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ドリトル先生の名監督

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第九幕その三

「喧嘩でも汚いことをして勝ったらどうかな」
「はい、よく思われないです」
「汚いやり方をして勝った奴って思われて」
「やっぱり奇麗に勝ってこそですね、喧嘩も」
「そうしてこそですね」
「スポーツマンシップは守る」 
 何があってもというのです。
「そうしてやるべきだよ」
「それからですか」
「試合に勝つことはですね」
「三番目ですか」
「体調管理とスポーツマンシップの後」
「それからのことですね」
「そう、勝つことだけを考えている人は」 
 スポーツをしていてもそうした人はいます、先生とは全くの正反対の考えを持っている間違っている人はです。
「スポーツをしたらいけないよ」
「だからですね」
「練習試合の時もこれからもですね」
「スポーツマンシップを守る」
「お相撲の決まりをですね」
「人としてしてはいけないことをしない」 
 こうも言った先生でした。
「そのことも大事だよ」
「そうなんですね」
「じゃあずっと守っていきます」
「僕達も力士ですから」
「そうしていきます」
「是非ね、そのことは守ってね」 
 こう言うのでした、相撲部の皆に。そしてでした。
 先生はこの日も相撲部の皆の稽古を監督しました、とはいっても怪我をしない様に見守るだけでしたが。
 その稽古のことをお家に帰ってからトミーに話すとです、トミーは先生に対してこんなことを言ったのでした。
「プロだと勝たないと、ですけれど」
「いやいや、プロなら余計にだよ」
「スポーツマンシップを守るべきですね」
「仮にもスポーツで生きているから」
 尚のことというのです。
「そこをちゃんとしないとね」
「プロになる資格もないんですね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「もうね」
「そういうものですね」
「そうだよ、スポーツマンシップを守らないと」
「スポーツ自体をする資格がないですか」
「勝つ為に手段を選ばない、そして勝つことだけを考えている人もね」
「スポーツをしたら駄目ですか」
「そう、日本に来て駄目だって思ったことの一つは」
 それはどういったことかといいますと。
「部活の顧問の先生が生徒が試合に負けて丸坊主にしろとか言ったことだね」
「そんな先生いますからね」
「日本の先生は酷い人が多いけれど」
「そうした先生もですね」
「駄目だよ、そこで自分も丸坊主にしたらいいよ」
「けれどそうしないで、ですね」
「生徒にだけ丸坊主を強制する先生はね」
 先生は今もそのお顔を曇らせています、そのうえでの言葉です。
「教師失格だよ」
「どう考えてもそうですね」
「人に何かを教える資格も資質もね」
「どちらもですね」
「ないよ」
 こう言い切ったのでした。
「どう考えてもね」
「イギリスでも酷い先生はいますけれど」
「そこまで酷い先生はね」
「そうはいないですね」
「しかも日本はそうした先生が多いから」
「余計に問題ですね」
「犯罪者が子供を預かってる様なものだよ」
 イギリス人から見ればというのです。 
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