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ドリトル先生の名監督

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第十一幕その四

「激しいね」
「身体と身体のぶつかり合いだね」
 ここでも二つの頭で言います。
「これじゃあ怪我もね」
「気をつけないと」
「うん、稽古の時から思っていたけれど」
 ホワイティも言います。
「激しいね」
「ここまでぶつかると」
 トートーは心配そうに見ています。
「本当に怪我が起こりそうになるね」
「だから先生は柔軟体操とかを大事にって言ったんだね」 
 ダブダブも土俵の勝負を凝視しています。
「怪我をしない様にって」
「事前に身体をほぐして温めて」
 ジップも座って見ています、じっくりと。
「そうすればいきなりするよりずっといいからね」
「そこまで考えているから」
 ガブガブも見ています。
「部員さん達のことをね」
「先生は勝敗よりもね」
「部員の人達のことを考えているから」
 チープサイドの家族は先生も観ました。
「怪我をしない」
「そのことが念頭にあっての指導ね」
「こんな激しいぶつかりだと」
 チーチーもこうした考えでした。
「本当に怪我が多くなるよ」
「怪我をしない為には」
 ポリネシアが言うことはといいますと。
「事前のしっかりとした柔軟と食事もだね」
「そうしたこともしてから」
 最後に老馬が言いました。
「お相撲が出来るんだね」
「本当に怪我をしたら駄目だから」
 先生はその動物の皆にお話しました。
「だからね」
「それでだね」
「まずは柔軟をじっくりとしてもらったんだね」
「食事も変えて」
「怪我をしない様に」
「そうなんだ、どうやらね」
 また言った先生でした、勝負を見つつ。
「それがよかったみたいだね」
「怪我をしないね」
「それがいいね」
「それじゃあね」
「このまま最後までね」
「怪我をしない様に」
「うん、そうしていけばいいね」
 先生は最後の最後まで誰も怪我がない様にと思うのでした、ただ勝負自体には特に何も言わないのでした。
 部員の人達にはです、こう言うだけでした。
「試合の内容はね」
「どう勝負をするかはですね」
「そのことは」
「うん、君達に任せるって言ったしね」
 それでというのです。
「言わないよ」
「そうですか」
「じゃあこのままですね」
「試合自体は僕達が進めていく」
「自主的に」
「僕は監督だけれど」
 それでもというのです。
「お相撲自体はしたことがないからね」
「だからですね」
「お相撲自体はですね」
「僕達でしていく」
「そういうことですね」
「そう、だからね」
 穏やかな笑顔での言葉でした。
「そちらは頼むよ」
「わかりました」
「じゃあ僕達で進めていきます」
「そうしていきますね」
「そうしてね、試合の後は」 
 先生はそれからのことも言うのでした。 
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