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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第40話

タワー内に入ったロイド達はロビーにあるソファーに座ってダドリーを待っていた。



同日、12:00―――――



~オルキスタワー~



「―――来ていたか。」

ロイド達がソファーで待っているとダドリーがロイド達に近づいてきた。

「ダドリーさん。」

「お疲れ様です。」

「現在、正午ちょうど――――通商会議が始まるのは13:00となっている。あと30分もすれば首脳たちがやってくるだろう。」

「なるほど……」

「それで、私達の方はどちらに向かえば?」

「本当ならば、私が会場回りを軽く案内するつもりだったが……思わぬ人が、お前達を案内してくれると申し出てな。」

「思うぬ人?」

疲れた表情で言ったダドリーの話を聞いたロイドが不思議そうな表情をしたその時

「―――やあ諸君。よく来てくれたね。」

なんとディーターがロイド達に近づいてきた。

「ディーター社長!?」

「おじさま……!」

「半月ぶりだね、エリィ、ロイド君。ワジ君にノエル君、リィン君……おっと、ランディ君とティオ君は久しぶりかな?」

「ハハ、お久しぶりッス。」

「ご無沙汰してます。」

「でも、どうしておじさまが……」

「通商会議の直前でお忙しいんじゃないんですか?」

「準備ならとっくに済ませてあとは首脳たちを待つだけでね。気分転換も兼ねて君達を案内させてもらおうと思ったんだ。ダドリー君、構わないな?」

「フウ……市長がそう仰るなら。―――お前達、くれぐれも市長に失礼のないように。それと、一通り案内されたら34Fの警備対策室に来い。」

「了解しました。」

「では市長、また後ほど。」

「ああ、よろしく頼むよ。」

そしてダドリーはロイド達から去って行った。



「フフ、有能な捜査官だが少し融通が利かないところがあるな。彼の職分からするとそれもまた美徳なのだろうが。」

「ハハ……」

「そんなダドリーさんにとってさまざまな予想外の行動をする局長は頭を痛める存在なんでしょうね。」

「ま、鬼の捜査一課としての威厳もあるんだろうからねぇ。」

ダドリーが去った後呟いたディーターの言葉を聞いたロイドとリィンは苦笑し、ワジは口元に笑みを浮かべて言った。

「私としてはダドリー君がヴァイスハイト局長やギュランドロス司令のようにもっと親しみやすいところや融通を効かせるところを出せば、より成長できると思うんだがな。」

「ダ、ダドリーさんが局長達のようにって……」

「全然想像できませんよね。」

ディーターの呟いた言葉を聞いたエリィは苦笑し、ティオはジト目で言い

「というか局長達はダドリーさんを見習ってもっと真面目になるべきですよ……」

「そうか?あの2人のおかげで働きやすい職場になっているからいいじゃねえか。」

疲れた表情で言ったノエルの言葉を聞いたランディは口元に笑みを浮かべて言った。

「おっと、肝心なことを言い忘れていたな……―――支援課の諸君、”オルキスタワー”へようこそ!さあ、付いてきたまえ!」

そしてディーターはロイド達に振り向いて笑顔で言った後ロイド達から去って行き

「はは、相変わらずだな。」

「さすがはマリアベルさんのお父さんなだけはありますね。」

「ま、まあせっかく案内してくださるみたいだし。」

「ああ、お言葉に甘えるか。」

ロイド達はディーターの後を追った。



「エレベーターが3基も……」

「凄いな……」

「へえ、さすが豪勢だねぇ。」

ディーターの後をロイド達共に追ったノエルとリィンは通路にある3基のエレベーターを見て驚き、ワジは静かな笑みを浮かべた。

「まあ、地上40階の高さだからね。専用のエレベーターを入れたら全部で6期が運用されているんだ。」

「それは凄いですね……」

「さて、全部のフロアを案内するわけにもいかないから会議関連のフロアに限定しよう。まずは警備対策室のある34階だ。」

「よろしくお願いします。」

そしてロイド達はディーターと共にエレベーターに乗り、エレベーターは上がりはじめた。

「―――なるほど。ダドリー君からも聞いたが確かに危うい状況だな。」

「はい……猟兵団と犯罪組織の動向にエレボニア政府とカルバード政府の思惑……」

「……そして両国首脳を狙うテロリストの脅威もあります。」

「それと謎のハッカーですね。奪われたタワーの図面はやはりこちらの端末から?」

「ああ、どうやらオルキスタワーのサブ端末をハッキングしたらしい。IBCの一件があって以来、システム部門でもハッキング対策は強化していたつもりだったが……まだまだ不十分だったようだな。」

ティオに尋ねられたディーターは真剣な表情で答えた。

「ふむ、ハッカーなんてまだまだ数は少なそうだけど。」

「やっぱりエプスタイン財団の関係者の可能性が高いのかねぇ?」

「現在、ロバーツ主任がその可能性を探ってくれています。ただ、今回は財団の関係者ではないような気がしますけど……」

「まあ、そちらの調査はおいおいするしかないだろう。猟兵団や犯罪組織、テロリストたちも心配だが……それ以上に気になるのが首脳達の狙いと思惑でね。」

「首脳たちの狙いと思惑……」

「つまり通商会議の参加者ってことッスか?」

ディーターの話を聞いたロイドは真剣な表情になり、ランディは尋ねた。

「君達が会ったクローディア姫とオリヴァルト皇子については私もあまり心配していない。レミフェリアの大公閣下もやはり信頼に足る人物だろう。……問題は、オズボーン宰相とロックスミス大統領、リフィア姫とレン姫の4人でね。」

