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クローバー

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第二章

「何とかしたいが」
「これまでですが」
 官僚の一人が子爵に言ってきた。
「この地に様々な農作物を導入してきました」
「そうだったな」
「穀物だけでなく」
「ジャガイモや野菜もな」
「痩せた土地でも育つトウモロコシも入れましたし」
「トマトもな」
 やはり痩せた土地で育つそれもというのだ。
「とにかくあらゆる作物を持って来た」
「そのうえで農業を行っています」
「では、だな」
「牧草もです」
「それもか」
「持ってきますか」 
 この地にというのだ。
「その様にされますか」
「そうだな」 
 その官僚の提案を聞いてだ、子爵は。 
 深く考えてだ、それからこう言った。
「ではどういった牧草をこの地に取り入れるかだ」
「これからですか」
「考えていこう」
「それでは」
 官僚達も応える、そしてだった。 
 子爵は官僚達と共に様々な牧草を検証しどういったものがこの地に相応しいのかを考えだした。話を何度もしてだった。
 そのうえでだ、子爵は己の邸宅で官僚達に言った。
「クローバーはどうだろうか」
「クローバーですか」
「あの草をこの地にですか」
「あの草は育ちやすい」
 どういった土地でもというのだ。
「それに増えるしな」
「だからですか」
「クローバーをこの地に持ってきますか」
「そうしますか」
「そうしよう、勿論他の牧草も取り入れるが」
 それと共にというのだ。
「最も多く取り入れたいのはな」
「クローバーですか」
「あの草にされますか」
「ここは」
「すぐに育つし根付いてくれてしかも広まる」
 そうした様々な利点があるからだというのだ。
「あの草にしたいが」
「そうですね、あの草ならです」
「確かにいい牧草になります」
「この荒れた地を覆ってくれます」
「緑の絨毯に変えてくれます」
「そうだな、ではクローバーを取り入れよう」
 こうしてだった、子爵は官僚達にクローバーを取り入れることを決めそのことを命じた。すると即座にだった。
 地の至る場所にクローバーの種が撒かれ根が植えられた、すると。
 地の至る場所にだ、クローバーが広まってだった。
 荒れた時は緑の園に変わった。他の草も植えられて育ってだった。
 その緑の園にだ、子爵は牛や馬、そして羊達を持って来た。すると。
 彼等はクローバーや他の牧草を食べてすくすくと育ち乳製品や羊毛、革や肉を提供する様になった。その状況を見てだ。
 子爵は確かな声でだ、官僚達に言った。
「狙い通りになったな」
「はい、確かに」
「そうなりました」
「クローバーが育ち」
「牛や羊達が食い」
「すくすくと育っています」
「そうだな、上手くいった」
 確かな声でだ、子爵は言った。 
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