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SAO~円卓の騎士達~

作者:エニグマ
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Extra Edition後編

~キリト side~

スグと共に夕食を終えてから私用を済まし、ALOへとダイブした。
待ち合わせ場所のシルフ領の南方にある『トゥーレ島』まで向かい、すぐにやってきた他のメンバーと共に遊びながら他のメンバーの到着を待つ事にした。
水辺にて女性陣は水着姿で遊んでおり、俺たち男性陣は砂浜でビーチパラソルとビーチチェアを用意し、水着姿でゆっくりと過ごしている。

クライン「しっかし、俺はここまで現実とALOの時間が違くて良かったと思うのは始めてだぜ。」
キリト「あぁ。 リアルでは夜だからな。」
クライン「それにしてもいいよな、青い空。」
コジロウ「白い砂浜ですね。」
キリト「寄せて返す波。」
アーサー「眩しい太陽。」

そして、と全員が心の中で呟きながら女性陣の方を見ようとすると、

エギル「よう、待たせたな。」
サクマ以外全員「「「「エギルェ、、」」」」
エギル「な、何だよ?」

突如、俺たちの前に遅れてやってきたエギルが水着姿で登場し、その筋肉溢れる肉体を俺たちの前に晒した。
サクマ以外で揃って不貞腐れる。

ヒースクリフ「すまないな。 少し遅れたかな。」
アーサー「いや、まだ全員揃ってない。 それより、お前の水着姿って何か新鮮だな。 SAOの時には想像できなかったぜ。」
ヒースクリフ「そうかね?」

水着姿と言う普段の格好からは考えられない装備のヒースクリフが到着した。

キリト「あと、、何人だ?」
アーサー「あとは、リンとゴウに、アルゴか。」
サクマ「アルゴが来るのか?」
アーサー「あぁ。 何でもソロだと水中のダンジョンの情報が殆ど実証出来ないらしい。」
コジロウ「あぁ。 ウォーターブレッシングの魔法がかけられないからですね。」
リン「お待たせー。」
ゴウ「よう。」
アルゴ「いやー、途中でめんどくさいモンスターがポップしたから遅れタ、遅れタ。 悪いナ。」

噂をすれば影がさすとは良く言ったものだ。
ちょうど全員が揃った。

アーサー「アルゴ、その格好暑くないのか?」
アルゴ「もちろン、ヒジョーに暑イ。 けど水着になるのはチョット、ナ。」
アーサー「OK、察した。」
アスナ「あれ、でもアルゴさん。 バナナバトルの時、水着だったじゃない。」
アルゴ「あれは女の子同士だったかラ。」
クライン「ところでキリの字よぉ。 今日のクエストはホントにクジラが出てくるのかぁ?」
コジロウ「ユイちゃん楽しみにしてますからねー。」
シンタロー「これでクジラじゃない生き物とかだったら、」
サクマ「泣き、はあの娘ならしないけど、間違いなく落ち込むな。」
キリト「クエストの最後に巨大な水棲型モンスターが出るってのは分かったんだが、詳しい内容はな~。 アルゴの情報には何か引っ掛かってないか?」
アルゴ「確かに大型水棲モンスターは出るんだガ、それが何かなのは分からないんダ。 鯨の他に、蛸、水龍とかの情報も上がっててどれが本当なのか分からなイ。」
アーサー「どちらにしろ運に頼る形になるけど、今回はそれに賭けるしかないさ。 ま、何にせよ行けば分かるさ。」

遊んでいる女性陣に声を掛け、俺達は準備をする。

いつもの戦闘服に装備を変え、レイドパーティーを組んでから俺たちは海底神殿のある座標へと飛行して向かった。
座標付近に辿り着いたことで神殿のある場所が光を放っていることにクラインが気付き、全員で頷き合う。

アスナ「それじゃあ、《ウォーターブレッシング》の魔法をかけるね。」
シンタロー「じゃ、俺も。」

ウンディーネであるアスナと完全後方支援型にビルドを変えたシンタローが水中補助の魔法のスペルワードを詠唱し、俺達に魔法をかけた。
そして俺達は一斉に水中へと駆け抜けた。
水中は泳ぐというよりも飛行するという感じだが、スグにとってはそうでもないようだな。
途中、スグが溺れそうになったが、アスナとコジロウが彼女の手を引くことでなんとかなった。
そして、俺達は海底神殿をこの目にした。

アスナ「凄いわね。」
アリス「ええ、如何にもなにかありそうな感じが特に、」
ユージオ「ん、神殿の入り口付近、誰かいるよ。」
クライン「海中で困っている人なら人魚と相場は決まっている!」

