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μ's+αの叶える物語〜どんなときもずっと〜

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第25話 女の子らしさ

 
前書き
 
【報告】
今回投稿した『女の子らしさ』について、リメイク版を投稿する際は削除させていただきます。ご理解のほどよろしくお願いします。 

 



『あれ〜?りんさっきまですかーとだったよな?』




『りんにすかーとにあわないからかえてきちゃった〜』




『そうだよな〜。りんがおんなのこみたいにすかーとなんてへんだからな〜』




『ははは....そうだよね....』




『りんはおとこのこなんだもんな!』




『う.....うん』
















そう....凛は男の子.....

男の子だからスカートなんて履いちゃいけない
















『りんちゃん....おんなのこなんだからすかーとはいてもいいんだよ?』




『だめだよかよちん....りんはかわいくないから』




『そんなことないよ!りんちゃんかわいいよ!』







かよちんはいつも可愛いって凛のことを褒めてくれる

純粋に嬉しかった

女の子の友達からは『元気いっぱいの女の子』とちゃんと凛のことを女の子として見てくれる




でも、男の子は凛のことを女の子として接してくれない

ただ外で体を動かすことが好きなだけなのに....







『ねぇりんちゃん!いまからわたしのいえにいこう?あたらしいあいどるのぐっずがふえたんだよ!』




『....うん!りんもみたい!おかしもっていくね!』







凛とかよちんは手を繋いで帰った




途中、手を繋いで歩いている2人の小学生とすれ違う










『ね〜だいくん!いまからこうえんでおにごっこしよ〜!じゅんくんとかひぃくんとかもくるって!』




『やるやる〜!!というかほのちゃんさそうともだちいつもおとこのこなんだな』




『だって〜、あかりちゃんとかさそってもいやがるんだもん!』




『そうだな〜あかりちゃんそとであそぶようなこじゃないもんな。おんなのこだし』




『む〜?それはほのかがおんなのこじゃないみたいないいかただね?』




『なにいってんだよ。ほのかはおんなのこだよ!かわいいおれのおともだち』




『えへ、えへへへ〜///』



















----------------------------
















合宿も無事(?)終了し、待っていたの学校の始まり




学校が始まってからといって特別なにかが変わるわけではない

登校して、授業中は爆睡して、昼食をとり、午後の授業も爆睡して先生に見つかる。放課後は屋上で練習をして1日の学校生活は終わる







だけど1つだけ変わったことがあった




希といることが多くなった。




合宿で希が中学の時に別れた少女だと知ったことにより、俺は中学時代に戻ったような錯覚に陥っていた




朝、待ち合わせしてから下校するまでほとんど希が隣にいた




希の気持ちも知ってるし、無下にするつもりもない




相手にされなくなった穂乃果は、わざわざ希と一緒にいさせまいと無理矢理校内を引きずり回して2人きりになろうと必死になっていた




穂乃果の言動はイマイチ読めないがいつもの事なので気にしないでおいた




そして希も穂乃果に対抗するように昼休み、俺の元にすぐにやって来て3年生の教室に連れていこうとする




ある日は帰りに『パフェ食べへん?』と言い出した

もちろんその時は奢りました.....いや、奢らされました










『ウチも頑張らんとね』




希...何を頑張る気なんだ?




『ファイトだよっ!穂乃果!!』




穂乃果は何故意気込むのですか?




最近2人の間に火花が散っているような気がしてならない




喧嘩して解散になるようなことは起こさないでくれよ.....













