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提督はBarにいる。

作者:ごません
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変わりダネ!かき揚げ特集

 昼飯を終えてからも仕込みは続く。何せ250を超える艦娘をのご馳走だ。幾ら準備しても終わる気がしない。午後イチの俺の仕事は年越し蕎麦用の天ぷらを揚げる事だった。

「海老に鱚、穴子にかぼちゃ、蓮根、烏賊……。なんか代わり映えしねぇな。」

「そうなんよ~。毎年同じような天ぷらばっかりで皆も飽きて来とるんじゃ。」

 一緒に天ぷらを揚げていた浦風が溜め息を吐いている。……しかしまぁ、隣に立つとより解るが駆逐艦離れした体つきだ。しかも料理上手で世話好きときた。ホントに良い嫁さんになりそうな娘が多いよな、艦娘って。

「そうじゃ!提督さんが変わった天ぷら作ってくれん?ウチも手伝うけぇ。」

「お、俺!?……まぁ、いいか。んじゃあ適当に冷蔵庫漁って来るわ。」



「取り敢えず、かき揚げが無いから変わりダネの奴を何種類か作ってくぞ。」

 まずは定番か、烏賊のゲソと三つ葉のかき揚げだ。烏賊は水分を多く含む為に揚げるとバチバチと油が跳ねて揚げ難いネタだ。特にゲソは吸盤の影響で特に跳ねやすい。

「まずは吸盤の下処理だ。浦風、ゲソの吸盤に付いてる歯を洗って落としてくれ。」

 烏賊の吸盤には蛸のそれとは違い、獲物に食い込ませる為に歯が付いているのだ。これをしっかり取り除いてやらないと歯触りが悪くなる。流水で烏賊のこするようにゴシゴシと手で洗う。すると手に感じるざらつきが徐々に無くなってくる。これを完全にざらつきが無くなるまで洗い落とす。

 下処理が終わったら三つ葉とゲソの長さを切り揃えて天ぷらの衣に混ぜる。そして小さなお玉に掬い、熱した油に静かに入れてやる。ジュワアアァァァ……という音が次第に、パチパチと弾けるような音に変わり始める。

「ひゃんっ!」

 油が跳ねて顔に飛んできたらしい。可愛らしい悲鳴を上げて身体を竦める浦風。その動きで胸がブルン、と揺れる。いやぁ、眼福眼福。……じゃなかった、

「大丈夫か浦風?」

「だ、大丈夫じゃ……でも、今悲鳴上げたのは恥ずかしいけぇ、誰にも言わんといてね?」

 勿論ですとも。他の人に話すなんて勿体無い。



 さて、お次は蕎麦の具だけじゃなくツマミにもなる天ぷらを作っていくぞ。用意するのはちくわと枝豆。

「ちくわは縦に4つに割って、その後細かく刻んでくれ。」

 枝豆は茹でて塩をして冷凍した物を使用。冷凍食品で売ってる枝豆でもいいし、最近はむき枝豆なんてのも売ってるからな。ポイントとしてはちくわのサイズを枝豆の粒より小さくした方が食べやすいし、衣も絡みやすい。

 衣に多少塩を混ぜ、ちくわと枝豆がしっかりと全体に混ざるように絡める。こっちは少し小ぶりにした方が食べやすいので大きめのスプーンに掬い、熱した油にイン。具材は生でも大丈夫な物だから衣に火が通ったら完成だ。

「ホレ、味見。」

 軽く油を切ってまだ熱い状態のちくわのかき揚げを浦風の口に放り込んでやる。

「あひ、あひ、あちちち……もう!何するんじゃ提督さん!」

 浦風はむくれて頬を膨らませている。そういうリアクションが楽しいからやっちゃうんだよ、実際。

「ハハハ、悪かったよ。…でも美味いだろ?コレ。」

「うん、味は悪くないね。お酒にも合いそうじゃ。」

「え?浦風も飲めるのか?」

 驚く俺を尻目に、浦風は呆れたように溜め息を吐いた。

「なぁに言うとるんじゃ提督さん。寧ろ飲めん娘を探す方が難しいよ?この鎮守府は。」

 そ、そうだったのか。今年一番の衝撃的ニュースかも知れん。気を取り直して調理再開といこう。



「それで?次は何のかき揚げをつくるんじゃ?」

「次はな~…コレだ!」

 俺が取り出したのは納豆とニラ。意外や意外、この2つのかき揚げは飯によし、酒によし、饂飩・蕎麦にも勿論よしと、是非とも試してもらいたい一品だ。

「まずはニラだ。食感を楽しみたいなら3cm位の長さで切り揃える。風味を楽しむなら小口切りだな。」

 今回は食感を楽しみたいので長めにカット。

「ほんで?もう1つの材料の納豆はどうするんじゃ?」

「納豆はよ~く練って、粘りが強くなったらそこにニラ、天ぷらの衣を加える。たれも後からだぞ。」

 浦風が納豆をパックから空けてボウルに移して練っていく。使う納豆の種類だが、中粒や小粒よりもひきわりを個人的には薦める。混ざりやすいし、具の偏りが少なくなるからな。衣を加えてよく混ざったら、ちくわのかき揚げ同様、大きめのスプーンで成形して油へ。コレも衣に火が通れば十分だ。

「うん、コレもイケるね!」

「個人的にはもう少し塩気が欲しいがな。……まぁ、食べる時に醤油なりかけて食べればいいか。」



「さて、と。今で3種類か。じゃあ後1つ、作ってみるかな。浦風、フードプロセッサー借りてきてくれ。」

「ん?何につかうんじゃ、そんなモン。」

「いいからいいから。あぁ、刃はおろし金でな。」

 首をしきりに傾げながら、浦風が借りに行っている間に、俺はメインの食材を支度する。皮を剥き、フードプロセッサーに入る位の大きさにカット。中にはちりめんじゃこと万能ネギにするか。

「借りてきたよ、提督さん……って、大根!?」

 そう、大根だ。正確には大根下ろしのかき揚げだな。

「そがぁなモン美味いんか?」

「まぁまぁ、食ってみてからのお楽しみ、ってな。浦風は大根下ろしを作って、軽く水気を搾ってくれ。」

 言われるがままに大根下ろしを作っていく浦風。俺はその間にちりめんじゃこを炒り、万能ネギを刻む。

「出来たよ、提督さん。」

「そしたら、大根下ろしにじゃこと万能ネギ、そして天ぷら粉を入れてよく混ぜる。」

「天ぷら粉は水で溶かなくてええんか?」

「溶いたら大根下ろしの水気を搾った意味が無くなるだろ……。んで、これを成形して油へ入れる。」

 少し平べったい形にして揚げてやると揚がりやすいぞ。表面が固くなってきて少しきつね色になったらOKだ。

「ホレ、食ってみろ。」

「な、なんじゃコレ!まるで餅みたいじゃ!」

 そう、大根下ろしに小麦粉を加えて揚げると、まるで餅のような食感になる。勿論、揚げずに焼いてもOK。普通の餅米を使った餅よりもヘルシーだし、繊維質たっぷりで体調管理にもうってつけだ。 
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