そう言いながらクラインがかなりのスピードでその誰かの所に向かう。

クライン「何か、お困りですか? お嬢さ、ん!?」
アーサー「残念だったな。 人魚じゃなくて。」

その人が人魚ではなく老人だと分かったクラインがピキィ!、という音と共に固まった、気がする。
名は『Nerakk』だから、読みは『ネラック』か?
いや、だがこの名前、どこかで見たような。

キリト「どうしました、ご老人。」

気にしつつも一応、礼儀を正して訊ねてみるとクエスト受注ウインドウが出現した。
クエスト名は『深海の略奪者』というものらしく、話しを進めるために受注する。

老人「おぉ、地上の妖精たちよ。 この老いぼれを、助けてくれるのかい?」

そう言って老人は話を始めた。

古い友人への土産物を、この神殿を根城にしている盗賊に奪われてしまったとのことで、それを取り返してほしいらしい。

奪われたものはかなりの大きさの真珠とのこと。

リズ「お、おおきな真珠なのね。」
キリト「この前みたいに売り飛ばしたりするなよ。」
リズ「し、しないわよっ!? あの後散々怒られて反省しました!」
リーファ「この名前、何処かでみたような、、、」

神殿内を探索しながら奥へと進む。
移動途中で魚型や甲殻類型のモンスターと戦っているがいまのところ大きな問題は出ていない。

サクマ「で、だ。 このどこからどう見ても落とし穴というものをどうすればいいと思う?」

そんなこともあったが、目の前にあるのは如何にもな落とし穴であり、中は渦が巻いていることから吸い込まれるのだろう。

アーサー「魔法ぶちこんでみるか?」
キリト「まぁ、一番無難な選択だよな。」

シンタローに風属性魔法を撃ってもらう。
すると、渦の中からモンスターが出現した。
名は〈Armachthys〉、大型の魚型モンスターだ。
前衛である男性陣で前に出て、各々の武器で攻撃を仕掛けるが、頭部は堅く、攻撃が通らなかった。

アーサー「めんどくせぇな。」

そう言うとアーサーが左手一本でモンスターを受け止めた。

アーサー「その堅い頭、割ってやるよ。」

アーサーが茅場によってリメイクされ片手剣になった《龍爪剣》をモンスターの頭に叩き付け、割った。
すると突如としてモンスターが俺達から離れ、高速で泳ぐことで水中の中に竜巻、つまり渦潮を作り出した。

リーファ「えっ、きゃあぁぁぁっ!?」
キリト、コジロウ「「リーファ!」」

その渦潮に補助魔法を掛けてくれたリーファが愛刀『シルフィル』を抜刀して攻撃に参加しようとしてまともに巻き込まれた。
そのまま落とし穴の渦へと吸い込まれそうになり、必死で縁にしがみ付いている。

コジロウ「スグさん! っはぁ!!」

モンスターを綺麗に三枚下ろしにしたコジロウがリーファを助ける。

コジロウ「ギリギリでしたね。 スグさん、大丈夫ですか?」
リーファ「はぁ、はぁ、うん、大丈夫。 それに、溺れて助けられたのは2回目だね。」
キリト「思い出したのか、あの時のこと?」

それは幼い頃の出来事、スグは家の庭にある池を眺めていたようなのだが、誤って落ちてしまい、軽く溺れかけたことがあった。
幸い、すぐに気付いた俺が引き上げる事で大事には至らなかったが、以来スグはその時の恐怖心(トラウマ)からなのか水中が苦手となったらしい。
本人はその恐怖心から時間が経つに連れて忘れていったようだが、いまのことで思い出したようだ。
ま、俺もあの時は背筋が冷えた思いをしたのを覚えている。

キリト「大丈夫なのか?」
リーファ「うん、というか、思い出したから平気になったかも。」
キリト「そっか、まぁ無理はするなよ。」

その後モンスターを蹴散らし、罠を無効化し、階段などを下っていくことで迷宮の最深部へと到達することが出来た。
そして、ついに俺達は真珠のある場所へと辿り着いた。

ユイ「わぁ~、本当に大きいですね~。」
ユージオ「こんなに大きな鉱石系アイテムは滅多に無いからね。」
リズ「・・・どれくらいで売れるかしら。」
サクマ「おい、リズ、」
モモ「あ~、でも私この真珠普通に欲しい。」
ヒビヤ「おばさん、駄目に決まってるでしょ。」
ヒヨリ「ヒービーヤー?」
マリー「綺麗だね。 セト。」
セト「そうっすね。 マリー。」
クライン「罠とかねぇだろうな~?」
アリス「そうですね。 見た感じではないですけど。」
エギル「良く調べてみた方がいいかもな。」
フィリア「ん~、私のスキルには罠の反応は無いよ。」
アーサー「よし、それじゃあ運び出すか。 俺が運ぶから、みんなガードよろしく。 特にまだ盗賊が出てきてないからな。」

