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HUNTER×HUNTER 六つの食作法

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016話

お尋ねサイトに情報提供者には2000万という大金を出すという触れ書きを出した翌日の昼、ゴンとキルアがグリードアイランド購入の資金稼ぎのために外出している時に遂に情報が舞い込んで来た。証拠として髪の長い男とキツめの女性が写っている動画が添付されていた、明らかに本物の旅団のメンバーと断定したシャネル、クラピカ、レオリオはゴン達と外で合流して旅団の二人の位置を聞きつつ監視できる位置の店に移動し監視する事にした。

「さてと問題はこれからだな、どうやってあの二人を捕まえるかだが……」
「「「無理だな」」」

シャネル、クラピカ、キルアが同時に声を上げて捕まえる事は不可だと断言した。冷静にしつつ暢気にジュースを啜っている3人に思わずレオリオは半ばキレ気味に何故だと言いつつ立ち上がるがキルアに諭されて渋々席につく。

「私は対旅団の能力を持っているが、流石に二人ではキツい。僅かでも単独になるかそれなりの隙さえ出来れば捕らえる事は出来るか……人も多いしかなり警戒している状態では無理に等しい」
「俺も賛成だな、そうは見えないだろうがあいつらさり気無く凄い警戒してるぜ。下手に捕まえようとするとアウトだな」
「そんなにか……?」
「あそこにヒソカが二人居るって思えば良いよレオリオ、そうすればやばさが少しは解る」

そう言われて想像したのかゴンとレオリオは身震いと確かにやばいと言う事を理解した。シャネルとクラピカ、どう足掻いても身震いと寒気がとまらない結果となった。移動を始めた二人組、一瞬クラピカは真っ先に追いそうになるがそれを必死に押さえて席に着き直した。

「さてと、何度も言うけどまともに戦って勝てる相手じゃないぜ」
「何とかするしかねえって、しなきゃなんねえだろ?」
「うん、俺もこのまま引き下げるのは嫌だ」
「私も同感だ」
「OK。んじゃ俺の考えを言うぜ」

追跡を行うのはゴン、キルア、クラピカ、シャネルで行う。レオリオはオーラを絶つ"絶"を使う事が出来ない為追跡に参加しても即効でバレてしまう、これにはレオリオ自身も賛成で競売を担当する事になったがこれにクラピカは異を唱えた。

「8割方賛成だがシャネル……私が参加するのは辞めておく」
「えっ辞めるのクラピカ?チャンスかもしれないんだよ?」
「確かにこの場面で得られる物は大きいかもしれない……私も"絶"は出来るが憎悪と殺気は、近づけば押さえつけられないだろう……」

案を出したシャネルはそれににっこりと笑った、案を出した際に敢えてクラピカを追跡組に組み込む台詞を言った。それに飛び付くか合理的に判断し自分を押さえ付けられるかを試した。目論みは大成功、クラピカはなんとか感情を押さえつけながら冷静に判断して自分を追跡組から抜くように申し出た。

「パーフェクトだクラピカ、良く踏ん張った」
「シャネルも人が悪いな……だが、皆気を付けて……危険だと思ったら直ぐに帰ってきてくれ……!」

それがクラピカの切実な願いだった、確かに復讐も遂げたい。だけれどもこの大切な仲間達を失いたくなどない、自分の身勝手な復讐心のためだけに………。

「解ってるよクラピカ、危険だと思ったら直ぐに逃げる。これでも俺、ハンター試験の時に一日ずっとヒソカを尾行してたんだから」
「おいおいすげえな。良くあの変態ピエロにバレなかったな」
「まあそれなら合格だな……後ゴン、後で殴らせろ」
「なんでぇ!?」

若干コント染みたやり取りの後、追跡組は"絶"を使用し気配とオーラを完全に絶ち一気にジャンプして建物の屋根へ飛び乗って旅団の追跡を始める、細心の注意を払いつつ……。広場を抜けて小道を進んで行く二人を追いつつ隠れながら進んで行く3人。

