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魔女に乾杯!

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114部分:第百十三話


第百十三話

                     第百十三話   甘い香り
 魔女のかわりに花びらが舞う。それも様々な色の花びらが。
 赤、青、白、黄、そして緑の。五人はその花の色に気付いた。
「このお花って」
「まさか」
「ええ、そうよ」
 魔女の声が答える。
「この花びらは。全て貴方達の色」
「やっぱり」
「これってどういうこと!?」
「すぐにわかるわ」
 だが魔女はそれには答えない。ただこう言うだけであった。
「すぐにね」
「どういうことなの!?」
「どちらにしろ油断は禁物よ」
 梨花が他の四人に対して言う。
「そこを。付け込まれるから」
「そうね」
 美樹がその言葉に頷く。
「どちらにしろ。紫の魔女が私達に何かをしてくるのは間違いないから」
「そうね。だから」
 次に春奈が頷いた。
「ここはまとまるってことね」
「それじゃあ」
 赤音も華奈子もわかった。五人は一箇所に集まる。
「何が来ても負けないから」
「見てなさい、紫の魔女」
「考えたわね、一つにまとまるなんて」
 魔女の声はそれを見て笑った。
「けれど。それでどうにかなるものではないわよ」
「どういうこと!?」
「今からわかるわ」
 声は言った。
「今からね」
 花びらの数が多くなった。その花びら達が五人の周りを覆う。
「受けなさい、私の新しい魔法」
「!?」
 魔女の声と共に花びら達が変化した。
 それは無数の蝶になった。花と同じ色の蝶に。また五人の周りを漂う。
「今度は蝶・・・・・・」
「花が蝶に」
「只の蝶じゃないわよ」
 声はまた言った。
「さあ、覚悟はよくて?」
「覚悟!?」
「これが私の新しい魔法」
 魔女の声が勝ち誇っているのがわかる。
「幻蝶よ」
「幻の・・・・・・」
「蝶」
 五人にはそれが何なのかわからなかった。だが今実際に蝶達が五人の周りを舞っている。この蝶達が魔女の魔法であることはわかる。だが何をするのか、まだ誰も把握出来ないでいた。そしてそれが危機を招く結果となってしまったのであった。


第百十三話   完

                      2006・5・9


 
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