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オズのビリーナ

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第五幕その十一

「けれどね」
「それでもなんだ」
「そう、彼はね」
「悪戯好きだから」
「あまり全てを受け入れないで欲しいが」
「またああした子が増えたら大変よ」
 ビリーナはすっかり国のお母さんになっています、女王様であると共に。
「もうね」
「ううん、そうなんだ」
「そうよ、本当に」
「僕ああした鶏になりたいのに」
「王様みたいになりなさい」
 ビリーナはご主人を見てカミーユに言います。
「こうした立派な人にね」
「立派になるっていいことなの?」
 カミーユは首を右に傾げさせてビリーナの今の言葉に応えました。
「それって」
「何言ってるのよ、悪い筈がないでしょ」
「だって生真面目に生きるだけが人生じゃないよ」
「だからっていうの」
「うん、僕はリンチェンさんとかね」
 さらに言うのでした。
「リンキティンク王みたいに生きたいんだ」
「ああした騒がしい遊び人になりたいの?」
「自由に生きるね」
「自由なのはいいけれど」
 それでもとです、また言うビリーナでした。
「悪戯が過ぎるのは駄目よ」
「リンチェンさんやリンキティンク王みたいに」
「そうよ」 
 まさにというのです。
「私もやんちゃだけれどあんたは遥かにだから」
「物事には限度があるのだよ」
 王様もカミーユに再び言います。
「普通の悪戯好きならいいけれど」
「僕は度が過ぎているんだ」
「そう、そんなのだと大変だよ」
「いいと思うけれどね、僕は」
「全く、これじゃあ本当にリンチェンみたいになるかな」
 王様は困ったお顔で言うのでした。
「この子は」
「参ったことね、まあこの子にはずっと言っていきましょう」
「そしてだね」
「育てていくことにして」
「そう、子育ては諦めないことだからね」
「諦めたらそれで終わりよ」 
 子育てはとです、ビリーナは王様に言います。
「それでね」
「そうだね、諦めず何度も何度も言っていく」
「そうすればね」
 まさにというのです。
「次第によくなっていくから」
「諦めないでいきましょう」
「言っていこうね、それはそうとして」
 ここで王様は話題を変えました、その話題はといいますと。
「君は今度国に素晴らしいお花を持って来てくれるとか」
「そのお話ね」
「どういったお花なのかな」
「虹色の菫よ」
「虹色の?」
「そう、虹色に輝く菫があるのよ」
 こうご主人である王様にお話するのでした。 
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