「3大国の首脳ですか……」

「たしかにクロスベルの命運を握っているのは4人だとは思うけど。具体的に、何か動きでも?……特にメンフィルについてはエリィのお姉さん―――”聖皇妃”がクロスベル出身者の上、マクダエル議長の親族なんだから大丈夫だとは思うんだけど。」

「いや、その逆だ。―――会議の開催に当たって幾つかの取り決めや国際協定などの提案を事前に送ったのだが……そこで返ってきた返答が各国とも好意的すぎたのだよ。まるで本気で、西ゼムリアの平和と発展を望んでいるかのように。」

「そ、それは……」

「……さすがに不自然ですね。いつも事あるごとに反発しあっている2国の上………2国が警戒しているメンフィルまでいるというのに………それとワジ君。お姉様がメンフィル帝国の創始者であるリウイ陛下の正妃だからと言って楽観視しない方がいいわ。今の首脳はリフィア殿下やシルヴァン陛下達だから、メンフィル大使として隠居しているリウイお義兄様の正妃となったお姉様の影響力はあまりないと言ってもいいわ。」

「エリィの言う通り、シルヴァン陛下の代になってからはリウイ陛下は現在のメンフィルの政治に滅多に口出ししていないと、俺もメンフィルに留学していた際、学んだ事がある。」

「へえ、そうなんだ。」

エリィとリィンの説明を聞いたワジは目を丸くして言った。

「ああ、正直会議そのものがどう流れるか予想もつかない。かなり厳しい展開になることも覚悟する必要がありそうだ。」

「なるほど……」

「や、やっぱり政治的にも大変な状況なんですね……」

「はは、まあマクダエル議長も力になってくださるだろう。上手くいけばリベールやレミフェリアなどを味方にして交渉できるかもしれないし、もしかすればメンフィルも味方してくれるかもしれない。とにかく腹を括った上で女神達に祈るしかないだろうさ。」

「おじさま……」

「すみません……そんな大変な時に案内なんてさせてしまって。それに恐らく今までの行いで2大国から睨まれている局長もひょっとすれば原因の一つかもしれませんし……」

「それを言ったら司令も同じですよ……」

笑顔で言ったディーターの話を聞いたエリィは複雑そうな表情で見つめ、ロイドとノエルは申し訳なさそうな表情で言った。

「ハハ、とんでもない。あの2人のしている事はクロスベルの為になっている上、クロスベルを守りたいという気持ちは私達と同じはずさ。―――おっと、到着だな。」

その後ロイド達はディーターにさまざまな所を案内してもらい、最後に屋上からの景色を見せてもらうと、ディーターの通信に首脳陣が到着したと連絡が入ったのでロイド達は警備に入り、ディーターは首脳陣と共に会議を始めた。



~会議室~



会議室には各国の首脳陣、ディーターやマクダエル議長、イアンがそれぞれ席についており、さらにアリオスが窓際で警備をしていた。

「議事進行は僭越ながら私、ヘンリー・マクダエルが行わせていただきます。会議は一度休憩を挟んで、約5時間を予定しております。ただし進行次第では多少の延長はありえますのでよろしくご了承ください。それと―――会議に際して2名のオブサーバーに参加してもらっています。イアン・グリムウッド弁護士。クロスベルのみならず周辺諸国で活躍している法律専門家です。国際法・慣習法にも通じているため本会議への参加を要請しました。」

「初めまして……イアン・グリムウッドです。」

マクダエル議長の紹介を聞いたイアンは席から立ち上がって自己紹介した。

「ほう、あなたが有名な”熊ヒゲ先生”か。」

「ふむ、人権問題などにも積極的に関わられているとか。」

「ふふ、よろしくお願いします。」

「はは……誠心誠意、務めさせていただきます。」

イアンの自己紹介を聞くとオリヴァルト皇子は興味深そうな表情をし、アルバート大公は頷き、クローディア姫は微笑んだ。

「遊撃士、アリオス・マクレイン。やはり周辺諸国で多大な功績を上げていることで知られています。遊撃士協会と言う中立的立場から本会議の安全を保障してもらうため、参加を要請しました。」

「アリオス・マクレインです。お見知りおきを。」

そして続けてアリオスは軽く会釈をして名乗った。

「ハハ、”風の剣聖”だったか?共和国でも何度か君の名前は耳にしておるよ。」

「帝都でもたまに聞きますな。かのクロスベルの地に風をまとう”剣聖”ありと。」

アリオスが名乗るとロックスミス大統領は笑いながら言い、オズボーン宰相は口元に笑みを浮かべて呟き

「余も聞いた事があるぞ。クロスベルの”真の守護者”と称されるクロスベルの”英雄”と。」

「―――そしてS級ランクに最も近いと言われるA級正遊撃士―――あの”ブレイサーロード”ファラ・サウリン卿と並ぶ遊撃士にして”最強”と呼ばれる遊撃士にして”剣聖”と名高いカシウス准将の弟弟子…………フフ、心強い護衛ですね。」

リフィア姫は口元に笑みを浮かべて言い、リフィア姫の話を続けるようにレン姫は説明をした後上品に微笑み

「……恐縮です。」

各国の首脳達の称賛の言葉にアリオスは静かな笑みを浮かべて目を伏せて答えた。

「それでは早速となりますが、各議案の検討に入りましょう。提議者、ディーター・クロイス市長。説明と補足をお願いします。」

「は。まず、お手元にある資料の最初にある議案ですが―――」

そしてマクダエル議長に促されたディーター市長は答えた後立ち上がり、説明を始めた。



こうして『西ゼムリア通商会議』が始まった…………! 
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