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ドリトル先生の名監督

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第五幕その一

                 第五幕  先生の指導
 先生が相撲部の監督になったと聞いてです、トミーはお家で驚いて言いました。丁度彼が大学からスーパーで晩御飯のお買いものを済ませて帰ってきた時でした。
 トミーは本当に驚いてです、こう先生に言いました。
「そんなことはじめてですよね」
「僕がスポーツの監督になることはね」
「はい、これまで色々なことがありましたけれど」
 それでもというのです。
「そうしたことは」
「うん、本当にはじめてだよ」
「先生とスポーツは」 
 それこそとです、トミーも言います。
「全く縁がない」
「そうしたものだね」
「これまでそう思っていました」
「僕もだよ」 
 先生自身もというのです。
「そうしたことはね」
「そうですよね」
「けれどね」
「決まったんですね」
「相撲部の部員さんにお願いされてね」
 そうしてというのです。
「引き受けたよ」
「そうですか、じゃあ」
「明日からあちらにも顔を出すよ」
「そのことはわかりました、ですが」
 トミーはあらためて先生に尋ねました。
「先生お相撲の経験は」
「観戦はあるけれどね」
「ルールはご存知でもですね」
「うん、実際にしたことはね」
 それこそというのです。
「ないよ」
「そうですよね」
「というか格闘技全体がね」
「されたことないですよね」
「一度もね」
 それこそなのです。
「僕はスポーツは苦手だけれど」
「その中でも格闘技は」
「そう、人を殴ったり蹴ったりすることはね」
「無縁のお話ですね」
「スポーツだけれどね」
「苦手なんてものじゃないですね」
「ボクシングもね」
 こちらのスポーツもというのです。
「したことはないよ」
「そうですよね」
「うん、格闘技も必要だけれどね」
 しなくても否定はしないのです。
「僕も観ることは観るし」
「そうだね」
「そう、それに暴力はね」
「そもそも格闘技ですらないですね」
「そう、格闘技はルールの中で行われるものだけれど」
「スポーツマンシップを守って」
「暴力は違うよ」
 断じてという言葉でした。
「それはね」
「先生は本当に暴力を否定されますね」
「何があってもね」
「そうですよね」
「ましてやね」
 さらに言う先生でした。
「暴力を行う人は紳士かな」
「紳士はそんなことしないですよね」
「そう思ってるからね」
 だからというのです。
「そうしたことは絶対にしないよ」
「それが先生ですね」
「紳士でありたいし」
 それにというのです。
「相手が痛い」
「傷付きますね」
「だからしないんだ」
「先生はですね」
「絶対にね、そうしているんだ」
「先生は誰にも暴力を振るわない」
「そうしているよ」
「ですね、では監督になられても」
「しないよ」
 暴力を振るうことはというのです。 
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