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Three Roses

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第十四話 同じ父を持ちその十

「危険だ」
「帝国も教皇庁とは水面下ではいがみ合っていますが守護者という立場ですし」
「その帝国とも衝突することにもなります」
「教皇庁とはですね」
「全面的に衝突すべきではないですね」
「我々は新教の国だが」
 だがそれでもというのだ。
「旧教の者もまだ多くな」
「しかもですね」
「教皇庁の影響も強い」
「だからこそですね」
「異端審問は排除出来ない」
「完全には」
「そうだ、だからだ」
 異端審問は遠ざけたいがというのだ。
「完全にはな」
「それは出来ないですね」
「だから適度に遠ざける」
「それで済ませておくしかないですね」
「そうだ、だが近付くことは」
 マイラのそれはというのだ。
「危険だ」
「ですね、それでは」
「ここは、ですね」
「マイラ様を止めますか」
「そうされますか」
「そうしよう、ただ」
 それでもとだ、ここでこうも言った王だった。
「あの娘は前からそうだったが」
「頑固な方ですね」
「お考えを変えられないですね」
「非常に意固地な方です」
「そうした一面が強いです」
「余が言ってもだ」
 国王であり彼女の叔父でもあるがだ。
「それでもだ」
「お聞きになられるかどうか」
「そのことはですね」
「わからない」
「そうだというのですね」
「そうだ、だからだ」
 それでというのだ。
「あの娘に言っても聞いてくれるか」
「わからないですか」
「王が言われてもですね」
「不安が残る」
「そうなのですね」
「異端審問の者達は今はだ」
 この国においてはというのだ。
「法に法を重ねて動けなくしているが」
「若しマイラ様が彼等と近付き」
「そして、ですね」
「その法を越える権限を与えられれば」
「問題がありますね」
「だから止めたい」
 絶対にとだ、王は言った。
「私の言葉を一度は聞かずとも」
「何度もですね」
「あの方とお話をされますか」
「そうされますか」
「うむ、一度話したら後はだ」
 それからはというのだ。
「それでも駄目でもだ」
「二度も三度もですね」
「聞かれるまで、ですね」
「お話をされる」
「そうしていきますか」
「そうしていこう、何としてもな」
 こう言って実際にだった、王はマイラに異端審問と結びつきを強めることを止める様に忠告することにした。
 しかしだ、それでもだった。 
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