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GATE 株式会社特地電工 ~彼の地にて 斯く戦えり~

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第一部
  事務所が無い?!その4

 
前書き
(受付で・・・悪いことと、良いことと) 

 
 「こんにちわぁ、特地へ行かれますかぁ?」

 GATE前の衛兵さんに聞いたとおり、向かいのビルの二階ロビーには受付があった。ここでまさかコンビニばりに「っしゃいぁせぇー、ファ●リーマートよぉーこそー!」のような調子で上記のような声をかけられるとは思わなかった。(筆者注記:筆者は特定のコンビニに変な思い入れはありません、念のため)

 ここは一応、役所の類のはずだ。こうした調子であっても出来るだけきちんと受け応えしよう・・・

 「はい、初めてなのですが・・・特地電工へ伺いたいのですが?」

 すこし背筋を伸ばして、営業スマイルもマシマシで言ってみる。

 公務員さんにしろ会社員にしろ、受付窓口係の方たちにはいろんな人がいるのだ。親切丁寧で親しみやすいから、と言って、こちらがあからさまに「上から」の言葉で返せば、それまでフレンドリーだったその表情が豹変して急に冷たくなる人もいるのだ。公務員さんたちは給料相応分の対応だけが義務範囲で、それを上回る分の対応の良さは、こちら側の態度次第なのだ。



 こちらもきちんと誠意を持って対応すればwin-winで気持ちよく取り引きが終わる、そうでなければ、負のスパイラルに陥り、「ナメられてたまるか!」とばかりに、たちまちゴングの鐘が鳴るのだ。


 「はぁい、初めてですね、そうしましたら・・・そちらに筆記台が有りますので、こちらの用紙に記入になって、4番窓口へどうぞ」

 と仰せられて、薄ピンクの紙を差し出して下さった。こちらが発した「特地電工へ伺いたい」という情報は軽くスルーされたようだ。でも、あくまで下手に出ておくことにする。


 受付の方は、よく見れば大変かわいらしい容姿のお嬢さんではないですか?脳天を突き抜けるようなハイトーンの、若干のアニメ声でニッコリ・スマイル★ゼロ円で大変好印象、どうやらこれだけの会話だけで今日のお取り引きが全て終了なのがもったいない。だからと言って、これ以上何か余計な事をしゃべるのも無粋なものだ。

 「あぁ、どうもありがとうございます!」と言って、差し出された用紙を受け取る。

 筆記台に向かい、用紙に住所・氏名・年齢・職業・所属・連絡先・・・と、どんどん個人情報を記入していく。こういうのは運転免許とか何かで、ペーパーレス化とか電子化とか、自動的なものにできないモノなんだろうか?国会で大騒ぎしてたマイナンバーって、あれ、結局、一般庶民の煩わしさ解消には役に立っていないな?情報漏洩を畏れて、利便性のほうがサッパリ進まないのはどうかと思うぞ?


 さて、15分かけて、似たような別の紙に、同じことを何度も書き込み、4番窓口へ向かった。



 ・・・。



 誰もいない。



 「ごめんくださ~い」



 声をかけてみるが、返事がない。ただの屍のような人影もない。



 あたりを見増してみても、呼び鈴やチャイムのようなものもない。


 
 3分ほど待ってみたが、埒が明かないので隣の窓口へ行ってみる。


 「すみません、4番窓口は誰もいないみたいなんですが・・・」


  隣と言っても、ちょっと離れた窓口で声をかけてみると・・・


 「そのうち帰ってくると思いますから、あちらでもう少し待ってみてください」


 にべもない・・・。 




 ・・・。



 ・・・。




 30分は経っただろうか、ようやく担当の方らしき方が帰ってきたので声をかける。

 「すみません、こちら4番窓口であってますか?」

 「はい、初めての方ですね?・・・あ、申請書はもう?」

 ここまで窓口をほったらかしていたことに謝罪なし。

 「えぇ、こちらで宜しいですか?」といって書類を差し出す。


 「では、しばらくお待ち下さい。」



  ・・・。

 
  ・・・。

 
  ・・・。


 まぁね、窓口には種類が二つあって、

  ・待たせるところ、

 と、

  ・待たせまくってイラつくところ、

 のふたつだね。



 待たせる窓口は、ダメ窓口だ。
 
 待たせまくってイラつかせる窓口は、よく訓練されたダメ窓口だ。


 訓練された結果ダメなんだから救いようがない。

 OA化とかIOTとかでみんなリストラされてしまえ!



