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ヒカリアン・フォーエバー

作者:7仔
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プロローグ"ウィンドロード"
  ”ウィンドロード”3

富山ではまた違う出会いがあった。地元の地方鉄道の電車たちだ。
最初からここで働いている電車もいたが、大きな私鉄から移った車両もいたのだ。
そのひとりがアルペン氏。初代の西武レッドアローと聞き、私はびっくりした。
何でも、足回りなどはドナーとして今のレッドアローに上げてしまって、自分はJRの特急から部品をもらったそうな。
もうひとり、元京阪特急のサブ氏(形式10030形・・・インフレ数字だ・・・)。
最近、京阪時代の塗装に戻そう、更には京阪から二階建て車までもらおうと考えているようだ。
アルペン「北陸新幹線が延びたら、ぜひまたよってねー越中三郷(地鉄の駅)。」
サブ「大阪でたこ焼き屋やっとるわしの後輩に会う(おう)たら、よろしく言っといてくれや。」
サブ氏の後輩は今の京阪特急。私も会ったことがある。今頃は大阪と京都でたこ焼きチェーンでも展開しているのだろうか。

小矢部市に着いた。広い砺波平野の向こうにある倶利伽羅峠。そこを超えれば、いよいよ石川県だ。
富山から石川側へ抜けるトンネルがあるが、自転車は通れない。回り道をして登っていくしかない。
だが、私は疲れと油断のせいか、峠へ向かう途中、ふらついて溝にはまり、思いっきり転倒。
後ろに縛ってあったターゴの骨壷が落ちそうになり、それをあわてて受け止めた。
骨壷自体は割れなかったが、入れていた箱の角に顔をぶつけ、切ってしまった。
幸い近くの民家に住む親切な人が見つけて手当てしてくださった。
その人に、自転車で倶利伽羅を越えていくことについて話すと、「君だったら全く問題にならないよ。」と言われた。というのも・・・
「実はね、ボクの親戚が金沢に住んでいるんだけど、自転車で倶利伽羅を越えて顔を見せに来たんだ。君のような長距離旅行用のバイクじゃない。ぼろいシティバイクでだぞ。無茶なヤツだよ。最後の一息、がんばってな。」

いよいよ倶利伽羅峠を越える。きつくはあったが、今までに比べれば全く楽勝。
それに、ターゴの遺骨と一緒にいることを怖いと感じなくなった。彼と、それに自転車と三身一体になるような気持ちにさえなった・・・。

倶利伽羅を超え、あっという間・・・とまではいかないが、とうとう金沢まで辿り着いてしまった。
言い忘れたけど、目的地は卯辰山近くにあるR願寺というお寺。ターゴの遺骨はそこの墓地に納められるそうだ。
途中、東金沢駅近くにある車両基地のそばを通った。
そこでは、ボンネット特急のヒカリアンの完全引退セレモニーが行われていた。
サンダーバードもいた。確か、ウエストの旧友だ。声をかけようかとも思ったが、今はターゴを送り届けてやることが先決だ。 
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