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白髪

作者:夢叶
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三話 変化前日 礼拝

礼拝の持ち物は聖書と讃美歌。
夏は装着自由のネクタイをつけなければならない。

在学生でこの儀式が好きだと言うのはあまり聞かないが、自分は好きなほうだと思う。

讃美歌を歌うのは楽しい。
ポップスとは違うリズムで厳かで、気取った歌詞も悪くないと思える。
今日歌うのは確かお気に入りの曲だったはず。

聖書は慣れれば教訓を見つけることができる。
今日の箇所はヨハネによる福音書の八章。
これは、ある罪を犯した女を、大勢の人が石打の刑にしようとしているときの話。

キリストが皆にお話しをしていると、そこにその女が連れてこられる。
「昔定められた約束では、このような罪を犯した者は石で打ち殺せと書かれていますが
あなたはどう考えますか」
この質問をしたのは、キリストと対立する考え持つ人たちだった。
彼らは、キリストを試しているのだ。
約束を破ることは許されない。キリストに、女を殺せ、と言わせたいのだ。
けれどキリストはこう言う。

「あなたたちの中で罪を犯したことの無いものが、まず、この女に石を投げなさい」

罪は、どんなに小さくても罪だ。
例えば駐車禁止の場所に止めるとか、人の悪口を言うとか、ご飯を残すとか。
さぁ、ただの一度も罪を犯してないなら投げなさいと言われ、いったい誰が投げられる。

人々はだんだんといなくなっていった。
キリストと女が残ったとき、彼女に「あなたを裁く人はどこにいる」と、問いかける。
「誰も」そう答えた。
「私もあなたを裁かない。これからはもう罪を犯してはならない」

そういう話だった
これで学ぶのは、人を責めるのは自分を正してから、というような感じだろう。

礼拝にはまだやることがある。
それは、祈り。
黙祷なんかもそれに入る。オルガンの音が流れて、一分ほどの時間がとられる。

お祈りします、神様。
新しい朝を与えてくださり感謝します。
どうか今日一日もお守りください。
このお祈りを愛する主、イエス・キリストの御名を通して、御前におささげします。
アーメン。

祈りには、感謝と願いが大切だ。

ほかに、教師の話を聞く時間もある。
これはどの学校とも変わらない朝礼の時間となる。
くそほどにありきたりで一人よがりで、どうにも理不尽な話ばかりだ。
途中からただの説教だ。
スカートが短い、腰パンをする、通学ラッシュと被るサラリーマンからの苦情。
そんなこと話されても、こちらにはどうすることもできないというのに。

教師陣の事を嫌っているわけではないが、支配しようとしているのに
寄り添うような口調なのは受け入れることができない。

気づいてないとでも、思っているのだろうか。






 
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