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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第36話

~アルセイユ・会議室~



「へっ!?な、何で……!?」

ルファディエルの話を聞いたロイドは戸惑い

「以前”銀”の弱みを握る事ができてね………その弱みを黙る事を交換条件に”銀”と交渉したのよ。――――私や貴方達、”特務支援課”とは絶対に敵対せず、さらに貴方達が窮地に陥っていた時は可能ならば助ける事を交換条件にね。」

「「ええっ!?」」

「ハアッ!?”銀”の!?」

ルファディエルの説明を聞いたエリィとノエルは声を上げ、ランディは驚きの表情で声を上げ

「アハハ、凄いよ!………ん?もしかしてミシュラムで銀が僕達と共にルバーチェと戦ってくれたのもひょっとしてルファディエルさんのお蔭だったり?」

ワジは笑顔で声を上げて笑った後ある事に気付いてルファディエルに静かな笑みを浮かべて尋ね

「ええ、そうよ。」

「………………………」

「ええっ!?ちょ、ちょっと待ってください!あの件って、数ヵ月以上前の話じゃないですか!?」

「という事は、”黒の競売会(シュバルツオークション)”が始まる前の時点で”銀”の弱みを握ったって事ですか!?」

(なるほど………チキ殿の報告では”銀”の正体がわかったのは”ある人物”からのおかげだったという話だったらしいけど………まさかその人物がルファディエルさんだったなんて……一体どうやって銀の正体を知ったんだ?)

「感服しましたッス!さすがはルファディエル姐さん!つーことは、あれか!今後”銀”は俺達と戦えないどころか、運がよければ助けてくれるって訳か!ハハッ!こりゃあいい!ツァオの奴が知ったら、腰を抜かしそうだな!」

ルファディエルの答えを聞いたロイドは口をパクパクし、エリィとノエルは驚いて声を上げ、リィンは考え込みながら驚きの表情でルファディエルを見つめ、ランディは声を上げた後嬉しそうな表情でルファディエルを見つめた後大声で笑った。

「これは驚いた……下手をすればオルファン様をも越えているぞ……」

「うふっ♪とても天使とは思えない真っ黒な策ね♪」

「という事は黒月と戦う時はツァオとその側近であるラウに気を付けておけばいいだけですね。」

ヴァイスは驚きの表情でルファディエルを見つめ、エルファティシアはからかいの表情になり、アルは口元に笑みを浮かべて言った。

「な、なんという策略家………!自らの目的の為に敵すらも利用するとは……………!」

「ほ、本当に知略に関してはあのカシウスさんを越えていそうですね………というか、カシウスさんでもそれほどまでの策を思いつく事はしない気がします……アハハ………」

「信じられん………!まさかこれほどまでの策略家がカシウス殿以外にもいるとは………!」

「フッ……うっかり手を出そうものなら、大火傷をしそうだねぇ♪」

一方ユリアは驚きの表情で呟き、クローディア姫は大量の冷や汗をかきながら苦笑し、ミュラーは信じられない表情でルファディエルを見つめ、オリビエは酔いしれった様子でルファディエルを見つめ

「て、敵に回したら恐ろしすぎる方ですね………」

「クスクス♪なるほど………あの時どうしてロイドお兄さん達に力を貸したのか、ずっと疑問に思っていたんだけど……まさか、その裏を引いていたのが天使さんだったなんてね♪」

「うむ!見事だ!余の下僕として是非欲しいぞ!」

「フッ……その女だったら、下手をすれば”結社”すらも利用しそうだな……」

エリゼは冷や汗をかきながら苦笑し、レンは小悪魔な笑みを浮かべ、リフィアは興味深そうな表情でルファディエルを見つめ、レーヴェは静かな笑みを浮かべてルファディエルを見つめた。



