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英雄伝説 絆の軌跡

作者:フェルト
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第7話 身喰らう蛇リベール拠点

リベールにとって飛行船は切っても切り離せない関係だ。軍用飛行船から始まり五大都市を行き来する定期飛行船、白き巡洋艦アルセイユ等は最たる物だろう。
他の国でも製造されているがリベールの粋には到底及ばない。
しかし1つだけ例外な国…いや組織があった。
身喰らう蛇である。結社は飛行船だけではなく人形兵器、飛行船、導力通信機等で通常ではあり得ない技術を有している。

「まさかあの化け物を導入するとはな」

「リベールを焦土に包む気かしら?」

「流石にそれはないでしょう。そんな事をしても害はありませんが利もありません」

ヴァルターの言う化け物とは人間ではなく戦闘飛行船だ。
当然ただの飛行船ではなく全身に自動砲台が設置されており素材は結社内で特別に製造されているグルタレゴンによりあらゆる攻撃を凌ぐ。ルシオラが言ったとおりリベール程度なら簡単に焦土と化してしまう。
あまりの凶悪性故に使用する際には盟主に許可を貰う必要がある。

グロリアスがリベールに来るにはまだ時間がある。普通に来たのでは軍に見つかるからだ。鎮圧させるのは容易だが結社はあくまでも秘密裏に活動する組織で表舞台に安々と姿を表すわけにはいかない。
その為、光学迷彩機能がついているが他にも軍を追い払ったり下準備が必要である。
その下準備はとっくに済んでいるため、メルト達は暇を持てあましていた。
それも少しの時間だけでメルト、レン、ワイスマンは任務の為リベール拠点へ向かった。
リベール拠点はヴァレリア湖にある。ヴァレリア湖は五大都市に囲まれた大きな湖で定期的に軍による巡回がある。それでも見つかってない理由は空中にダミー映像を移して何もない空間を装っているからだ。

エステル達がボートを使いリベール拠点に来たのを監視カメラで見たメルト達。拠点に乗り込んだにも関わらず特に迎撃をしないのはすでに別の場所…グロリアスに移したためだ。ワイスマンとレンは楽しそうに、メルトはそんな2人を時々見ながら映像を見ていた。

エステル達が先に進むと遊撃士のグラッツが表れた。アガットが声をかけるが何の反応もせずいきなり襲いかかってきた。理由は単純明快でワイスマンが暗示をかけたためである。グラッツは中堅所の遊撃士だが成長を続けているエステルや重剣の異名をもつアガットには勝てず最後はケビンが暗示をとき退けた。

端末を調べ、カードキーを手に入れた一向はエレベーターで次の階へ向かう。
最低限の防衛として人形兵器が配備されているが、難なく倒し先程と同じくカルナとの戦闘に入る。
カルナは遠距離担当で人形兵器を前面に押し出し対応するがあっという間に陣形が崩れ暗示をといた。

最後はアネラスが立ち塞がった。アネラスはエステルと共にル・ロックルで訓練を受けた。その訓練で好敵手となったアネラスとこんな形で戦うことに戸惑いを見せるエステルだがケビンの一言により立ち向かった。
アネラスは今まで戦ったカルナ、グラッツより強敵だったが訓練中に戦闘の癖を見つけたエステルには敗北した。

アネラスから衝撃の言葉を聞いたエステルは拠点の奥へ急いで向かっていた。「ヨシュア君を見かけたよ」エステルが結社の陰謀を阻止する為の一番の目的であるヨシュア。今まで全く音沙汰がなく、グランセルでは偽の手紙を掴まされたがようやく手掛かりを掴んだ。早くヨシュアに会いたい。その一心で進むエステルのスピードは凄まじいものだ。何せあのアガットが軽くバテる程である。
途中の人形兵器を棍の一振りで機能停止させつつ拠点の奥へ向かうとそこにはヨシュアが倒れていた。

「嘘…ヨシュア…?」

ヨシュアは敵に倒され動けなくなっていた。エステルの頭の中ではその瞬間様々な想いが渦巻いていた。カシウスに頼んで無理矢理にでもヨシュアを保護することや自分は何のためにここまで来たのか。
エステルがショックに明け暮れていると突如、アガットの声が聞こえた。

「エステル、下がれ!」

咄嗟に棍で防御態勢をとるとヨシュアが斬り掛かってきた。不信に思った一同が戦闘態勢をとるとヨシュア型の人形兵器が表れた。

「ふーん。エステルもそれなりに反応速度は良くなったのね」

「当然だろう。彼女はレーヴェも一目置いている実力なのだから」

「教授…流石にこれは余りにも酷くありませんか?」

「別に酷くなんかないさ。これは一種の実験。自分の思い人と似ているモノを見たとき、ヒトは抗うことが出来るのか否か…」

エステル達から見えないように仕切りの向こう側から見ていた3人は思い思いの言葉を出す。唯一メルトだけが良心をもっていて出来ることならばエステルに真相を伝えヨシュアと再会させたい、そう思っている。

ヨシュア型の人形兵器に翻弄されているエステル達。姿だけ似ているのであればまだ対処は出来たが、ヨシュアと同程度の実力をもつ兵器に為す術もなくやられている。
そこから状況が変わったのクローゼの導力魔法『ダイヤモンドダスト』が発動してからだ。
クローゼは護身用としてレイピアを構えているがそれはあくまでサブ。最も得意とするのは導力魔法を駆使した援護である。
クローゼは次々にくる攻撃の最中、わずかに攻撃が来るタイミングが遅い場所を見極めほぼ一瞬で導力魔法を発動させた。
通常導力魔法は導力器を駆動させてから発動させるまでタイムロスがあるが実は人によって多少異なる。
導力魔法を苦手とする者は簡単な魔法でも時間がかかるが導力魔法を得意とする者は短縮される。更にクローゼは最大限に活かすため駆動時間を短縮するクオーツ『刻曜珠』をセットしていた。
これは駆動時間を大幅に短縮するが攻撃、防御、導力魔法の攻撃力を下げてしまうデメリットをもつ。
クローゼにとって扱いが難しいが質より量、即ち攻撃力が下がってもその分魔法を多く当てることによりダメージを与えた。更に装備品も魔法攻撃力をあげる装備をしておりこれによりダメージも多く与えることに成功していた。
そこから陣形が崩れ始め人形兵器の破壊に成功した。
戦闘終了後、体力を回復させているとエステル達の目の前に結社の構成員…ワイスマン、メルト、レンが表れた。

「実に見事な戦いだったよ。しかし少々遅すぎたようだ」

「え…?」

エステル達が呆気にとられているとワイスマン達の前に壁が表れ、睡眠ガスが充満し始めた。

「しまった、罠か…」

アガットがそう呟くが眠りに落ちてしまいガスがなくなった頃、壁がおり始めた。

「ではレーヴェ、後は宜しく頼むよ」

「ふふ…いよいよね♪」

「俺としては気が進まないのだがな…」

「それは私も同じですが…レオンさん、丁重にお願いします」

「あぁ」

そう返事するとレーヴェはエステルを運び飛行船へと向かった。
その少し後にケビン達は屋上へ向かったがすでに遅くエステルを乗せたまま飛行船が飛び始めた。 
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