真珠を運んでいたからなのか、モンスターのポップ率やらエンカウント率が増したようで、戦闘が多かったもののみんなが上手く迎撃してくれたので無事に神殿内から脱出することが出来た。

クライン「俺は当分、エビやカニは見たくねぇ。」
エギル「イカとタコもな。」
カノ「ついでにサメと貝も。」

神殿を出たところで座り込む三人

アーサー「そう言えば、結局盗賊なんて出てこなかったな。」
サクマ「てっきり真珠のすぐそばにいると思っていたが。」
リーファ「神殿内にもいなかったしね。」
フィリア「それより、この真珠が置いてあった場所って、祭壇って言うより巣、みたいだったよね。」
アーサー「巣、ねぇ。」
アスナ「ね、ねぇ、ちょっとその真珠貸して。」
キリト「ん? どうした?」
アスナ「ちょっと気になる事があって。」

そう言うと、アスナは真珠を太陽の光にかざして見た。
すると、真珠が透けて、中に何か生物がいた。

コジロウ「これは、、真珠じゃなくて、卵?」
アルゴ「ちぃ、そう言うことカ! あの爺さんに一杯喰らわされタ! 俺っち達が盗賊だったんダ!」
アーサー「って、事は、」
老人「どうかしたかの? 地上の妖精達。 その真珠を早く渡してくれぬか?」
ユージオ「あなたみたいな嘘つきに渡しはしない!」
老人「渡さぬというのならば、力ずくで奪い取るまでよぉっ!!」
アーサー「っ、戦闘陣形! アスナとユイ、メカクシ団は一番奥まで下がれ!」

アスナに真珠を持って貰ったまま、奥に下がらせる。
老人は己の姿を変貌させる、長く蓄えていた髭は吸盤を備えた8本の触腕に変化し、体は大きく膨れ上がると巨大な軟体生物になり、その姿はまさしく巨大なタコだ。
そして、『Nerakk』となっていたスペルの順番が入れ替わると、『Kraken』となり、さらに追加されることで〈Kraken the Abyss Lord(クラーケン・ザ・アビス・ロード)〉となった。
そして最後にHPバーが現れる。
その数七本。

アーサー「くそっ、深海の王者、クラーケンかよ。」
クラーケン「我を拒む結界が張られた神殿から、良くぞ『御子の卵』を持ち出してくれた! さぁ、それを我に捧げよぉ!」
キリト「はっ、お断りだ! この卵は俺達で元の場所に戻させてもらう!」
クラーケン「愚かな羽虫めが、深海の藻屑にしてくれるわぁっ!!」
アーサー「来るぞ!」

まずはクラーケンが先制で八本ある触手の内の二本を叩き付けてきた。
それはアーサーとヒースクリフの二つの壁によって受け止められる。
その間に俺達はクラーケンの周りを囲み、胴体を攻撃しようとする。
それをクラーケンは触手で防ごうとするが、その触手ごと切る。
が、

クラーケン「効かぬわぁっ!」
前衛全員「「「「「なっ!?」」」」」

クラーケンの言葉通り、俺達が攻撃した触腕の部位は瞬時に再生した。
さらに追撃を行うべく、水中を泳ぎ回る俺達に向かって5本の触腕が襲い掛かってきた。
空を飛ぶ要領で水中を高速で泳ぎ、俺達は回避を続けるものの、
やはり地上や空中とは勝手が違うせいか動きが鈍ってしまうらしい。
即座に反転し、その勢いを利用して攻撃の威力を高め、ギリギリのところで攻撃は防いでいる。

アーサー「シンタロー! こいつを吹き飛ばせるくらいの大型魔法、撃てるか!?」
シンタロー「撃てるけど、詠唱の間は回復できなくなるぞ!」
アーサー「それは大丈夫だ! 全員一回下がれ! 俺とヒースクリフで時間を稼ぐ!」
クラーケン「たかが二人で我の攻撃を防ぐだとぉ!? 笑止! そこまで死にたいのなら、貴様等から殺してやる!」

俺達は一旦、アーサー達の後ろに下がり、ポーションでHPを回復させる。
アーサーとヒースクリフ、SAOでは攻略の双翼とまで言われた二人は綺麗に攻撃をさばいていく。

シンタロー「準備出来たぞ!」

その声に反応して、アーサーとヒースクリフが大きく後ろに跳び、クラーケンから距離を取る。
クラーケンにシンタローから放たれた大きな火球が飛んでいく。

ドゴォォォォーーン!!

