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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第103話

その後アーネストを加えたロイド達は脱出を続け、兵士達の詰め所に入った。



~ノックス拘置所~



「ガ、ガルシア!?」

「それにアーネストも!?」

「支援課の若造もいるぞ!?」

詰所に入って来たロイド達を見た兵士達は驚き

「ええい!まとめて捕えろ!」

そしてそれぞれの武器を構えて軍用犬達と共にロイド達に向かって行った!

「喰らえっ!!」

兵士の一人はクラフト――大切斬でアーネストに襲い掛かったが

「ハッ!!」

アーネストは後ろに跳躍して回避し

「ハァァァァ………バーニングフィンガー!!」

「ガッ!?」

クラフト――バーニングフィンガーで兵士の顔を殴って怯ませ

「セイッ!もう一つ!!」

「グアッ!?……………」

続けてクラフト――ダブルザンバーを放って戦闘不能にさせると共に気絶させた!

「撃てっ!!」

一方銃を持った兵士達はロイド達に銃撃を放とうとしたが

「遅ぇっ!!」

「そらよっ!!」

「ガッ!?」

「ぐあっ!?」

銃撃を放つ前に放ったガルシアのクラフト――――ベアタックル、ギレゼルのクラフト――加速襲撃を受けて怯み

「そらあっ!!」

「らあっ!!」

「ぐっ!?」

「がっ!?」

ギレゼルとガルシアがそれぞれ放った強烈な一撃を受けて戦闘不能になると共に地面に膝をついた!

「「グルルルル!!」」

軍用犬達はロイドを襲ったが

「――――させないわよ!」

「「グルルルッ!?」」

ルファディエルが展開した光の結界によって閉じ込められた!

「今よ、ロイド!」

「ああ!」

そしてルファディエルの号令によってロイドは突撃し

「「ホーリーストライク!!」」

ロイドが結界に突撃してすり抜けると同時に光の大爆発が起こり

「「!?……………」」

爆発に呑みこまれた軍用犬達は絶命した!



「くっ………はあはあ。」

戦闘を終わらせたロイドは息を切らせ

「ロイド君、大丈夫か!?」

ロイドの様子を見たアーネストはロイドを心配し

「クク……息が上がってきたじゃねえか。そんな体たらくでこの先を切り抜けられると思ってんのか?」

ガルシアは口元に笑みを浮かべて尋ねた。

「ああ、俺一人じゃ無理だとは思うけど……あんたやルファ姉達、そしてアーネストさんの助けがあれば拘置所からの脱出は可能だ。使える力は使わせてもらうさ。」

「ロイド君………僕なんかでよければ存分に使ってくれ!」

「フフ、わかってきたじゃない。」

「くかかかかっ!ルファディエルが溺愛しているだけあって、段々と策士になってきているじゃねえか!」

ロイドの言葉を聞いたアーネストは静かな笑みを浮かべ、ルファディエルは微笑み、ギレゼルは陽気に笑い

「……フン、開き直りやがったな。いいだろう……とっとと抜け出すぞ!」

ガルシアは口元に笑みを浮かべた後、ロイド達を促した。その後ロイド達が襲い掛かってくる兵士達を蹴散らせながら、しばらく進むと、数人の兵士達や軍用犬達がシャッターを閉めた状態の出入り口付近に集結していた。



「―――脱走者は5名!元マフィア幹部のガルシアと元市長秘書アーネスト、支援課のバニングスとバニングスに従う異種族2人と思われる!国防軍の誇りにかけて絶対に拘置所から出すな!」

「イエス・サー!」

隊長の言葉に兵士達が答えたその時

「ハッ……誇りときたか。」

嘲笑するガルシアと共にロイド達が近づいてきた!

「なっ……!」

「も、もう降りてきたのか!?」

ロイド達を見た兵士達は驚き

「悪いけど……ここは押し通らせてもらう!」

「クク、その誇りとやらを見せてもらおうじゃねえか?」

「ロイド君の脱走は命をかけてでも成功させる!」

「練度の低い兵士では数を揃えても無駄な策である事を教えてあげるわ!」

「くかかかかっ!その誇りとやらが我輩のような悪魔に通じるかな?」

ロイド達はそれぞれの武器を構え

「くっ……かかれ!」

ロイド達の行動を見た隊長は唇を噛みしめた後号令をかけ、兵士達は突撃した!しかしその時!