そして9月の頭に差し掛かった頃




また1人、悩みを抱えた少女が動き出す
















「...........」




違和感を感じたのは放課後の練習中。




1ヶ月後に控えた学園祭に向けて新曲のダンスをやっていた




絵里さんの手拍子に合わせてそれぞれのポジションを維持しつつ、指摘されたところはそれを意識しながら確実にこなす




「.........」




いつも早くダンスを自分のものにするのは絵里さん、海未、凛の3人




時間差で真姫と希が完成度を高める




穂乃果やことり、花陽、にこが遅れて上手になることは常日頃だった。

むしろ順番が変わることは一度も見たことない




だけど今回は違った




「凛、そこの振り付け違うわよ。右足を一歩前に出してから手を上に出すの。同じミスしてるわよ」




「にゃっ!?ご、ごめん.....」




......凛が珍しく失敗が多かった

いつもはタイミングが早いとかみんなに合わせてとかしか言われない凛が振り付けという彼女にとって簡単なミスを犯すだろうか....いや、ない。




だからこそ、違和感があった

多分絵里さんをはじめとする他のみんなも感じてる




「はい!じゃあ今のステップを頭から通していくわよ!」




「どうしたの凛ちゃん?元気ないよ?」




心配して近くに駆け寄る花陽。




「な、なんでもない!ほらかよちん!練習するにゃ!」




「え?う、うん」




無理に笑顔をつくっているのは誰が見てもわかりやすかった

だけど今ここで問い詰めたところで話してくれるとは思えない




だからこそ、誰も追求しないのであろう....
















...........なにかあるな.....みんなに話せない《なにか》が。




休憩中にでも尋ねてみるか
















「はい、それでは1回休憩をもるわ。水分補給をしっかりして頂戴」




約2時間に及ぶ練習にようやく休憩が入り、俺は各自にタオルとクーラボックスで冷やしておいたポ〇リスエットのペットボトルを配る




もちろん「お疲れ様」の労いの言葉も忘れずにかける




「ほら、凛もお疲れ様」




「うん...ありがとにゃ」




俺に目を合わせようとせずどこかを見ながらタオルとペットボトルを受け取る




「凛」




「なに?」




ようやく凛は俺の目を見てくれた。




「具合......悪いのか?」




そしてすぐに目を伏せてペットボトルに口をつける




「...................なんでもないにゃ」




「なんでもないことはないだろ。明らかに今日の凛はおかしい」




ダンスのミスの多さといいテンションの低さといい、誰がどう見ても凛の様子が変なのは一目瞭然だ。




だからこそ不安だし、そしてなにより、心配なんだ







「俺が相談にのるよ。だから話してくれ」




がしっと肩をつかみ懇願するも

返ってくるのは決まって首を横に振る返答だけだった










「.....男の子の大地くんに凛の気持ちなんかわからないにゃ....」
















ダッ!










そして凛は俺の腕を振り解き、ペットボトルとタオルを投げ捨てて屋上から逃げ出した




「え?ちょっと何?凛!」




凛のいきなりの行動に困惑する絵里さん







俺は凛を追いかけようとしたが誰かに腕を掴まれてそれができなかった







「......花陽?」




「凛ちゃんを.....今はそっとしておいてあげてください」




「どうして?」




「凛ちゃんは.....」




それ以降花陽は口を開くことはなかった

花陽は凛と小さい時から仲良しで『幼馴染』という関係だ。




だからこそ、今凛が悩んでいる事もわかるのだろう




「....大丈夫なんだな?」




「.....はい」




俺は凛を信じて、追う事をやめた







「絵里さん、ちょっと凛具合悪いから先に帰らせた」




「え?そうなの?大丈夫かしら....」




「合宿の疲れがたまってるんだと思う。1日休ませてあげよう」




「そうね。わかった」




俺はしれっと嘘をついてその場を静めた




今この雰囲気を壊してはいけない。

ラブライブ出場できるかもしれないと目標に向かって頑張るこの雰囲気を.......













「それじゃあ凛がいなくなったけど練習続行するわよ!Bパートからサビにかけての再チェック!みんな!ポジションについて〜!」











































次の日、凛は学校を休んだ。

原因は知らない。幼馴染の花陽ですら確信のある理由がわからないのだ




電話をしてみたものの、返ってくるのは『おかけになった電話番号は電波の届かない場所にあるか---』という無機質の女性の声のみ




先生曰く「風邪で寝込んでる」らしいが.......




