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Three Roses

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第六話 婚姻政策その三

「あの家は旧教の擁護者だ」
「それも最大の」
「法皇庁の第一の後ろ盾ですね」
「皇帝の帝冠は法皇に授けられますし」
 法皇が皇帝が即位する時にその頭に冠を被せるのだ、皇帝の位が神によって認められているということの証でもある。
「だからですね」
「帝国は旧教の守護者であり」
「ロートリンゲン家は旧教でなければならない」
「必ず」
「そうだ、しかしだ」
 それでもとだ、大公はまた言った。
「ここは帝国ではない」
「旧教の国ではありませんね」
「それならばですね」
「王子の件は認めて頂く」
「そうしてもらいますか」
「交換材料も用意するが」
 それでもというのだ。
「このことはだ」
「何としてもですね」
「あちらにも認めて頂きますか」
「そしてそのうえで」
「このことを通しますか」
「通すべきものと通すべきでないものがある」
 政治には、というのだ。大公はこの現実も話した。
「そしてこれはだ」
「通すべきものですね」
「我が王家としては」
「新教ですね」
「そのことを通させてもらいますね」
「そういうことだ、マイラ様は別としてだ」
 先に挙げた事情と彼女のあまりもの信仰の強さからだ、王家を事実上取り仕切っている大公も認めるしかないことなのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「我が王家は新教」
「このことは聞いて頂く」
「何としても」
「太子にもお話してだ」
 そしてというのだ。
「そのうえでな」
「皇帝にもですね」
「認めて頂きますか」
「このことは」
「帝国の主であるあの方にも」
「引かない」
 断じてというのだ。
「こちらもな」
「はい、では」
「その様にしていきましょう」
「何としても」
「我々にしても」
 このことも決められてだ、大公はまずは太子と会った。太子は少し下顎が出ているが端正な顔をしていた。
 目は丸く面長であり黒髪と黒い瞳が実に見事だ、長身ですらりとした身体がみらびやかな帝国の服にも似合っている。
 その彼にだ、大公は王家の信仰のことを話した、すると。
 太子は大公にだ、微笑んで答えた。
「はい、私はです」
「太子としてはですか」
「それで構いません、そして」
 太子は自分から大公に言った。
「父上もです」
「皇帝もですね」
「それでいいと言われるでしょう」
「そうなのですか」
「確かに我が帝国は旧教の国です」 
 太子もこのことを認める。
「そして旧教の擁護者です」
「それでもですか」
「はい、国内に新教の者もおり」
 帝国のその広大な領土の中にはだ。 
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