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ドリトル先生の名監督

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第七幕その八

「今以上に幸せになろうとも思わないしね」
「今の僕は最高に幸せだよ」
 実際にそう思って疑わない先生です。
「お家も仕事もあって何よりも皆が一緒にいてくれてるんだ、それならね」
「もう青い鳥が一緒にいる」
「そうだっていうんだね」
「もう既に」
「だから最高に幸せなんだね」
「これ以上の幸せはないよ」 
 本当にこう言う先生でした。
「これで結婚はね」
「もうなんだ」
「望まないんだ」
「そうなんだね」
「これ以上の幸せはないから」
「そう言うんだね」
「うん、まあ結婚はしなくても」
 無欲のまま言う先生でした。
「僕は今で最高に幸せだよ」
「だから今以上に幸せにはなろうとしない」
「そうなんだね」
「これ以上はないから」
「思わないんだね」
「最高以上のものはないよ」
 全く以てというのです、そしてでした。
 先生はあらためてです、皆に言いました。
「もう僕は望むものはないよ」
「自分で最高と思ってもまだ上がある」
「世の中って上にも下にも際限がないでしょ」
「そうじゃないの?」
「先生自分は最高の幸せ者っていうけれど」
「幸せにも際限がない」
「そうじゃないの?」
 皆は言いますが先生は笑ってまた自分は最高に幸せだよと言うのでした、よくも悪くも無欲な先生なのです。
 そして皆と一緒にです、先生は土俵に来ました。皆もう柔軟体操はしっかりと終わってです。先生が来ると挨拶をしました。
 先生が挨拶を返すとです、部員の皆はこんなことを言ってきました。
「実は練習試合を申し込まれまして」
「大阪の方の大学から」
「あっ、そうなんだ」
 先生は部員の人達のお話に目を瞬かせました。
「練習試合のなんだ」
「はい、前から交流のある大学でして」
「そちらからまたしようってお話がきまして」
「先生の判断を伺いたいんですが」
「どうしましょうか」
「いいんじゃないかな」
 先生は皆にすぐに答えました。
「練習試合をしても」
「いいんですね」
「それじゃあ試合しますか」
「そうしますか」
「うん、そうしよう」
 あっさりと答えた先生でした。
「これも部活のうちだしね」
「そうですね、じゃあ向こうには連絡しておきますね」
「是非お願いしますって」
「その様に」
「それでね、ただ練習試合の時は」 
 先生は皆にあらためて言うのでした。
「僕も顧問として一緒だけれど」
「それでもですか」
「いつも通りですね」
「御覧になられてるだけで」
「指導はですね」
「試合の戦術とかはね」
 相手への戦い方等はです。
「言えないからね」
「あくまで、ですね」
「そうしたことはですね」
「出来ないからですね」
「そこは僕達でってことですね」
「そうしたことは任せてくれますか」
「うん、君達で考えてくれるかな」
 練習試合のない様はというのです。 
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