そして、次の日もそのまた次の日も




凛は学校へ来なかった



















原因不明の欠席にさすがの俺もしびれを切らした。




金曜日の放課後、俺は穂乃果たちにちゃんと練習するように伝え、

花陽から凛の家を聞き出し、彼女の家に向かうことにした













「ここが......凛の家か」




音乃木坂から歩いて30分のところに『星空』というプレートを見つけた




どこにでもあるような普通の家に見えるが屋根がほかの家と比べて高い

3階建てなのだろうか.....




羨ましいなと思いつつ、ピンポーンとインターホンを鳴らす




凛の両親はどんな人なのだろうか。

凛みたいに元気なお母さんなのだろうか。




余計な思考を巡らしているうちに声が聞こえた




『はい、どちら様ですか?』




女性の声だ。お母さんにしては少し若いような気がする

お姉さんか妹さんなのか




「突然の訪問すいません。俺は音乃木坂学院2年の笹倉大地というものです」




『笹倉........大地.......わかりました。少し待っててね?』




ブツリとインターホンが切れたのを確認して

俺はドアから少し離れて開くのを待つ




すぐにドアが開き、なかから凛とそっくりな若い女性が現れた




「あなたが....笹倉くんね?いつも凛がお世話になってるわ」




「はい、こちらこそ....」




黄色の瞳にオレンジ系の色の髪をして、凛とは違いポニーテール。

だけど目や顔の形。どこをどう見ても凛そっくりだった




「あの....つかぬことをお聞きしますが、凛のお姉さんかなにかで?」




「私?ええそうよ、凛の姉の時雨(しぐれ)よ。今日は凛に用事よね?」




「はい......」




時雨さんは俺を招き入れ、二階奥の部屋が凛の部屋よ、と教えてくれた




ちなみに女性の家に行くのは穂乃果の家を合わせて2人目だったりする。

そんなわけで少し緊張気味の俺はドアの前で深呼吸をしてコンコンとノックをする。




「ん〜?お姉ちゃん?いいよー」




ドアの奥にいる凛は俺が来たことなんて知らないみたいで、適当に返事をする




「凛、俺はお姉さんじゃなくてマネージャーの笹倉大地だぞ」




「え?あれ?....なんで大地くんがここにいるにゃ?」




入ってきたのは姉だと思っていた凛はベッドでゴロゴロ寝転がりながら漫画を読んでいた




「お前が心配だったからに決まってるだろ」




俺はそっぽを向いて口を尖らせる




家にいる凛の姿は初めて.....てか、布纏わなすぎじゃないか?

タンクトップ1枚って...いくら家の中だからといって乙女がそんな服装でいいのだろうか




「つか、凛なにか服着てくれ。目のやり場に困る」




「にゃっ!?///......大地くんのえっち///」




俺はエロなんじゃない!変態なだけだ!




「まぁいいや、心配してくれてありがとね〜」




凛は椅子にかけてあったカーディガンを着てやり過ごす




俺はしばらく凛の家で他愛もない話やゲームをして遊んだ。

意外と凛はゲームを持っていてP〇4だったりW〇i Uだったりとよりどりみどりだった。






















夕方の5時を差し掛かったところで俺はそろそろ本題を切り出す










「凛....どうして休んだのか理由が聞きたい。最近、学校にすら来てないじゃないか」




練習に来ないだけでなく、学校も休む。

凛のクラスメートも心配していた。

『学校休むような子じゃないんだけどね......』と、残念そうな顔をしていたクラスメートを思い出す




「......」




無言のまま、一点を見つめる




「なんでもないにゃ....心配なくても大丈夫にゃ」




大丈夫ならなぜそんなに悲しげな表情をするんだよ

大丈夫なんて嘘なんだろ?嘘だと言ってくれよ




「ほんとうに?」




「.....うん、別に大地くんが気にするようなことじゃない.....」




妙に刺々しい言い方にすこしムッとする




「らしくないな凛」




「....ほっといて、大地くんに凛の気持ちなんて絶対わからない」




いつもの猫語は消え、表情は険しくなる

口調が変わったことにより、俺は怖気付いてしまった




「.....それでも教えて欲しい」




凛が凛じゃないような錯覚に陥るも、俺は凛を見据えて話しかける




「......いやだ」




「凛っ」













「いやっ!!!!!!!!!」




凛の悲痛な叫びが部屋全体を充満する




「じゃあ大地くんは女の子扱いしてもらえなかった凛の気持ちわかる!?スカートはいても似合わないって......お前が女の子みたいなことするなって言われた凛の気持ちわかるのっ!?」




初めて聞かされた凛の本音。

それは....女の子扱いされてもらえなかった?

