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Three Roses

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第七話 子をもうけぬままその二

「何しろ今は王位継承権二位だ」
「大公に継いで」
「それならばですね」
「あの方がおられますね」
「マイラ様の前に」
「マリー王女は王位継承権もあるが」
 二位、マイラの上にだ。太子もこのことを認識している。
「そのうえでな」
「はい、優れた方ですね」
「人格は高潔です」
「寛容にして公平、仁愛を持たれ」
「そして清廉です」
「しかも政治の識見もある」
 太子は自らマリーのこの資質を指摘した。
「自身に足りないものを聞いて補うことも出来る」
「そうした方ですね」
「非常に優れた方です」
「そしてそれ故にですね」
「マイラ様が女王になられるにはですね」
「最大の障壁になる」
「そうなられますか」
「そうだ、有能な競争相手はだ」
 王位継承権においてもというのだ、むしろ王位を争う状況においてはというのだ。
「これ以上厄介なものはない」
「全くですね」
「マリー様は非常に立派な方ですが」
「立派な方であるが故にですね」
「我々にとっては驚異ですね」
「あの方こそが」
「マリア王女、セーラ公女は体よく払えるが」 
 この国からだ、太子が先程言ったやり方で。
「しかしだ」
「それは、ですね」
「マリー王女についてはですね」
「それが難しい」
「そうかも知れないのですね」
「そうだ、妻の最大の敵はマリー王女だ」
 太子ははっきりと言った。
「彼女をどうするか」
「今後はそれが問題になってきますね」
「我々がこの国を手に入れるには」
「それにはですね」
「マリー王女ですね」
「彼女をどうするか」
「そのことが問題になりますね」
「あの王女は国民からの人気も高い」
 太子はこのことも知っていて指摘した。
「だから余計に手強い」
「有能なだけでなく国民の支持も高い」
「その方が敵だと認識し」
「それで、ですね」
「彼女について考えいこう、これからはな」
 こう言ってだ、太子はこの国を彼等の家であるロートリンゲン家のものにする為にこれからのことを考えていた、そしてだった。
 この国と本国の連絡役もしていた、彼は十分に動いていたがその動きは大公には見えていてもそれは外だけだった。
 それでだ、大公は彼の側近達にこう言った。
「太子の動きが気になるな」
「はい、どうもです」
「本国としきりに連絡を取っておられますね」
「そして帝国から供に来ている貴族達と何かと話をしています」
「その話が何かわかりませんが」
「しかしですね」
「どうにも気になりますね」
 側近達も言うのだった、太子達について。
「何を話しているのか」
「その中身が何か」
「尻尾が見えません」
「どうにも」
「思った以上に切れ者だな」 
 太子も周りの者達もとだ、大公は言った。 
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