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ドリトル先生の名監督

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第七幕その一

                 第七幕  練習試合
 先生は動物の皆と一緒に相撲部の人達の稽古を見て必要とあれば相談を受けて顧問として活動していました。
 それで、です。研究室でもお相撲の本を読むことも多くなりました。
 研究室のテーブルの上のお相撲の本を見てです、学生の人達は先生に目を瞬かせて尋ねました。
「あれっ、先生がお相撲ですか」
「お相撲に興味が出来たんですか」
「じゃあお相撲されるんですか?」
「先生が」
「いや、僕はしないよ」 
 このことは断る先生でした。
「そうしたことはしないよ」
「そうですよね、先生はスポーツはされないですからね」
「特に何も」
「スポーツは苦手だっていつも仰ってますし」
「だからですよね」
「しないけれどね」 
 それでもというのです。
「観ることはあるし今は顧問だからね」
「顧問、ですか」
「お相撲の」
「そう、この大学の相撲部のね」
 まさにというのです。
「臨時だけれど顧問をしているから」
「だからですか」
「お相撲の本を読まれてですか」
「勉強されてるんですね」
「そうなんですね」
「うん、そうしてるんだ」
 だからお相撲の本を読んでいるというのです。
「最近ね」
「じゃあ学者として、医師としてですか」
「お相撲を勉強されて」
「それであちらにもアドバイスとかされてるんですか」
「そうされてますか」
「僕は実際にはお相撲はしたことがないよ」
 それこそ一度もです。
「スポーツは苦手だけれど特に格闘技の系列は駄目だからね」
「先生の性格だとそうですね」
「人を殴ったり蹴ったりとか絶対に無理ですよね」
「そうしたことは」
「もう絶対に」
「格闘技は暴力じゃないけれどね」
 それでもというのです。
「そうしたことは絶対に出来ないよ」
「ボクシングや柔道も」
「それにレスリングも」
「当然暴力はね」
 もう先生にとってはです。
「絶対に出来ないよ」
「それはいいことですね」
「暴力は相手を傷付けるだけですからね」
「そんなの振るっても何にもなりませんよね」
「暴力を振るう人は弱い人だよ」
 このことも先生の中にある確かな考えです。
「何も生み出さないし本当に他の人を傷付けるだけの」
「そうしたものでしかないですね」
「例え力が強くても振るってはいけない」
「それが暴力ですね」
「そうだよ、それで解決するものはないよ」
 先生は確信しています、暴力はそうしたものだと。
「鞭は必要ないよ」
「だから暴力は否定されてますね」
「そうなんですね」
「自分を守る力は必要だけれど」
 それでもなのです。
「暴力は駄目だよ」
「そして格闘技はですね」
「暴力じゃないですね」
「スポーツですね」
「うん、けれどスポーツの中でもね」 
 どうしてもというのです。 
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