こんなに女の子らしいのに?



「......」




俺は何も答えることができなかった




凛の言ったことに納得しているわけじゃない、あまりの告白の内容が杜撰すぎて言葉がでなかったのだ




「.....本当はスクールアイドルやるの嫌だった。ただかよちんがいるから大丈夫だと思ってた。スクールアイドルやればもしかしたら何か変わるんじゃないかって、期待してた....」




スクールアイドルを嫌々やっていたということにもまた、驚いてしまった

一切そんな素振りを見せてこなかった

みんな学校を守りたくて、アイドルが大好きだからやっているもんだと思っていた




「でも、にこちゃんや希ちゃん、絵里ちゃんが入っていて、可愛いとか女の子らしいとか憧れる反面、凛は到底できないな、敵うわけないって思った。最初の頃は衣装を着ることに躊躇いなんてなかったのに、みんな見てると凛はここにいていいのかな?とか思っちゃうの」




にこがいるからつらい




希がいるからつらい




絵里さんがいるからつらい




みんながいるからつらい




そんな辛いことを抱えてここまでやってきたのか.....




そうか、だから合宿の時から暗い雰囲気を感じたのか




「だから辛いの、凛はμ'sのみんなと一緒にいると....心が苦しいの」




凛は胸を抑えて涙を拭きながら自分の思いを俺にぶつける



















「凛は.....スクールアイドルを辞めたい」

























ハンマーで殴られたような衝撃を受けた

いや....流れからして予想できた




「........」




「.....今日はもう帰って欲しいにゃ」




「......わかった」










俺には何一つ言葉をかけてやることができなかった














































「なぁ花陽.....」




『なんですか?』




その日の夜、凛の幼馴染である花陽に電話をかけて相談することにした

凛のことを良くわかる花陽なら....と思ったから




「凛はどうして女の子らしくないとか自分で言ってるんだ?」




『......凛ちゃんは昔から外でサッカーしたりバスケしたりと活発な女の子なんです。それで性格もさっぱりしていて女の子みたいに振舞うような子じゃなかったんです』




「それは今も昔も変わらないのか」




『はい....だから凛ちゃんは《おとこおんな》って言われて、からかわれるようになったんです。当然凛ちゃんは女の子ですからいつも相談受けてました。『どんなことしたら女の子っぽく見えるかにゃ?』って』




「俺からすると十分女の子だと思うんだけどなぁ〜」




ふぅ〜っ、とため息をこぼして俺はアイスコーヒーに口をつける




『凛ちゃんはトラウマを克服できていないんだと思います。スカート似合わないって言われてずっと泣いていましたから.....おしゃれとかしなくなったのも.....女の子みたいじゃないって言われたから』




「ふ〜ん.......ん?ちょっと待って」




『ふぇっ?』







「凛はスカート履いたことあるんだよな?」




『え、えぇ....はい、1度だけ』




「その1度ってのは?」




『私が凛ちゃんのスカート見たいって言ったから履いてきてくれたんです。なのに...』




「スカート似合わない.....と?」




『はい....私が見たいって言わなければよかったんです』




「な〜に、責任感じてんだよ。そんなの花陽に見せたかったから履いてきたに決まってるだろ?」




『で、でも....』




「じゃあさ、花陽は凛のスカート履いている姿見てどう思った?」




『どう?.....すごく可愛かったです』




「ならそれでいいじゃん。花陽の目には凛は可愛く見えた。きっと凛も花陽に1番に見せたかったんだと思うよ。その頃の男子ってのは素直になれなくて女の子をいじめたりするもんなのさ。」