「(やばいな、どんどん人気の無い方に……。奴らは何処にいく……流石に尾行はバレてるだろうしな。ならこれは、罠か?)」

暗殺者として育てられたキルア、相手を尾行する際のノウハウは叩きこまれている為その尾行は完璧な物、だが故に相手の行動の真意をより深く探ろうとしてしまっている。

「(気づかれていなくてアジトに戻るのだとしたら尾行は大成功……罠即脱出、アジトならまだ追うべき……否あいつらの態度に不自然な点は無い、続行だ!!)」

どんなに訓練を積んでいる人間だとしても尾行されていると気づいた時にはほんの僅かな態度の差が出る、それを見逃すが無いという自信から尾行は続行するべきだと判断しそれをシャネルとゴンに知らせる。そして尾行は更に人気が無い場所へと続けられ、遂には人の気配が完全に絶たれるほどの場所(廃墟)へとなった。

『シャネル、キルア如何思う?』
「誘っていると思って間違い無いだろうな。姿を確認出来ていないが尾行されている事は解ってるから姿見せろって言いたいだろうな」
『ああ俺も賛成。でも待ち合わせの可能性あり、まだ様子を見る』

廃墟の4階にそれぞれ陣取り二人組を見張る、唾を飲み込む音すら響きそうな空気の中で携帯の音がなった。3人は何か怪しい動きを見せたら即離脱と決め込み様子を見る。男の方、ノブナガの携帯がなった。携帯を取り何かを話している……そして

―――キルアの方へと視線を向けた。

「「「っ!!!!」」」

全身に感じる強い殺気と危機感に全員が同時に地面を蹴って離脱を試みようとした。だが……既に部屋の出口にはそれぞれ人間が立って出口をふさいでいた。

「よお~何処行くんだお前」
「ッ!!(退路を……!)」
「逃げようって思わないでよね」
「(おいおい此処4階だよな……!?)」

窓があった位置にも既にもう一人が立っていた。完全に退路を塞がれている状況、閉鎖的な空間。下手に動くのはまずい……。

「幾つか質問。問1.なんで追ってた」
「……」
「おっと、動くなよ。殺すぞ」

窓を塞ぐ見た目は優男な金髪、そして部屋のドアがある部分には自分よりも少々大柄で筋肉質な男。

「お前らの首にマフィアがでけぇ賞金を掛けてんだ、それが目当てで追ってた」
「問2.尾行は誰に習ったのか」
「自己流だ。俺は狩りもする、やってる内に覚えた」
「ほう……絶、解いてみな」

大柄な男は面白そうという感情を表情に貼り付けながらそう言った。シャネルは素直に"絶"を解いた、そして男達はシャネルのオーラの強さに感心し笑みを浮かべた。

「そうかそうか……おい下に降りろ」
「……」

指示通りに下へ、先程まで二人組がいた位置にまで誘導される。少しするとゴンとキルアもそこへと集めた。二人の身体を見る限り何かされた訳でもないようだ、それにホッとしていると大男は廃墟の一部を破壊し台にするように地面に叩き付けるように置いた。そしてそこへ腕を置いた、昨日自分がやった腕相撲のように。

「おいウボォー、何する気だ?」
「ちょっくらこいつと力比べしたくなってのさ、こいつなかなかやるぜぇ?」
「らしいね」
「……やれば、最低でもこの二人だけでも逃がしてくれるのか。そうならやってやる」

その言葉に思わずゴンとキルアはシャネルの顔を見た、冷や汗一つ欠かず真っ直ぐとした表情で言っている。本気だ、シャネルは自分達を逃がそうとしている。ウボォーと呼ばれた人物は更に面白いだといわんばかりに笑う。

「良いぜぇ、但してめぇは一緒に来て貰おうか。念の為にな」
「ああ解った」
「「シャネル!!」」
「静かにしてな二人とも、安心しな。ちょっとした出張みたいなもんだ、留守番、頼むぞ」

"この場は無事脱出し情報を渡せ、二人を頼んだ"。言葉にそういう意味があった。

「だったらウボォー、アジトでやりな。さっさと連れて行くよ」
「まあいいか。うしならさっさと行こうぜ」
「あんた達ここで30分は動くな、動けば直ぐに解る」

ノブナガと一緒にいた女、マチはそう二人に言い聞かせるように言いつつ指を動かしていた。そしてウォボーはシャネルの肩に腕を回しつつそのまま歩き始めた。ゴンは思わず動きそうになるがこっそりと動いているシャネルの左手を見た時、完全にとまった。子供に駄目と言い聞かせるように指を左右に振っていた。

「(下手に動くな……そう言いたいんだなシャネル)」
「(絶対、絶対に無事で居てね……!!)」 
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