| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

白髪

作者:夢叶
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

二話 変化前日 学校

高校は横浜をすぎてもう少しいったところにある。
家からは電車で一本。三十分。
割と楽だ。

それなりの歴史があり、それなりの評判がある私立校。
共学。
染髪禁止。
キリスト教。
ピアス禁止。
中高一貫。
付属小学校あり。
大学推薦枠多数。
校訓・「人の上に立ちたいものは誰でも、全てのものの僕となれ」

資料請求は無料ですのでお気軽にお取り寄せください。

しかし、どれだけ宣伝しても立地が良くない。
そこは少し丘になっていて、階段と坂は避けられず、夏場の今は学校が二倍で校舎が遠くなる。

長袖のワイシャツを肘までまくって着て来た。
半袖にするべきだったかもしれない。
汗がたまる肘にちょうど折り目が来て煩わしかった。二の腕まで折る。

やっと校舎の下に着いた。
けれど階段はまだ終わらないのだ、学生は。

エレベーターが設置されているものの、日常で使うことは許されない。
教師か、その手伝いか、何かしらの理由で許可証をもらうかしなければ、あれには乗れない。

一年は一番上の五階か一つ下の四階。
最年少が一番元気とは限らないというのに、このルールは中学でも適用されている。
二年は四階か三階。
クラスによって変わるわけだが、違う学年がいるのはどうもやりづらい。
三年になれば二階を占領できる。

今課せられている階数は三階。
つまり二年目。

高等部二年三組13番、席は窓側三列目、校則違反三つ、専攻は美術の文系。
決生活態度は悪くなく積極的で、遅刻なし。
中学三年では吹奏楽部部長を務め、その年に退部。
愛嬌があり、小学校からの内部進学で、教師との関係も親密。

これくらいだろうか。
三つの違反は、オレンジの髪とピアスと、制服の改造。
これは二年の特権だ。一年我慢した分、注意のされ方も緩くなる。

教室は角にあり、トイレが近い。
悪くは無いと思ってる。

三階に着くとわいわいと声が聞こえ始める。

「おはー」

友達は多い。ところどころ立ち止まって話す。
後ろからいきなり押し飛ばされる、やり返して笑った。

教室のドアを開けたとき、チャイムが鳴った。

「おはよーぅ」

今日も過ごす一日が始まる。
まずは火曜日なので、我が校では礼拝のある曜日だ。

ポケットから正装時につけるネクタイを取り出す。
気づいた友達が訪ねてくる。

「あれ、今日って、礼拝だったっけ?」











 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