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『零と先輩』

作者:零那
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『来店』


零は、お金を稼ぐ為また風俗で働き出した。
娘を預けながらの仕事。

先輩が県外から来てくれた。
時間とお金を使って逢いに来てくれたのに、更に店にお金をオトしていく。
先輩は飲まないのに零の為にビールを買ってきてくれた。

こんなにしてもらってもいいんだろうか。
何も出来無いまま、何も返せないまま、何も与えれないまま...
もし先輩に嫌われたら零は生きてけるのだろうか。
もし先輩が連絡先を変えたら零はどうなるんだろうか。

今迄何度、変えずにいてくれる連絡先に救われたことか。
きっと、零にとって先輩は死んでも頭が上がらない存在だ。
感謝なんて言葉じゃ全然足りない。

零は何も返せていないのに、先輩は零に与えてくれる。
どれだけのことをすれば恩を返せるのか計り知れない...。

逢えた時、本当は泣きそうなくらい嬉しかった。
でも、そぉゆうの自分らしくないから。
恥ずかしいし、そんな素直な反応すると気色悪いし。
先輩も困るだろう。

素直になるのは苦手だ。
何でもないフリしかできない。
だから可愛げも何も無い。
かといって女らしくとか無理。

たぶん先輩は解ってくれる筈。
妙なとこで素直になれない零のことを。

こんなことされて本当は嬉しくてたまらないってことを。
でも表現方法が解らないだけだって事を...。

解ってくれてる筈だと想うことが既にエゴなのだろうか。
そんなに零のことを解ってくれてるわけ無いのかな。
でも、先輩だからこそ、敢えて零のことなら何でも解ってくれてると言い張れる気がする...。

あっという間に時間は過ぎ、零にとっての幸せな時間が終わった。
次に逢えるのはいつになるんだろうか。
離れたくない。
でも...見透かされたくない。

友達には、これが恋愛感情だと言われる。
でも零にとっては違う。
そんな生ぬるい感情では無い。

一時の熱にうなされて始まり、瞬間的に冷めゆく恋愛なんかと同等な筈は無い。
そう言うと友達はビックリしていた。
恋愛『なんか』という言い回しが適切ではないと言いたげだった。

でもいい。
誰に解って貰えなくても、零にとって先輩は大切で偉大な存在だということ。
それは死んでも変わらない事実だろうから。


 
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