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『零と先輩』

作者:零那
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『入所式』



若い女職員が言う。

『みんな最初は似たようなこと言う。暴れる子も殆ど。でも数日経てば笑ってる。大丈夫。それなりに楽しくなる。頑張れる』

尚更悔しかった。
絶対笑わん。
おどれらやか信用せん。
大人やか。
社会やか。
理不尽に虐げられるんはもう嫌。
解放されたい。
汚い腐った世の中に生きる価値も意味も無い。
殺して。
ラクにさして。
そんな気持ちを全部ぶちまけた。
抑えてた気持ちが爆発した。

若い女職員は育ちも良さそうな奴。
こんな奴が教護院の職員って笑える。

暫くして若い女が言う。

『脱いで、全部』

はぁ?
裸を晒せ?
死ねって事?
ほな殺して。
ソッチのがラク。

恥ずかしいとか見せれんモンがあるとか、そんなん関係ない。裸は勿論、着替え見られるのも屈辱でしかない。
後々聞いた話、着替えすら極端に拒否する人は、同様に極端に心を閉ざしてる証拠。

屈辱的な身体検査をされ、ダサイ色のスーツを着ろと言われ、もう従うしかなかった...。

納得できぬまま、悔しさしかなくて、どんなに足掻いても見下されてるように感じる。
此の屈辱と情けなさ過ぎる中、入所式に行かねばならなかった。
悔しすぎて涙流しながらの式。


 
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