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Three Roses

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第十一話 葬儀と即位その四

「私はそこまで考えてはいませんが」
「お姉様にもですね」
「王位継承権はあるべきです、ですが」
「我等の主はお一人です」
 畏まった声でだ、キャスリング卿が言ってきた。
「マリー様だけです」
「私だけですか」
「そうです」
 まさにという返事だった。
「他の方ではありません」
「ですから」
「私をですか」
「お護りしますし」
「王位もですね」
「保証します」
「マリー様には民と新教の支持があります」
 デューダー卿が最後に言った。
「ですから」
「王に就いてもですか」
「確かな後ろ盾があります」
「他ならぬ民に慕われているからですか」
「これは最も大きな後ろ盾です」
 まさにというのだ。
「ですから」
「私は、ですね」
「後は民の為、国の為にです」
「尽くすことですね」
「そうされて下さい」
「大公も少しお歳を召されました」
 またロドネイ公が言ってきた。
「元々女色にはそれ程積極的な方でなく」
「お子は、ですね」
「マリア様がおられますが」
「もう、ですか」
「望みは薄いかと」
 男子が出来ることはというのだ。
「残念ですが」
「だからですか」
「次の王はです」
「私ですか」
「お心を決めておいて下さい」
 王になったその時のというのだ。
「是非」
「わかりました」
 確かな声で応えたマリーだった。
「それでは」
「その様に」
「はい、ただ私が女王にですか」
 このこと自体にだ、マリーは想いを馳せて言った。
「信じられません」
「そうですか」
「どうにも」
「今は、ですね」
 大司教が言ってきた。
「それは」
「今はといいますと」
「人はその時にならないと実感出来ません」
「だから今の私もですか」
「実感出来ないのでしょう」
 こう自身の主に話すのだった。
「マリー様も」
「そうですか」
「はい、ですがその時になれば」
「私も実感出来ますか」
「そうだと思います」
「そうですか、では」
「はい、今は己を磨かれ」
 大司教はさらに話した。
「お味方を増やしていって下さい」
「私の」
「そうです、政治は基盤も必要です」
「即ち後ろ盾がですね」
「それなくして玉座に座られても」 
 例えだ、そうしてもというのだ。 
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