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Three Roses

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第六話 婚姻政策その六

「父上、そして帝国のお考えはだな」
「左様です」
「我々は東、南から王国を囲んでいますが」
「北西からもです」
「王国を囲みたい」
「皇帝はそうお考えです」
「そして本国の重臣の方々も」
 側近達も本国のことを話す。
「それならばです」
「この国を軸にです」
「周辺国をまとめましょう」
「この国と一つにする」
「そして我がロートリンゲン家の中に収めるべきです」
「その通りだ、四つも分かれているからだ」
 太子はその目を鋭くさせて彼の側近達に応えた。
「王国も仕掛けるのだ」
「この国に対する為に」
「周辺諸国に仕掛けますね」
「そうしてきますね」
「王国は悪辣だ」
 ここではだ、太子は帝国から見た王国を語った。その目はこれまでの冷徹なものから怒りを含んだものになっていた。
「何しろ異教徒達とも手を結ぶ」
「そうです、あの者達と手を結び」
「異教徒の帝国に我々を攻めさせてきています」
「そして我が帝国を脅かしています」
「こともあろうに」
「そうした者達だ」
 だからこそというのだ。
「この国にも何をしてもおかしくない」
「だからこそですね」
「我々はあの国を徹底的に締め付ける必要がある」
「それで、ですね」
「半島も島国もですね」
「北の王国も」
「この国の下に一つにさせてだ」
 そうしてとだ、太子は再びこの話をした。
「そのうえでな」
「王国にあたってもらいましょう」
「さらに力をつけたうえで」
「そして王国を締め付け」
「対していきましょう」
「王国とは我が家が直接主力を向けるところだが」
 数百年来の敵だ、それ故にだ。
「それはな」
「はい、異教徒達が帝都の辺りまで来ています」
「そして大陸の半島の領土にもです」
「それではです」
「王国に主力を向けられません」
 側近達も苦い顔で話す。
「海軍は殆どあちらにですし」
「陸軍もかなり割かねばなりません」
「彼等も考えたものです」
「忌まわしいことに」
「全くだ、だからこそ余計にだ」
 太子は帝国と異教徒の国との戦いのことを念頭に置いてさらに話した。
「王国にはこの国も必要だが」
「今では少し足りない」
「だからこそこの国の周辺諸国の力も必要ですね」
「一つにする必要がある」
「半島、島国に北の王国」
「四国を合わせてですね」
「対してもらう、ではその下地をだ」
 太子の目が光った、ここで再び。
「我々も作っていこう」
「そうすべきですね」
「ではこの国でも動き」
「そして周辺の国々に対しても」
「進めていきましょう」
「その様にな、ではまずは仕込みだ」
 政治のそれをというのだ。 
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