珍しいレシピだ。

《鶏肉と根菜の豆乳〇〇〇》※材料は4人前

・鶏モモ肉:2枚

・ごぼう:1本

・じゃがいも(メークインがオススメ):2個

・しめじ:1パック

・青ネギ1/3束

・玉ねぎ:1個

・にんにく、生姜:各1片

・サラダ油:大さじ1

・水:500cc

・豆乳:300cc

・醤油、酢:適量

・ご飯:適量

・〇〇〇〇〇:1箱(書いたらバレる)

尚、付け合わせも適量(これも書いたらバレる)。

 先ずは材料のカットから。ごぼうは麺棒で叩いて5cm位の長さにちぎり、酢水に3分くらいさらしてあく抜き。メークインも一口大にカットして水にさらす。しめじは石附を落として小房に分ける。青ネギは5cm長さ、玉ねぎは繊維に沿って薄切りにし、にんにく・生姜はみじん切り。鶏肉は一口大に切る。

 材料を切り終えたら炒めて行くぞ。鍋を熱してサラダ油を引き、鶏肉を皮目を下にして強火で焼く。ひっくり返しながら両面に焼き目が付いたら、鍋の隙間ににんにくと生姜を入れて炒めていく。香りが立ってきたら玉ねぎを加えて炒める。玉ねぎが薄いきつね色になったら水気を切ったごぼう・メークイン・しめじを加えて炒める。具材全体に油が回ったら水を加え、アク取りをしつつ15分程煮込む。

 メークインに竹串を刺してスッと通ったら、ここで登場、カレールウ。そう、俺が作ってたのはカレーだ。カレールウを加えて5~8分煮てルウを溶かす。ルウが溶けたら豆乳を加え、更に青ネギを加えて一煮立ち。味見をして、醤油で味を整えたら完成だ。米も炊けたし、福神漬けとらっきょうも準備した。俺の方の調理は終わりだな。

「darling、お風呂はOKだヨ~。」

「お~、グッドタイミング。俺も終わったから交代な~。」

 金剛はクンクンと鼻を動かし、何を作ったのか当てようとしてるらしい。

「この匂い……カレーですネ!」

「あぁ、お前の好物だろ?」

 金剛は、恥ずかしいのだが俺の作るカレーに目がない。今回はまだ作ってやった事がないメニューだから楽しみにしていてもらおう。

「さぁ、今度はワタシが張り切って作っちゃいマスよ~!」

 ……ちょっと心配。



 俺はソファーに座ってテレビを見てくつろぎながらも、キッチンの様子が気になって仕方がない。今はトントンとリズムよく包丁の音がしているから、何かを刻んでいる所だろうか。ガスコンロには鍋が火にかけられ、何かをグツグツと煮込んでいる。……おっと、今度はフライパンを出して何かを炒め始めたな。この独特な香りは……

「金剛、もしかして今炒めてるのはラムの挽き肉か?」

「Oh!よく解ったネー。」

 ってぇ事は、茹でてるのはじゃがいもか?

「はは~ん、シェパーズパイか。ウナギゼリーじゃなくてよかったぜ。」

「もう!なんでわかっちゃうんデスか!」

 む~!と頬を膨らませる金剛。シェパーズパイはパイ生地を使わないがパイと名の付く、一風変わった料理だ。作り方を載せておくから、金剛好きの人は是非ともチャレンジしてもらいたい。

《芋と肉だけで超満足!シェパーズパイ》※材料は4人前

・ラム(子羊)の挽き肉(牛挽き肉や合挽き肉でも可):300g

・トマト:2個

・玉ねぎ:1個

・じゃがいも:3個

・バター:大さじ1

・バター(味付け用):30g

・オリーブオイル:大さじ1

・牛乳(常温に戻しておく):20cc

・塩、胡椒、ナツメグ:各適量

 玉ねぎはみじん切り、トマトは1cm角の角切り。じゃがいもは茹でてマッシュポテトにするため、厚めの半月切りにして水から茹でておく。

 フライパンにバターとオリーブオイルを各大さじ1ずつ入れて熱し、玉ねぎを炒める。玉ねぎが透き通って来たら挽き肉を加えて強火で更に炒める。俺が匂いで感付いたのはこの辺りだな。塩、胡椒、ナツメグを少々きつめに入れる。特にナツメグは肉の臭み消しと風味付けの意味を兼ねているので、少しキツいと感じるくらい振った方がいい。味もほぼここで決まるから、ここが薄味だとほとんど味を感じなくなってしまう。味付けをしたら角切りにしたトマトを加え、トマトの水気が無くなるまで中火でじっくりと炒め、火を止める。

 炒めた具材を耐熱容器に入れ、平らに均す。お次はじゃがいもを加工していく。

 茹でていたじゃがいもに竹串を刺してスッと通ったら、一旦ザルにあけて水気を切る。具材を炒めていたフライパンにイモをあけて粉ふきいもにする。熱いうちにボウルに移してマッシャー等で潰し、口当たりを滑らかにするために裏漉しする。

 裏漉ししたイモに、混ざりやすいように細かくしたバター30gと牛乳を加えてよく混ぜる。滑らかさが足りないようならバターと牛乳を同量加えてよく混ぜる。

 炒めた具材の上にマッシュポテトを敷き詰め、こちらも平らに均す。フォーク等で表面に模様を付け、220℃に余熱したオーブンで軽く焼き色が付くまで20~25分焼けば完成。




「darling~!終わったヨー!」

 シェパーズパイをオーブンに入れ終わったのか、キッチンから駆け出してきた金剛がソファーに寝そべっていた俺の上にフライングボディプレスしてきた。

「ぐえっ!」

 お前ねぇ、駆逐艦じゃなくて戦艦なんだから、自分の質量考えろっての、腰やっちまうわ。そんな事はお構い無し、といった感じに俺の胸板に顔を押し付け、グリグリと擦り付けて来る。お前はゴールデン・レトリバーみたいな人懐っこい大型犬かよ。前髪……というかアホ毛が顔に当たってくすぐったい。頭を撫でてやると薄いブラウンの髪はサラサラフワフワの手触りで、何だか長毛の猫を撫でているような感触だ。こういう無邪気な所も、妹達を思う長女らしい姉らしさも、全部ひっくるめて好きになったんだ。

「あ、そうだ。パイが焼けるまで時間かかるだろ?風呂入るか……一緒に。」

「ふぇっ!?///」

 ……そうそう、こういうチョロインなトコも可愛らしくていじらしくて、好きなんだよな。 
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