俺はそんなことはなかったが、周りの男子が好きな女の子をいじめていたのを思い出す。

きっと凛はその男子の言葉を真正面から受け止めてしまったのだ




「花陽」




『な、なんですか?』




「俺.....凛を助けてやるから、待ってろよ」




『.......はい!』







だから、

凛はスカートが似合わないって言われたからスカートを履くのをやめた。

凛は女の子みたいじゃないって言われたから凛は女の子みたいにおしゃれをすることを辞めた










俺は凛を助けたい。スクールアイドルをやるかやらないか....そこは重要ではない




凛に.....女の子らしく振舞ってもらいたい




ただそれだけだ。




俺はすぐさまメールを打つ













送信相手は......星空凛

















































『凛!明日学校サボって遊びにいくぞ!ゲーセンとかバスケとかするぞ!10時に駅前の噴水前に集合!』














































----------------------------

凛side







「まったく、呼び出しておいて遅刻なんて酷いにゃ」




今朝起きたとき一通のメールが届いていた。差出人を見たときは驚いたけど、内容を見たときはもっと驚いた。




しかも学校サボってだなんて.....大地くんらしくないにゃ







待ち合わせ時刻から既に10分経過




凛.....大地くんに恥をかかせるような格好してないよね?




噴水の水面に凛の姿が映り、前髪を整えたりして身嗜みをチェックする

.....大丈夫にゃ。




なんで凛は緊張なんてしてるんだろ

大地くんと遊びに行くだけなのに.....

きっと学校サボって遊びに行くことに緊張してるんだにゃ!

そうにゃ!




「すーはーすーはー」




深呼吸をして凛はベンチに腰掛ける







だけどやっぱり落ち着きがなくベンチから立ち上がる













「わりぃ〜っ!遅くなった!!」




大地が手を振ってやってきた。




「遅いにゃ!誘っておいて遅刻なんて」




「いやぁ〜寝坊しちまったよ....ごめんな」




大地くんは顔の前で手を合わせて謝る







「しょ〜がないにゃ〜。許してあげるから後でクレープ奢って」




「もちろん。さて、んじゃあ行きますか」




さりげなく大地くんは凛の手を握って引っ張る




......大地くんの手....暖かい....///




「ん?どうした?」




「な、なんでもないにゃ!///」




























最初に連れてきてくれた場所は近場のゲーセン。といってもかなり有名で沢山の人であふれかえっている




「凛はここのゲーセン来たことかる?」




「ううん、初めてにゃ」




「さてさて〜凛なにしたい?」




「ん〜.....凛はあれがしたいにゃ!」




凛が指さしたゲームはリズムゲーム。希ちゃんや絵里ちゃんがいなかった時のμ'sでやったのと同じ機種。




「いいぜ!勝負だ凛!俺の全国の実力見せてやるよ」




「ふっふ〜、凛に勝てると思うかにゃ〜?」




凛と大地くんは100円を投入し、荷物を置いて曲を洗濯する




「よし....いくぞ」






















win 星空凛







「にゃ〜!大地くんもまだまだだね」




「くっそぉ〜!やっぱり1年以上やらなかったからブランクはあるか〜!」




腕を組んでふふんと鼻を鳴らして威張る







途中までほぼ同点で改めて大地くんの実力を知った

負ける負けると思いながらやってくるアイコンを次々とこなし、大地くんも負けじとアイコンを踏んでいく




でも、途中から大地くんはだんだん足がもつれ始め、ミスが現れた







「さすが凛だぜ.....いや〜まいったまいった」




「クレープ2つね」




「まじかよ〜っ!?」




「えへへ〜、ほら次行くにゃ〜!」




大地くんの手を取って次のゲームへと向かう






















「あ....」




「ん?どうした」




クレーンゲームのコーナーに差し掛かり、凛はあるものが目に入った




.....あのうさぎ可愛いにゃ....

くりくりってしたお目目が特徴で茶色の耳がとても可愛い




欲しいな...と思っていると




「これが欲しいのか?」




大地くんがうさぎの入っているクレーンゲームにお金を投入した




「え?待って...いいよ、凛が持ってても意味ないからかよちんにあげよ?」




自分で言って悲しいけど....凛は女の子っぽくないから持ってたってしょうがない。かよちんなら持っても可愛いから....