「エニグマ駆動!ダークマター!!」

「うわああああああああああああっ!?」

ルファディエルが発動したアーツによって一箇所に固められ

「闇に呑まれちまいなぁっ!ティルワンの闇界!!」

「ぐああああああああああっ!?」

続くように放ったギレゼルの魔術を受けて苦しんだ。

「うおおおおおおおおおおおお……………ハアッ!!」

そしてロイドはクラフト――レイジングスピンで敵すべてを引き寄せてダメージを与え

「オラアッ!!」

「ぐがっ!?」

「ぎゃっ!?」

ガルシアはクラフト―――――大回転旋風脚を放って兵士達全てを気絶させた!

「これで……決めさせてもらう!」

一方アーネストは剣を地面に刺して魔法陣を展開し

「ハアッ!!」

剣に闘気を流し込んで叫び

「ギャン!?」

アーネストの剣を伝わって足元から発生した闘気の剣―――――アーネストのSクラフト――――神楽剣に貫かれた軍用犬達は悲鳴を上げて絶命した!



「ふう………何とかなったか。しかしアーネストさんも凄かったけど………ガルシアはやっぱり凄まじい戦闘力だな。ランディや赤い星座のボスも相当なものだったけど……」

「ハハ………マクダエル先生の為と思って鍛えていただけだよ。君達ほどではないよ。」

戦闘終了後ロイドに感心されたアーネストは苦笑し

「フン……”赤の戦鬼(オーガロッソ)”シグムントか。猟兵時代に何度か遭遇したが正直、本物の化物だったぜ。噂じゃ娘の方も相当ヤバイと聞いているが。」

ガルシアは鼻を鳴らした後ロイドに視線を向けた。

「ああ……”結社”の連中より、単純な戦闘力では上かもしれない。まあ”結社”の方にもとんでもない使い手がいたけど……」

「クク、そんな化物どもとこの先やり合う必要があるわけか。前途多難じゃねぇか、オイ?」

「ああ、全くだよ。」

そして口元に笑みを浮かべて言ったガルシアの言葉にロイドは溜息を吐いて答えた後封鎖されているシャッターに近づいた。

「封鎖されているな……近くでロックを解除できると思うけど。」

「後は押収されたロイドの武器やエニグマ、回復薬なども回収できるといいのだけど……」

シャッターに近づいたロイドとルファディエルは考え込み

「ハッツ、そこの部屋だろう。とっとと解除してずらかるぞ。」

ガルシアは振り向いて、扉を見つめて言った。その後ロイドは部屋に入って部屋にあった自分の武器やエニグマ、荷物などを全て回収し、端末を操作してシャッターを解除し、ガルシア達と共に外に出て走り出した!そしてロイド達が森林道の出入り口付近まで走るとガルシアとアーネストが立ち止まった!



「ガルシア……?アーネストさん……?」

二人の行動にロイドは不思議な表情をした。

「―――馴れ合いはここまでだ。ここから先はてめぇらで行くんだな。」

するとガルシアはロイド達に背を向けて言い

「ここからは僕達が時間稼ぎをする。君達は気にせず行ってくれ!」

アーネストもロイド達に背を向けて剣を構えて言い

「え……………」

二人の言葉を聞いたロイドは呆け

「「………………………」」

ルファディエルとギレゼルは黙って二人を見つめていた。

「これでも一応ルバーチェの”若頭”でな。手下は勿論、あの会長だって放って逃げるわけにはいかねぇ。」

「僕は元々君達の逃亡に手を貸すだけのつもりだったしね。今までの罪も償っていないのにここから逃げる訳にはいかないよ。」

「ま、待ってくれ!アーネストさんはまだわかるけど、ガルシアはどうしてここまで付き合ってくれて………それに幾らあんたでもたった二人じゃあどうしようもないだろ!?だったら俺達も――――」