「ちなみにルファディエル姐さん!銀の弱みって何ッスか!?」

「もしかして銀の正体とか?」

そしてランディとワジは興味深そうな表情でルファディエルを見つめて尋ねた。

「フフ、悪いけどそれは言えないわ。うっかり貴方達が口にするかもしれないし。まだまだ”彼”には私達の為に働いてもらうつもりだから、教えるつもりはないわ。」

「ハッハッハッ!彼女ならひょっとすればあの宰相殿すらも利用しそうだね♪」

「……今の話を聞いたら、本当にそう思えてくるな……」

「ル、ルファディエルさん……………」

「これじゃあ、どっちが犯罪者かわからないよ………ハア……………グレーゾーンギリギリか、下手をすればアウトじゃないか……」

「お、恐ろしすぎる……!でも、そんな所が素敵ッス!」

「アハハ!彼女に逆らえる人ってこの世には存在しないんじゃないの?」

「た、確かに……」

「今の話を聞いたら本当にそう思えてきますよね……」

微笑みながら言ったルファディエルの答えを聞いたオリビエは笑い、ミュラーは口元に笑みを浮かべて呟き、エリィは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、ロイドは疲れた表情で溜息を吐き、ランディは身体を震わせた後嬉しそうな表情でルファディエルを見つめ、ワジは笑い、ワジの言葉にリィンは苦笑しながら頷き、ノエルは疲れた表情で呟いた。

「あ、ちなみにダドリー達に教えたら駄目よ?彼らの頭は固いから、この件を知ったらすぐに噛み付いてくるだろうし。」

「こんなとんでもない事実、言える訳がないよ……というか、ルファ姉!まさかとは思うけど、似たような事を他にもしていないよな?」

ルファディエルに言われたロイドは疲れた表情で溜息を吐いた後、ルファディエルを睨んで尋ねたが

「フフ、大丈夫よ。」

「……………正直、銀の話を聞いた時点でかなり怪しいと思ったけど、一応信じておくよ………銀の件だって俺達の為に動いてくれたみたいだし……それにヨアヒムの件でマフィア達に占拠された病院で銀と一時的に手を組むことを提案した俺もルファ姉の事は言えないしな……」

微笑みながら答えたルファディエルの言葉を聞いて疲れた表情で答えた後、苦笑した。

「つーかよく銀が大人しくいう事を聞いたッスね?」

「銀に襲い掛かられなかったのですか?」

そしてランディとノエルは意外そうな表情で尋ね

「フフ、その事を私が予想していないとでも思ったの?交渉しようとした所で、襲って来る事はわかっていたからね。あらかじめメヒーシャや将軍達にも待ち伏せしてもらって、彼が襲い掛かって来た瞬間エルンストが彼の背後をとり、さらにメヒーシャ達と共に包囲して武器を突き付けて、どちらの立場が”上”であるか思い知らせてあげたのよ。」

「メ、メヒーシャ達まで関わっていたんですか!?」

「武器を突き付けたって………下手すれば、恐喝の一歩手前じゃないか………」

ルファディエルの答えを聞いたエリィは驚き、ロイドは溜息を吐いたが

「あら。先に仕掛けてきたのは”銀”の方だから、”正当防衛”よ?」

「いやいやいや!一人に対して複数が武器を突き付けた時点で過剰防衛だって!」

微笑みながら言ったルファディエルに突っ込んだ。

「ハ、ハハ………何というか……段々と銀が哀れに見えてきたな………」

「え、ええ………完全にルファディエルさんに嵌められた挙句、利用されまくっていますし…………」

リィンは表情を引き攣らせながら呟き、ノエルは苦笑しながら頷き

「クク………ティオすけ達が戻ってきたら”銀”が俺達に逆らえない事を教えてやろうぜ。」

「フフ、さぞ驚くだろうねぇ。」

ランディは嬉しそうな表情で呟き、ワジは静かな笑みを浮かべて言った。

「ア、アハハ……―――リフィア殿下、そろそろ殿下達がロイドさん達に教える情報を教えて差し上げたらどうですか?」

その様子を苦笑しながら見ていたクローディア姫は気を取り直した後リフィアを促し

「うむ、そうだな。――――ユリア准佐よ、余達が持ってきたデータをロイド達にも見せてやってくれ。」

「は。」

促されたリフィアはユリアに指示をし、ユリアは再びモニターの画面を操作した。すると今度は少年と白衣を着た男の姿が映った。

「へ………」

「この人達は人形工房にいた……!」

「……この人達も先程までの話に関係あるのですか?」

2人の写真を見たロイドは呆け、エリィは驚き、ノエルは真剣な表情で尋ねた。

「正確に言えばそやつらはテロリストや宰相達とはあまり関係ないかもしれん。――――が、そやつらの所属している組織が組織だからな。そやつらがクロスベルに現れた時点で、リベールの”異変”のような事を起こすかもしれんから、一応忠告までにな。」

