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ドリトル先生の名監督

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第一幕その五

「いいんだ」
「そうなのね」
「山口の下関という街に行くといいよ」
「大阪か下関ね」
「福岡にもいいお店が結構あるらしいよ」 
 こちらにもというのです。
「だからね」
「ええ、じゃあちょっと主人と一緒に行ってみるわ」
「どっちに行くのかな、それで」
「大阪にするわ」
 こちらの街にというのです。
「近いから」
「この神戸のお隣だしね」
「ええ、それに関西新空港でイギリスに帰るから」
「丁度大阪に行くね」
「だからね」
「大阪だね」
「そこのお店に行くわ」 
 サラはにこりと笑って先生に言いました。
「いいお店知ってるかしら」
「づぼら屋かな」
「づぼら屋ね」
「河豚料理なら何でも食べられるから」
「そうなのね、じゃあね」
「行って来るんだね」
「そうするわね」 
 お兄さんに笑顔で答えるのでした。
「是非ね」
「うん、楽しみにしておいてね」
「そうさせてもらうわね」
「それじゃあね」
「全く、河豚みたいな美味しいお魚は」
 それこそという口調での言葉でした。
「そうそうないわ」
「僕も最初食べて驚いたよ」
「不格好なお魚だけれど」
「美味しいのよね」
「これがね」
 実にというのです、先生も。
「僕も大好きだよ」
「兄さんと同じね、太っていても」
「中身はというのね」
「そう、いいから」
「ううん、僕は河豚なのかな」
「お魚で例えたらね」
 そうなるというのです。
「中身は凄くいいから」
「だといいけれどね」
「じゃあ今日はこれで帰るから」
 ここまでお話してというのです。
「それじゃあね」
「うん、またね」
「行きましょう」
「それじゃあね」
 こうお話してでした、二人で。
 サラはご主人と合流して大阪に行くのでした、帰るついでに。
 そしてそのうえで、です。妹さんを見送った先生に動物の皆が言うのでした。
「まあね、サラさんもね」
「必死だよね」
「先生のことだしね」
「他ならぬお兄さんのね」
「だからね」
「けれどね」 
 やれやれといった口調での言葉でした。
「先生はねえ」
「本当にこうしたことはね」
「全く駄目だから」
「縁があっても気付かない」
「そうした人なんだよね」
「身近にそうした人がいても」
「だから僕はね」 
 先生は動物の皆にも言います。
「全然もてないんだよ」
「だから人気があるって聞いてもなんだね」
「サラさんから」
「それは信じてないんだ」
「そうなんだね」
「自分のことはわかっているつもりだよ」
 先生なりにです。 
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