大きな爆発音が響き、煙が上がる代わりに大きな水泡が沢山出来る。

シンタロー「これで死にはしないが、大ダメージは通ったはず。」
クラーケン「くっふふふふ、まともに当たっていればな。 中々危なかったぞ。」
シンタロー「なっ!?」

クラーケンは今の魔法を触手を盾にして防いだようだ。
胴体に当たっていれば大ダメージだったが、再生が可能な触手ではそう大きなダメージは与えられないようだ。

ユイ「あのタコさんのステータスは高過ぎます! 新生アインクラッドのフロアボスを遥かに上回っています!」
アーサー「そろそろ本格的にヤバイな。」

止めだと言わんばかりにクラーケンは大きな口を開き、その中の無数の歯を蠢かせてくる。

サクマ「万事休す、か!」

そして、俺達をそのまま飲み込もうとクラーケンが飛び込んだ、その瞬間、クラーケンの目前に彼をも超える1本の巨大な三叉槍が突き刺さった。

そして、俺達の上からまたもや巨大な人影が現れ、その人物はアスナの後方である神殿入り口の目前に降り立った。
巨体を持つその人物にもHPバーが8本現れ、さらに名前も出現した。
その名は〈Leviathan the Sea Lord(リヴァイアサン・ザ・シー・ロード)〉、旧約聖書にその名を記す海の怪物、そして海の王を冠する者だった。

リヴァイアサン「久しいなと言っておこうか、古の時代よりの友よ。 相変わらず悪巧みばかりしているようだな。」
クラーケン「そういう貴様こそ、いつまでアース神族の手先に甘んじているつもりだぁっ? 海の王の名が泣くのではないのかぁっ!?」
リヴァイアサン「私は王であることに満足している。 そしてここは私の領域、それを知りながらも戦いを挑むのか、深淵の王よ?」
クラーケン「今は退かねばなるまい、だが、儂は諦めるつもりはないぞぉっ! いずれは御子の力を我が物とし、忌々しい神々に生ける者の鉄槌を下す時まではぁぁぁぁっ!!」

会話が終わり、クラーケンは巨体を背後に滑らせるとそのまま深海の奥底まで降りて行った。
全員揃ってリヴァイアサンの方へ振り返ると、彼は片膝をついて話しだした。

リヴァイアサン「その卵はいずれ全ての海と空を支配するお方のもの。 新たな御室(みむろ)に移さねばならぬ故、返してもらうぞ。」

リヴァイアサンが言い終えた同時に彼は手を出して輝かせ、アスナの腕の中にあった卵が消えた。
それが終わると俺の前にはクエストクリアを示す『Congratulations!!』のウインドウが出現した。

コジロウ「これでクリアなんですね。」
ユージオ「なんか良く分からなかったけど。」
リズ「私、小父様とタコの話しについていけなかったわ。」
リヴァイアサン「いまはそれで良い。」

他のみんなも似たような反応であるが、リヴァイアサンが最後に言ったことで俺たちは自ずと沈黙することになった。

リヴァイアサン「さて、そなたらを国まで送ってやろう。」
サクラ「送るって、」
アリス「どうする気なのですか?」

直後に俺たちを影が覆い尽くした。
上を見上げてみると、そこには、

全員「「「「「「「「「「えぇ~~~~~~~~~~!!!???」」」」」」」」」」

―――ザッッッパァーーーーーンッ!!!!!

海が大きくうねりを上げ、俺たちは一気に海面へと戻ってきた。
俺たちが海上へと戻った方法、それはリヴァイアサンが呼んだ彼の眷属。

ユイ「クジラさん、すっごくすっごく大きいです!」
ピナ「きゅ~♪」

念願の鯨を見るどころか乗ることの出来た喜びからはしゃぐユイとピナ。
リヴァイアサンの呼んだ眷属が俺達の乗っている超巨大な白い鯨であり、この白鯨こそが目撃証言の正体だったわけだ。
鯨は特有の鳴き声をあげており、それが音楽のように響き渡っている。
大喜びのユイを見て、俺とアスナは寄り添い合い、俺はアスナの肩を抱き寄せた。
他のみんなも言葉にはせず、ただこの最高の光景を眺める。

こうして、ユイの願いは叶い、俺達の思い出が増えることとなった。

~side out~ 
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