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『零と先輩』

作者:零那
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『ピーク』


また環境が変わった。
それから、あらゆるストレスも限界をとっくに突破していた。
もう何も考えないことにした。
それでもやっぱり昔みたいな石の心にはなれない。
考えないなんて無理。
そんな器用に生きれないし、そんな賢くもない。

昔、養父から玩具の扱いを受け、レィプを受けてた頃、イタミを感じすぎてイタミを感じない心になった。
その時みたいな感覚をもう一度手に入れたかった。
限界を超えたらどうなるのか自分自身が1番怖かったから。

結局、『何がストレス』って言い切れる唯ヒトツのことは無くて『何もかも』嫌になってたんだろう。
限界を超えすぎてワケが解らなくなっていた。
生きてることが嫌になるくらいだった。
長女の育児中にもあった。
根本的に子供大好きってわけでもない。
欲しくて欲しくてたまらなくて授かったわけでもない。

不謹慎かもしれないけど、できやすい体質なのだろう。
望まない人は出来やすく、望む人は不妊治療に苦しむ。
そんな印象がある。
神様はとことん不公平だ。

子宮外妊娠や流産含めた堕胎を経験したのは4回。
今の息子の産後は、今迄ズット欠かさず避妊ピルを服用している。

育児も、家庭も、何もかもが嫌になる...1人になりたい。
でも、実際1人になるのは無理だ。
我が子と離ればなれになるのは考えられなかった。
保育園もいっぱいで幼稚園も行けなくて、四六時中一緒だった。

信頼できる身内もいない。
預けられるだけの安心感を抱けれる相手も居ない。
新たに友達が出来る環境でも無い。
発散出来る状況も無い。
ストレスが溜まるのは当然だろうし、親として恥ずかしいなんて思わない。
でも、同じように息子にもストレスが在ると思うと...辛かった。

先輩には何度も打診をした。
逃げる為に迎えに来てくれるか。
荷物ごとごっそり居なくなる為のトラックが在るか。
住むところ、金銭的なもの、託児的なところ...。
一時期は何回も相談した。

先輩が、おいでと言ってくれたときは行きたかった。
何ヶ月も葛藤した末、やっぱりあの頃と同じ選択はしたくないと改めて考え直した。
迷惑がかかるのは解ってる事。

先輩に相談して、冷静になって、それでも離婚届を書いて...どうにか耐え抜いて、逃げたいピークを終わらせた。

離婚届を書いても提出される事は無いと解ってた。
解ってたけど、気休め程度だけど...。
自分が動けないから人に頼んで離婚届を送って貰った。
そこまでしてでも書いておきたかった。


 
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