「なっ!?リ、リベールの”異変”のようなことを起こすって……!」

「まさかエステルちゃん達の話にあってた”結社”とか言う連中ッスか?」

リフィアの話を聞いたノエルは驚いた後厳しい表情をし、ランディは真剣な表情で尋ねた。

「ああ。――――レーヴェ、説明してやれ。お前の方が奴等に関して詳しいだろう。」

「は。――――まず、白衣を着た男だが……”身喰らう蛇”の”蛇の使徒”の一柱――――F・ノバルティスだ。通称”博士”と呼ばれている。」

「”蛇の使徒”……………」

「確かレーヴェさんは”執行者”という”結社”の幹部のような役割だったとお聞きしましたが、”使徒”とはその上の地位なのですか?」

リフィアに促され、説明したレーヴェの話を聞いたエリィは真剣な表情で呟き、ロイドは真剣な表情で尋ねた。

「ああ。”盟主”に仕える七柱………それが”蛇の使徒”だ。」

「へえ……という事は最高幹部って訳か。」

ロイドの疑問に答えたレーヴェの話を聞いたワジは真剣な表情で呟き

「加えて博士は”十三工房”――――”結社”のありとあらゆる技術の顧問でもある。」

「つまり見た目通り研究者という事ですか……」

「……………もう一人の少年のような風貌の人も”結社”の”執行者”か”蛇の使徒”なんですか?」

レーヴェの説明を聞いたノエルは考え込み、ロイドは考え込んだ後少年の写真を見て尋ねた。



「―――執行者No.0”道化師”カンパネルラ。奴は”執行者”の一人だが……そいつは他の”執行者”と比べると少々特殊でな。俺が奴と出会った約10年前の時点で奴はその姿だった。」

「ハアッ!?」

「「ええっ!?」」

「ど、どう見ても俺達と同じくらいの歳にしか見えませんが………」

「うふふ。どうやったら”人間”の身で10年も変わらない風貌でいられるのかしら?」

「フム、そうだな……異種族や”神格者”でもない限り、そんな事、不可能だしな………」

目を細めて言ったレーヴェの話を聞いたランディやノエル、エリィは声を上げ、リィンは信じられない表情で呟き、レンは小悪魔な笑みを浮かべ、リフィアは真剣な表情で呟き

「その”特殊”な部分とは一体何なんですか?」

ロイドは真剣な表情で尋ねた。

「―――奴が『見届け役』である事だ。」

「『見届け役』?」

「……結社の”盟主”の代理として、”結社”の計画を見届け、”盟主”にその経緯を伝える役割だ。―――1年前のリベールの”異変”の時も、”蛇の使徒”の一人―――”白面”ゲオルグ・ワイスマンによる『福音計画』を見届けたしな。」

「…………………」

ロイドの疑問に答えたレーヴェの話を聞いたワジは真剣な表情で黙り込み

「………つまり、”結社”がクロスベルでリベールの”異変”のような事を起こそうとしていると?」

ロイドは真剣な表情で尋ねた。

「その可能性は高いだろう。計画を実行する『蛇の使徒』とその計画を見届ける『見届け役』のカンパネルラがクロスベルに現れた時点で既に”結社”の新たな計画は始動している可能性が高い。」

「何てこと……………」

「ったく、ここに来てさらに新たな勢力とか勘弁しろって………」

そしてレーヴェの話を聞いたエリィは表情を青褪めさせ、ランディは疲れた表情で溜息を吐き

「……………という事はまさか”至宝”がクロスベルに存在するのですか?エステル達の話だと、”結社”は”至宝”を手に入れようとしていたという話らしいですし……」

ロイドは考え込んだ後尋ねた。



「あ………!」

「確かにその可能性も考えられるな……」

ロイドの疑問を聞いたエリィは声を上げ、ランディは重々しく頷き

「「「………………………」」」

リフィア、エリゼ、レンはそれぞれ黙ってロイド達から視線を外し

(エリゼ………?)

