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HUNTER×HUNTER 六つの食作法

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015話

「さぁ~いらっしゃいいらっしゃい!!条件競売が始まるよ~!!」

腕相撲での条件競売二日目、今度は朝早くから競売をスタートさせている。朝早いが矢張り1万で300万、5万で1000万という宝石がゲット出来る事もあって多くの人間の目を引いている。だが

「お、おいやろうぜ!」
「やめとけよ。あの坊主昨日は275連勝だったそうだぜ」
「275連勝!?」
「腕を折られた奴も20人以上いたって話だぜ!?」
「あの大男だって相手の腕を粉砕したって話だぜ」

昨日の大勝が色んな意味で噂になっている、凄まじい力の少年と青年の噂は尾ひれが付きまくり真実でない事が真実であるかのように話されている。まああれだけの勝利をすればその結果に尾ひれが付くのは当然かつ、それを信じて挑戦者が極端に少なくなるのは当然といえるだろう。

「これでは挑戦者は現れそうに無いな」
「だ~な、どう済んだよレオリオ」
「まあ見てろって……多分、もう直ぐ釣れるぜ」

何を待ち続けているレオリオに顔を見合わせる4人。そんな時大柄の男を連れて一人の男がやってきた、挑戦者かと思ったが全く違った。

「なあ兄ちゃんたち、もっとでっかく稼ぎたくねえか。稼ぎたかったら付いてきな」
「よし、釣れたぜ……しかも大物がな、行くぜみんな」

レオリオはそのまま二人の男についていくのでゴン達もその後を追って続いていく。裏路地に入っていく男たちはとある建物に入っていく、そこのエレベーターに入るとなにかカードキーを通してからボタンを押した。

「ねえシャネル、これって一体何なの?」
「所謂裏の賭場への入り口ってとこじゃねえか?」
「正解だぜでかい兄ちゃん。さあ着いたぜ」

エレベーターが停止し扉が開くと聞こえてきたのは凄まじい歓声と溢れている殺気、暗い部屋の中の中心に明るく照らされているリングの上では屈強な男達がアームレスリングで勝負を競っていた。

「これが裏の賭場……裏アームレスリングという所か」
「その通りだ、ここでは一試合毎に賭けが行われている。勝者には掛け金の10%が支払われる、一回の試合で動く金は1億を超える」
「一回勝てば1000万を越えるって事か……」
「場合によってはもっとだ」
「おっしゃあゴン行ってこぉい!!」

興奮するレオリオに若干引きつつも金が必要な為、少々乗り気がしないが行こうとした時突然暗かった筈の部屋が明るく照らされリングの上に一人の奇抜な格好をした男がマイクを持ちながら飛び降りてきた。

「突然ではありますがアームレスリングは中止させていただき条件競売を始めさせてもらいまぁ~す!!」
「条件競売ぃ?」
「条件は、かくれんぼで御座います~!!」

周囲の客達がブーイングをする中全員に配られていくプリント、シャネル達に受け取りそれを見て見るとそこに写っていたのは7人の男女。しかもそのうちの一人には昨日来ていた少女が含まれていた。

「落札条件はターゲットを捕獲し我々に引き渡すことぉ!一人につき、20億ジェニーの小切手と交換させていただきまぁ~す!!」
「ひ、一人につき20億だと?!」
「全員捕まえたら140億だぜおい!?」
「期限は御座いません、生死も問いません!捕らえ次第後連絡くださぁい!但し、参加費用として500万ジェニーいただきまぁす!」

法外ともいえる異常な懸賞金、しかも生死も問わず期限も無い。条件競売というよりもまるっきり賞金首探し、何かあると踏むべきだろう。だが取り合えず参加する事にした一同は一旦外へと出たがそこでは既に多くの人間が連絡を取って7人の行方を捜していた。

「俺達も急いで探そうぜ!!なんたって140億だぜ!!?」
「心配せずともそう簡単に見つけられないさレオリオ。マフィアが態々懸賞金を掛けるほどの相手だ、簡単に発見出来る訳が無い」
「ああ、マフィアが自分達の力で捕まえられないって言ってるのと同じ」
「確かに……こいつらをそこまでしてでも捕まえる必要が出てきたって事か」
「理由は解らんがな」

