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4部分:第三話


第三話

                第三話   二人のヴォーカル
「最後はヴォーカルだけど」
 美奈子が言った。
「それは当然」
「あたしよ」
「私が」
 何と華奈子も同時に名乗りを挙げたのであった。二人はそれを聞いて顔を見合わせた。
「えっ、華奈子」
「美奈子も!?」
 二人は顔を見合わせた後で次はお互いに顰め合わせた。
「これは譲れないわよ」
 最初に美奈子が言った。
「あたしも」 
 そして華奈子も。二人は譲ろうとはしない。
「歌には自身あるんだから」
「あたしは踊りもよ」
「私だって踊りは」
「あら、バレエのダンスとヒップホップとかのダンスは違うわよ」
「それはどうかしら」
「あら、あたしの運動神経に勝てるのかしら」
 珍しいことに姉妹でいがみ合いを続ける。そんな二人に春奈が言った。
「あの二人共」
「何!?」
 二人の目は最初は実にきついものであっただが春奈はそれを意に介さないで続ける。
「二人一緒にやればどうかな」
「一緒に!?」
「ええ。その方が歌にも音楽にもバリエーションが出来るし」
「ううん」
 二人はそれを言われて考えはじめた。
「どうかな、丁度二人共声も違うし」
 美奈子の声は澄んだものであり華奈子の声は元気がいいものだ。だが両方共実に奇麗な声であることには変わりがない。
「丁度いいと思うけれど」
「そうね」
「言われてみれば」
 二人はとりあえずそれに頷くことにした。
「じゃあそれで決まりね」
 春奈はそれで話が収まったと見てにこりと微笑んだ。
「ヴォーカルは二人」
「どっちもメインでね」
 美樹がここで付け加えた。
「頼りにしてるわよ、御二人さん」
「ええ、まあ」
「じゃああらためて宜しく」
 二人はまた顔を向けて頷き合った。これでとにかくグループのメンバーは決まった。
「後は」
「グループ名どうするの?」
 ここで赤音が言った。
「あっ」
「そういえば」
「どうしようかしら」
 リーダーの梨花もそれは考えていなかった。話はまだ終わってはいなかったのであった。


第三話   完

 
                   2006・8・12



 
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