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ドリトル先生の名監督

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第一幕その六

「僕は運動は全然駄目でね」
「女の人にはもてない」
「そう思ってるんだね」
「そうだよ、僕はスポーツと恋愛には縁がないんだよ」
 それも全くというのです、先生はご自身のことをあくまでそうした人間だと考えていてそのことに何の疑いも持っていません。
「そんなにね」
「やれやれだね」
「こんなのじゃ本当に結婚出来ないよ」
「神様も困るよ」
「折角先生の縁結びも考えているだろうに」
「神様ね」
 先生もちゃんと信仰心があります、イギリス国教会というプロテスタントの一派を信仰しているのはイギリス人らしいです。
「大切な存在だよ」
「じゃあちゃんとだよ」
「神様にもお願いしよう」
「結婚させて下さい」
「そうね」
「うん、わかってるけれど」
 それでもという返事でした。
「僕はそうしたお話はね」
「だから諦めないの」
 ガブガブがびしっと先生に言いました。
「そこでね」
「そうそう、諦めたら終わりだよ」
 トートーも今日は厳しい感じです。
「何もかもがね」
「全く以てそうよ」
 ポリネシアもいつもより厳しいです。
「先生の悪いところよ」
「全然縁がないって諦めるとか」
 チーチーも首を傾げさせています。
「そこから進まないじゃない」
「誰だって幸せな家庭を築けるよ」
「それこそね」
 チープサイドの家族の言葉です。
「だから先生もね」
「結婚のことを考えていくべきよ」
「サラさんの言う通りだよ」
 ホワイティは完全にサラの味方です、このことについては。
「本当に」
「いや、そこはちゃんとしないと」
 それこそとです、老馬も言います。
「幸せな家庭も築かないとね」
「先生なら大丈夫だから」
 ジップは先生のお人柄に太鼓判を押します。
「絶対にいい家庭を築けるよ」
「いい奥さん来てくれてね」
「先生に相応しい」
 オシツオサレツも二つの頭で言います。
「そうなるから」
「安心して一歩踏み出そうよ」
「そうだね、結婚相談所に行こうかな」
 先生は皆の厳しい励ましを受けてこうも考えました。
「ここは」
「はい、駄目」
「どうしてそうなるのかな」
「そこで結婚相談所って」
「サラさんが聞いてたら呆れてたよ」
 それこそ完全にというのです。
「全く、そこでそう言うから」
「先生はこうしたことは駄目なんだよ」
「だから身近だよ」
「身近の状況を見ればいいんだよ」
「ううん、だからそうした人がいないんだよ」 
 あくまで先生の見たところです。 
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