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オズのビリーナ

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第二幕その七

「皆はビリーナの国に行ったことはないわよね」
「私はあるわよ」
「私もね」
 ガラスの猫とエリカはこうトロットに答えました。
「それも何度もね」
「あの国に行ったことがあるわ」
「オズの国にいたから」
「ちゃんとあるわよ」
「私達ですね」 
 ナターシャがトロットに応えました。
「つまりは」
「ええ、これまでなかったわよね」
「はい、なかったです」
 実際にとです、ナターシャはトロットに答えました。
「だから楽しみです」
「じゃあ楽しみにして行きましょう」
「マンチキンの国には行ったことがありますけれど」
「それでもです」
 ジョージと神宝もトロットにお話します。
「ビリーナの国にはまだです」
「行ったことがありません」
「だからどんな国か」
 カルロスも言います。
「興味があります」
「はじめてですけれど」
 最後に恵梨香がトロットに聞きました。
「楽しみです」
「楽しみにしてないと駄目よ」 
 先頭を行くビリーナは皆の方を振り向いて言いました。
「そこは」
「絶対になのね」
「そうよ、だって私の国なのよ」
 だからだというのです。
「楽しくない筈ないじゃない」
「そう言うのね」
「そうよ、私の子供達と孫達がいて」
 そしてとです、さらにお話したビリーナでした。
「子孫達がさらにいるのよ」
「ビリーナの」
「私と夫のね、鶏に必要なものは全部あるし」
 それにというのです。
「鶏を脅かす存在がないのよ」
「鶏にとっての楽園なのね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「あんないい場所はないのよ」
「そうなのね、けれど」
「けれど?」
「貴女達にとっては楽園でも」
 ナターシャは目を瞬かせてからビリーナに問い返しました、ナターシャ達五人は何時しかビリーナの周りにいます。
「私達にとってそうかしら」
「人間にはっていうのね」
「ええ、どうなのかしら」
「楽しい場所に決まってるでしょ」 
 ビリーナはナターシャに今回もあっさりと答えました。
「それは」
「それはどうしてなの?」
「だって何も怖いものがなくてね」
「お国の中に」
「その周りにもね」
 一切、というのです。
「ないから」
「それでなんだ」
 ジョージはビリーナのお話を聞いて言いました。
「僕達にもいい国っていうんだ」
「そうよ」
「何かこれまで狐さんの国とか巡ったけれど」
 神宝は前の冒険のことから考えます。 
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