  ・・・。

 
  ・・・。

 
  ・・・。



 もうね、かえろふよ。

 もうぼくちゃん、つかれちゃったもん。

 どんだけ待たんななんやろなぁ・・・



  ・・・。

 
  ・・・。

 
  ・・・。



 結論から言うと、気を失っていた。


 我が口元を濡らすのは夜露だけにあらず・・・よだれ・・・。



 ユサユサと、揺り動かされて目を覚ます。

 揺り動かす人が、血のつながっていない妹とかだったら最高なのに・・・。



 「大村さまぁ、お待たせしました。」

 「はい、お待ちしてました。」

 我ながらさすが社会人を十数年目。受け返し一つにも気配りとウィットが大事?!




 「すみません、こちらへ・・・立てますか?」

 眼をこすり、よだれをハンカチでぬぐい・・・

 ここで、揺り動かしてくれた人、よくよくみると、


 なんと、先ほど受付にいらっしゃった大変かわいらしいお嬢さんではないですか!!



 これはしまった、好感度を下げてしまったか?




 「はい、大丈夫です!」


 「手続きは完了しています、こちらの書類とパスを持って、特地へ行けますよ・・・?」



 「あ、それはどうも。えっと、次は何窓口へ行けば?」(←まだ寝ぼけている)


 「いえいえ、手続きはここで、この書類とパスで終わり、です。

  えっと・・・ゲートを通るときにそのパスを見せさえすれば、

  もう向こうへ自由に行けますよ?」



 「あ、そうですか・・・ありがとうございます。じゃぁ、私はこれで・・・」



  ノロノロと立ち上がり、書類をモタモタとカバンに仕舞い、


  パスをポケットを突っ込み・・・損ねて、落っことす・・・



 
「「あっ・・・」」




 受付嬢と同時に、堕としかけたパスを空中でキャッチ!そして・・・

 何かの青春映画のように2人の手が触れあい、同時に手を引っ込める。(お約束?)


 えっと・・・ちょっと気まずい・・・?



 「あぁ、すみません」

 「・・・パス、再発行は大変ですので大事になさってくださいね・・・」



 いやぁ、甘酸っぱいねぇ~。

 こちとら「おじさん」と来た日にゃ、若かった頃ならともかく、

 最近はこういう展開もなかなか無くてねぇ~。思わず惚れちゃいそうだよ~。

 メンドクサイとか思われたらショックなのでこの辺にしておくかねぇ~?



 「あのぉ・・・」と受付嬢が人の顔をのぞき込むようにじっとこちらを見ている。

 はひいぃ??


 セクハラとかしていませんよ?

 ちょっとアタマのおかしな事を考えてボーっとしてたかもしれませんけど、

 そんなのオモテに出していませんよね?


 受付嬢のあなた、「人の心が読める」とか微妙にSFチックな人とかじゃ無いですよね?


 私、訴えられますか?相手取られちゃうんですか?




 「い、い、いやぁ、あの、何か失礼をば?」

 「いえ、あのぉ・・・私、今日は早上がりなので・・・

  もう、これからゲートの向こうに帰るところなのですが・・・

  あちらまで一緒に行くぐらいのご案内でしたら・・・おせっかいかも、ですか?」


 なんと、道案内をお申し出くださった!!


 「あ、それはとてもありがたい・・・いや、でも、

  初対面の方にそこまでして貰うのも申し訳ないような・・・」



 「いいんですよ、どうせ同じ道を行くところでしょうから、知らん顔して歩くのも気まずいし・・・

  特に初めての方には戸惑いもあると思いますし・・・。」



 「あぁ、ご親切に・・・そういう事でしたら是非ともよろしくお願いします。」



 地獄に仏とか、そういう心境で、助かったぁ!とか思って・・・

 結果、このかわいらしい女性にゲートの向こう辺りまで、エスコートしていただけることに。

 ラッキー☆!




 
 

 
後書き
すみません(>_<)

 この話、プロット段階で「受付でひともんちゃく」とだけ決めて、どういう内容にするか決めて無くて筆が進まず・・・ちょっと長いインターバルをいただきました。「ひともんちゃく」はやめて受付で長いこと待たされただけにしました。本当は偉いさんを出せとか大騒ぎさせるつもりだったのですが・・・あんまり血の気の多い主人公にしたくないなと思い直したので。そのせいで筆も止まっちゃったし。

 正月休み、短いけれど暇そうなので、少しはお話も進めようと思います。まずは慌てて、書いてる途中だったこの下書きを仕上げてアップしますね。

 このつづきも、お楽しみに~。



<H29.08.05追記>
 すみません、筆が止まっております。

 じつは正月に書いたプロットがどこかへ行くわ、その後、大きな病気になるわ、いろいろあったんです。で、続きを・・・まぁ、まだゴミ収集車爆発の伏線とか、大村主任の新任地に事務所が無いこととか、いろいろ書かなきゃいけないことが溜まっていますので、そのうち更新すると思います。病気がもう少しで治るので、気長にお待ち下さいな。

でわ。 
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