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魔女に乾杯!

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115部分:第百十四話


第百十四話

                      第百十四話   蝶の舞
「さあ行きなさい」
 紫の魔女の声が言う。
「蝶達を。そして思う存分吸うのよ」
「吸う!?」
「一体何を」
「全てを。この調べの下に」
 魔女の笛の音が聴こえてきた。そしてそれに合わせるかのように蝶達は五人の周りにまとわりつきはじめた。
「やっ」
「何これ」
 蝶達はまとわりつくだけであった。だが次第にそれが何なのか彼女達にもわかってきた。
「魔力が」
「何か消えていく」
「そうよ」
 魔女の声が答える。
「この蝶達は。魔力を吸い取るの」
「魔力を」
「まさか」
「そのまさかよ。魔力がなくちゃ貴女達もどうしようもないわね」
「くっ」
「考えたわね」
「貴女達が努力しているのと同じで私も研究しているのよ」
 紫の魔女は五人に対して語る。
「それで編み出したのがこの魔法」
「蝶の」
「さあ、これは破れないでしょうね」
 魔女の声が勝ち誇ったものになる。
「この魔法は。今度こそ私達の勝ちよ」
「そんなことは」
「魔法でどうにかしようとしても無駄よ」
 華奈子に対して言う。
「この魔法は。魔力自体を吸い取るのなから」
「やってみなくちゃわからないでしょ」
 華奈子はその言葉にムッときた。そして炎を出す。
 だがその炎に赤い蝶達がまとわりつく。そしてその炎を全て消してしまった。
「えっ」
「ほら、言ったでしょう」
 声はまた言った。
「魔法は効かないって」
「そんな」
「諦めなさい、流石にこれには勝てはしないわ」
「あたし達が負けるっていうの!?」
「ええ、ここでね」
「そんなのやってみなくちゃわからないじゃない」
「止めて、華奈子ちゃん」
 そんな彼女を梨花が止める。
「梨花ちゃん」
「わかったから。全部」
「全部って」
「ええ。勝てるわ、これなら」
「勝てる!?」
 魔女の声は梨花のその言葉を聞いて笑った。
「勝てるとうのかしら。蝶に」
「そうよ」
 梨花の声は臆したものではなかった。彼女は今確かに勝利を見ていた。


第百十四話   完


                      2006・5・9
 
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