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Three Roses

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第十四話 同じ父を持ちその十一

 そう決めてからだ、王は側近達を見回してこう問うた。
「このことは他言無用だが」
「はい、何でしょうか」
「何かありますか」
「私自身のことだが」
 こう前置きして言うのだった。
「近頃身体が辛いのだ」
「お身体の調子がよくない」
「そうだというのですか」
「どうもな」
 玉座に座ったうえでの言葉だ。
「身体が疲れやすい、それに食欲もだ」
「あまり、ですか」
「ありませんか」
「前よりも美味く感じることがなくだ」
 それにというのだ。
「食べる量も減ったと思う」
「そうなのですか」
「お食事についても」
「そうした状況ですか」
「寝ることもだ」
 このことについてもというのだ。
「眠りが浅く前よりもだ」
「お休みになれませんか」
「どうにも」
「何か衰えている感じがするのだ」
 全てにおいてというのだ。
「身体の中からな」
「王よ、ならばです」
 側近の一人が王に言って来た。
「ここはです」
「薬をか」
「前王に常に勧められていましたが」
「私もか」
「飲まれてはどうでしょうか」
 身体が悪いのなら、というのだ。
「そうされては」
「そうした方がいいか」
「そう思いますが」
「わかった、では余も薬を飲もう」
 前王、彼の甥と同じ様にというのだ。
「やはりまだな」
「はい、疲れられるには早いと思います」
「余にはやらねばならぬことが多い」
 この国の王としてだ。
「お二方の分までな」
「先のお二方の王は残念でした」
「うむ、即位されたがな」
「早いうちにです」
 倒れてしまったというのだ。
「そうなってしまいましたので」
「余jは、だな」
「はい、ご自重もされ」
「長く生きてだな」
「この国の為に果たすべきことを果たされて下さい」
「わかっている」
 これが王の返事だった。
「人は長く生きた者こそがだ」
「勝者ですね」
「ロートリンゲン家を見るのだ」
 ここで出したのは太子のその家だった、大陸一の権門と言われているこの家である。
「あの家は婚姻で栄えているが」
「多産、そして長寿でもですね」
「栄えてきた、最初の帝国と皇帝になった始祖といい中興の祖といい」 
 その彼等はというのだ。
「長寿だな」
「確かに。あの家は長寿の家系でもあります」
「特に皇帝や国の主となられる方は」
「七十まで生きられることも多いです」
「そしてことを果たされます」
「その間強い敵がいてもだ」
 皇帝の継承権を争う他家の者や他国の王といった存在がだ、この家も数多くの敵と渡り合ってきたのだ。 
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