二人の答えを聞いたロイドは慌てた様子で申し出たが

「履き違えるな、小僧!真実を見極める……てめぇはそう言ったはずだ。捕まった仲間を解放してあのガキを取り戻すとな。………こんな場所でグズグズしてる暇はあんのか?」

「僕の事も気にする必要はない!今までマクダエル先生達に迷惑をかけたこんな僕が君やエリィ達の力になれるのなら……本望だ。」

「………………………」

ガルシアとアーネストの言葉を聞いて黙り込んだ後ガルシア達に背を向け

「―――ありがとう、ガルシア、アーネストさん。立場上、あんた達の脱走を歓迎する事はできないけど………二人とも、どうか無事でいてくれ。」

複雑そうな表情になった後口元に笑みを浮かべて言った。

「ハッ……無用な心配ってモンだぜ。」

「フフ、これでもかつてはマクダエル先生の護衛も務めていたんだ。そう簡単にやられるつもりはないよ。」

ロイドの言葉を聞いた二人はそれぞれ口元に笑みを浮かべて答え、ロイドはルファディエルとギレゼルと共に去って行った。

「……ロイド・バニングス……あの野郎の弟か。なかなか良い面構えになってきたじゃねえか。」

「フフ……エリィも彼のような誠実な男性と恋仲になれて幸せだろうな………」

ロイド達が去るとガルシアとアーネストはそれぞれ口元に笑みを浮かべて言った。するとその時

「いたぞ……!」

「絶対に逃がすな!」

拘置所や警察学校から国防軍の兵士達が次々と現れて二人に向かっていた。

「クク、地の利は十分だ……言っておくが、ヤバくなっても助けるつもりはないからな?」

「ああ。元々僕は最後の最後まで戦い抜くつもりだ……!」

「クク、ならいい。……………おおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

兵士達を見たガルシアは好戦的な笑みを浮かべてアーネストに呟いた後クラフト――――――絶倫攻で自分の身体能力を上昇させると共に膨大な闘気を纏った!

「この”キリングベア”の鉄拳、存分に味わってもらおうかあッ!」

「今まで迷惑をかけたマクダエル先生やエリィ達へのせめてもの償いの為に………一人でも多く足止めさせてもらうぞっ!!」

そして二人はそれぞれ決意の表情で叫び

「「おおおおおおおおおおおおおおおっ!!」」

それぞれ叫びながら向かって来る多くの兵士達との戦闘を開始した!



~ノックス森林道~



「ハアッ、ハアッ………」

ルファディエル達と共に森林道に出たロイドは息を切らせて立ち止まって、警察学校の方向に振り向いて見つめ

「……女神達の加護を。」

その場で祈りを捧げ、そして振り向いた。すると周囲にはなんと”プレロマ草”があちこちに咲いていた!

「『プレロマ草』がここまで………俺が捕まっていた間に咲き始めたってことか……もしかしてキーアにも関係しているのか?」

「下手をすれば”幻獣”と出会う可能性も出てくるわね……」

周囲の状況を見たロイドとルファディエルは考え込んだ。

「考えるのは後にして、とっとと逃げねえか?でないとあの二人の囮が無駄になるぜ?」

「……そうね。」

ギレゼルの言葉を聞いたルファディエルは静かに頷き

「ああ……全てはここを切り抜けてからだ。とにかく一旦街道に出よう。………あらゆるルートを想定して、何としても切り抜けてみせる……!」

ロイドは頷いた後決意の表情で叫んだ!その後ロイド達は街道に向かって走り出した。



かつてはロイド達の敵として道を阻んだガルシア・ロッシとアーネスト・ライズ。二人はそれぞれ獅子奮迅の活躍で多くの兵士達を気絶させたり大怪我を負わせたりしていたが次々と現れる兵士達の数や、銃撃やアーツ攻撃によって圧されて、それぞれ戦闘不能になると共に気絶したが、二人とも満足げな笑みを浮かべて気絶していた…………… 
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