エリゼの様子を見たリィンは不思議そうな表情をし

「「「………………………………」」」

3人の様子を見たヴァイス、アル、エルファティシアは真剣な表情で黙って見続け

(……どうやらあの様子だとまだ”何か”知っているわね……そしてそれを私達に言えない訳がある………正直言えばもっと情報が欲しい所だけど、通商会議の件で協力してもらうからこれ以上問い詰める事は無理ね。)

同じようにリフィア達の様子を見ていたルファディエルは真剣な表情で考え込んでいた。

「―――お前の言う通り、その可能性は高いだろう。それにクロスベルに潜伏しているのがその2人だけとは限らない事も覚えておくといい。以前のリベールの”異変”の時も俺を含めた数人の”執行者”と”蛇の使徒”が計画を実行したからな。」

そしてレーヴェは静かな様子を纏ってロイドを見つめて言い

「……貴重な情報、ありがとうございます。クローディア姫達も本当にありがとうございました。」

見つめられたロイドは静かに頷き、クローディア姫達に視線を向けて感謝の言葉を言った。



「ハッハッハッ、お互い様さ。しかしそういう事ならお礼に夜のクロスベルの各所でも案内してもらおうかな?ヴァイスは勿論の事、ワジ君やランディ君なんかは色々と詳しそうだしねぇ。」

ロイドの感謝の言葉を聞いたオリビエは笑った後提案し

「おっ、行っちまいますか?」

「フフ、それなら取っておきのスポットに案内できると思うけど。」

「フッ、先程の続きをするのなら一向に構わないぞ?」

「うふっ♪この4人が揃ったらとんでもない事が起こりそうね♪」

「きっと私達の想像も付かない事を起こしそうですね……」

提案を聞いたランディは意外そうな表情で呟き、ワジは笑顔で言い、ヴァイスは静かな笑みを浮かべて言い、会話を聞いていたエルファティシアは小悪魔な笑みを浮かべ、アルは苦笑し、ロイド達は冷や汗をかいた。

「おお、そうと決まれば晩餐会はキャンセルして―――」

ランディ達の話を聞いたオリビエは嬉しそうな表情をしたが

「―――させるか、阿呆。これからアルカンシェルの公演も観劇するのだろうが。」

「むむ……それもあったか。うーん、アルカンシェルは一度、見ておきたかったんだよねぇ。」

ミュラーに突っ込まれ、唸った後溜息を吐き

「先に言っておくけどリフィアも同じだからね。」

「ぬぐっ………!」

「クスクス♪先回りされちゃったわね、リフィアお姉様♪」

ジト目のエリゼに言われたリフィアは唸り、レンは小悪魔な笑みを浮かべて笑っていた。

「はは……きっと楽しめると思いますよ。」

「ええ、目を丸くされること請け合いだと思います。」

オリビエ達の様子を見たロイドは苦笑しながら言い、エリィは微笑みながら言った。

「ふふ、楽しみにしていますね。……また何かあったら皆さんにもご連絡いたします。今度はジークに頼らず、直接通信を差し上げますね。」

「ピュイ。」

「はは、承知しました。」

「さすがにアレは何かと思ったからなぁ。」

その後ルファディエル、エルファティシア、ヴァイス、アルはレンの転移魔術によってオリビエとミュラー、リフィア達と共にグロリアスに向かい……ロイド達はアルセイユを後にして支援課のビルに戻り、セルゲイやロイド達がアルセイユに入って行く報告を聞いてセルゲイの下に訪れ、待っていたダドリーにクローディア姫達から聞いた情報を説明した………… 
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