「.......まぁいいから見てろ」




大地くんは慣れた手つきでボタンを押し、お目当てのうさぎがクレーンに引っかかる













やった!







と思ったら




「あ〜.....落ちた」










「大地くんもういいよ、早く行こ?」




大地くんを引っ張ってもその場から離れようとせず、お金を次々とつぎ込む




お目当てのうさぎはクレーンに引っかかるもやっぱり途中で落ちる




何度も何度も....大地くんは取り憑かれたように同じ動作を繰り返す













「や、やった!!取れた〜!!」




激戦の末、大地くんはうさぎを手にして大喜びした。

そんなに欲しかったのかにゃ?




笑顔で戻ってきた大地くんはそのうさぎを凛に差し出してきた




「え?」




「ほら、受けとれよ」




「待って、凛は欲しいなんて言ってないよ」









「凛は---「んじゃあ俺が凛にあげたかったから。それでいいだろ?」




大地くんは凛の手を取り、うさぎを強引に渡す




「.....なんで?」




「なんでって....凛が欲しそうに見つめてたし。.....持ってる凛を想像したら....なんか可愛いなって....思ったから///」




「っ!!!///」




大地くんは顔を紅潮させて、そのまま背を向ける










「ほら、次いくぞ」




その時の大地くんの背中はとてもかっこよく見えた





































----------------------------







正直な所、クレーンゲームの出費は痛かった

久しぶりにやったからどうなるかなと思ったけど、あそこまで酷いとは...




凛は両手にクレープを持ちながら嬉しそうに隣でかぶりついていた




財布の中身を確認




「....あと1000円とちょっと...」




最初の頃と比べて財布が軽くなったなと、悲しくなった




でも....凛が笑ってくれているから財布の重みなんてどうでもいいか




「ねぇ、凛たちは今どこに向かっているのかにゃ?」




「ま〜もう少しで着くよ。つか、ほっぺにクリームついてんぞ」




「え?どこどこ?」




凛はほっぺを触るも見当違いなところを触っているのでなかなか取れない

仕方ないと思い、俺は自分の手でクリームをとってやる。




「あ、ありがと.....」







「いえいえ、あ、あれだよ」




俺が指さした場所は総合運動公園

公園のほとんどが人工芝で作られ、周りは木に囲まれて自然豊か。

休日には家族連れはもちろん、カップルや学生達がこぞって遊び場として賑わっている




「おお〜、凛知ってるにゃ」




「軽く運動しないか?俺、バスケットボールとか持ってきてるし」




運動という言葉に反応した凛は一気に両手のクレープを頬張り、キラキラと目を輝かせて突っ走る




「いっくにゃ〜〜っ!!!!」




「こら凛!待てよ〜」




手を伸ばすも猛スピードで駆けていった凛は見えなくなった




「穂乃果と同じく.....元気な奴だな〜」




俺はそんな凛が可愛いと思っていた

















































公園で2時間ほど遊び回り、くたくたになった俺は芝生の上に横になる。




「つっかれた〜っ!!!!!」




「大地くんもっと遊ぼうよ〜」




遊び足りないらしい凛は俺の腕を掴んで駄々を捏ねる

その元気はどこからやってくるんだよ、




俺は凛と遊んで疲れたんだよ〜

バスケは凛めちゃくちゃ上手いからボール奪うのに精一杯だったし、

そのあとアスレチックで鬼ごっこするし.....

んでもって近くのちびっ子混ぜてフリスビーで遊んだりしたし

「お姉ちゃん達カップルなの?」って聞かれたときはまいったな...










凛と一緒にいて楽しかったからいいけどさ...