7人の男女がマフィアに狙われる理由、それはマフィアに対する敵対行為。そして20億と言う検証を掛けられている事を考えるととんでもない事をやらかしている事になる。そして先程と場で聞こえてきた話……そうなるとこの男女の正体が見えてくる。

「さっき聞こえたんだが、地下競売が襲われたらしい」
「地下競売が!?」
「おいおいマフィアのお宝を奪ったって訳かよこいつら……?頭逝かれてるんじゃねえか?」
「だけど俺たちはそんな逝かれ頭に心当たりがあるだろ」
「「「「幻影旅団……!!」」」」

その言葉に激しく反応していたがクラピカだった、プリントに映し出されている人間全てに憎悪の感情が乗せられた視線を送りつつ腕を震わせながら息を荒げていた。捜し求めていた復讐の対象が、近くにいるのかもしれない、それがクラピカの感情を酷く荒げていた。そんな彼を静める為にシャネルは背後から彼を抱き締める。

「落ち着けクラピカ……落ち着くんだ……。お前の気持ちは解るが冷静にならなきゃ見える物も見えなくなっちまう」
「ハァ、ハァ、ハァ……ふぅ……すまないシャネル、私とした事が……」
「しっかし如何するか、これから如何動きか入念に考えなきゃいけねぇぜ」
「情報提供者を募ってるしかないだろうな、賞金を掛けてな」

情報提供者を探すのが矢張り一番無難、高い賞金を掛ければ当然飛び付く奴も居るだろう。

「しっかしどの位掛けるんだ?」
「2000万だ」
「「「に、2000万!?」」」
「俺の預金はまだ4000万近くあるし宝石だってある、2000万使ったって余裕はある。ついでにオークションに参加するのは参加賞つきのカタログだって俺が出してやる」
「し、しかし良いのかよシャネル!?確かカタログは1200万だぞ!?合計3200万の出費!?」
「構わないって。仲間の為だしな、なくなったらまた稼げば良い」

シャネルの好意に甘え、お尋ねサイトに上げられた2000万という破格の賞金額。但し条件も厳しく、旅団の現在位置とその証拠を提示しそれが信用出来ると判断できた場合のみ支払われるという仕組みにした。これならガセネタが来たとしてもかなり絞れる事が出来るし本物かどうかの判断も出来る。


「クラピカ、如何した眠れないのか?」
「ああ……シャネルか」

取り合えず一同はホテルへと戻りお尋ねサイトの監視と出来る限りの情報収集にをし始めた。だが矢張りまともな情報は見つからず伝言サイトに投稿されて来た情報もガセネタばかり、状況は芳しくなく夜も更けていた。交代でサイトの監視をしていた際、休憩していたクラピカが居ない事に気づいたシャネルはべランダで夜景を眺めているクラピカを見つけ話しかけた。

一旦は落ち着きを見せたがそれでも矢張り心中は穏やかではないのだろう、復讐の対象が直ぐ近くに居る事に。

「シャネル、あの時私を止めてくれた事感謝している。あの時、冷静になれなければ私は何も考えずに行動していただろう」
「気にするなっお前の気持ちだって解るからよ。お前が荒れそうになったら何時でも止めてやる、それが支えるって事だぜ」

シャネルの言葉は本当に頼もしく有難い、先程まで荒れ狂っていた感情が収まり始めている。自分を支えてくれる強い存在が自分を鎮め、正しい方向へ修正してくれる。有難い事この上ない。

「にしても良い夜景だな」
「ああ、美しい」

唯の夜の浮かんでいるビル郡の明かりだというのに修行の際に良く見ていた星空に良く似ていた、あの時もこうして二人っきりで空を見上げていた。そう思った時、ドクンと心臓が大きく跳ね上がった。

「(わ、私は……師として尊敬と親愛を……)」
「今度はじっくり、旅団とか関係なしでこういう所来たいよな♪」
「あ、ああそうだな(私と一緒に来たい……!?)」

笑いながら掛けてくる言葉を聞く更に心臓は早打ちになって爆発しそうになっていく。自分で解っている筈、この感情が既に尊敬や親愛などでは済まされない事は………。これは……明らかに

「シャ、シャネル!!」
「んっ何だ?」

恋、なのだろうか。

「私はシャネルと会えて本当に良かったと思う!」
「なんだよいきなり照れるじゃねえか♪俺もお前に会えて良かったと思うぜ」

静かに夜は更けていく、激しく渦巻く感情と共に。 
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