「凛もこうして横になってみなよ〜気持ちいいよ」




そよ風が俺を撫でてすごく気持ちいい。

ここで昼寝したいくらいだ







「そう?じゃあ凛も」




俺に便乗してとなりでごろんと横になる




「ほんとだ.....なんだか眠くなっちゃうね.....」




「だろ〜」




頭がぼ〜っとして眠気が襲いはじめる




「ねぇ大地くん」




「ん〜?」







「なんで今日凛のこと誘ったの?」




いつか聞かれると思った質問

そろそろ......か




「凛と遊びたかったから、かな。凛とこうやってゲーセンで競い合ったりクレープ食べたり、公園でバスケしたり.....やりたかったんだ」




「別に凛じゃなくてもできるにゃ」




「俺は凛と遊びたかったんだよ。可愛い可愛い後輩と仲良くしたっていいじゃないか」




俺は目を閉じて凛の心に話しかける




「凛は可愛くないよ」




「ううん、俺は凛の事女の子だって、ちゃんと見てるよ?」




「え?凛...を?」




























「あぁ...、髪が短くて、明るくて、花陽や真姫を振り回して、勉強....特に英語が苦手で、運動が大好きで、控えめな胸の星空凛」




「一言余計にゃ」




凛はくすりと笑いながらもツッコミをいれる




「凛が女の子じゃないって言われた時の気持ちはどう考えても俺にはわからない。でも......俺が男の子じゃないって言われた時の気持ち考えると.....やっぱり悲しい」




「......」







「だからこそ、俺は凛に伝えたいことがあるんだ」




俺はゆっくり息を吸って、今一番凛に伝えたい言葉を告げる

俺の本音をぶちまける
















「どんなに女の子らしく振舞わなくたって....凛は凛なんだ。女の子なんだよ。俺は、君のこと可愛いと思ってるよ。」




「........」







「で、最近知ったんだ.....もしかすると凛はμ'sの中で1番女の子っぽいってさ」




「そ、そんなことない!」







「それがあるんだよ!俺が君のこと可愛いって思ってる!抱きしめたいくらいにさ!」




「っ!?」




凛はむくりと起き上がり、その表情は紅潮していた




「だからさ.......女の子っぽくないとか言わないでくれ。もし、凛の事をそうやって男みたいに扱う奴が出てきたら俺がぶっとばしてやるよ」




俺も起き上がって凛の頭を撫でる

凛の目はうるうるして、今にも泣き出しそうな表情だ。




「凛は.......女の子らしいことしていいの?」



















「あぁ!もちろんさ、俺は凛の事が大好きだ!(友達として)だから、もっと君の可愛い姿を俺は見たい!」










「にゃあ.........//////」




急に顔を俯かせてぷしゅ〜と、音を立てて縮こまる

そんな姿を見て可愛いなと思った






















「....うん!凛も大地くんの事が大好き!!!//////」




顔をあげた凛の笑顔はとても眩しくて.....そこには前とは全然違う

吹っ切れた雰囲気の凛がそこにいた
















俺は果たして、凛のことを救えたのだろうか































----------------------------




次の日の練習、凛はやってきた。

一同は嬉しそうな表情で凛を見つめる




「凛ちゃん.....可愛いよ!」




「似合っているわ、凛」




「ハラショーよ」




「なんか乙女やね〜」




もじもじしている凛は、初めてスカートを履いて練習にやってきた

フリフリのスカートは女のコらしさを強調し、

とても凛ににあっていた




不覚にドキッとしてしまった




「凛......可愛いじゃんか」




ぽつりと呟いた俺の一言に凛は反応して照れながらも笑顔を見せる




「えへへ....///」




「凛ちゃ〜ん!!!!」




花陽は嬉しそうに涙をこぼす



















「さぁ!今日も練習!いっくにゃ〜〜〜っ!!!!!」










凛の掛け声と共にμ'sの練習は始まった


































μ'sの絆がより深まった夏




一人一人悩んだり葛藤したり




それでも誰かがその穴を塞いで助ける




掛け替えのない仲間達




なんでもかんでも上手くいくとは限らない




そこを忘れてはいけない




忘れたときは






絆の決壊がおとずれるだけだ
















 
 

 
後書き
先日、Twitterで『μ`s』が文字化けしていると報告がございましたが、後日リメイクを出すので...... 
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