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おぢばにおかえり

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第三十話 春季大祭その十四

「頑張りますんで。これから」
「応援してるからね」
「応援って?」
「ちっちには関係あるけれどないことよ」
 ここでやっと私に応えてくれました。
「それに気付けばちっちも全然違うんだけれど」
「全然違うって。何が」
「勉強は学校のこととおみちのことだけじゃないわよ」
 こうも言われました。
「他のことも勉強しなさい。いいわね」
「他のこと?」
 これまた私にはわからない言葉でした。首を傾げてしまいます。とか何とかお話をしているうちに詰所に行く道に辿り着きました。
「じゃあ先輩、これで」
「そうね。それじゃあまたね」
「はい、今日は有り難うございました」
 何か全然よくわからないことも言われましたけれどそれでも楽しい時間でした。
「それではどうも」
「また機会があればね」
「そうですね。その時にまた」
「阿波野君もね」
 またここで阿波野君に声をかけられます。
「頑張ってね」
「ええ、頑張っていきますよ」
 どうも今はいつもより少しだけ真面目な阿波野君の返事でした。
「頑張ってね」
「ええ、応援してるわよ」
 何故かここで二人で私を見ます。やっぱりそれもわからないでいましたがこれで先輩とお別れして。詰所に向かおうとしたところで阿波野君がまた言い出しました。
「じゃあ僕も本気で頑張ってみるか。先は長いけれど」
「三年間頑張りなさいよ」
 私はそれは高校生活のことだと思いましたのでこう言いました。
「長いようで短いけれどね」
「そうですね。何事も」
 また私を見て言います。
「頑張りますよ」
「それはいいけれど何で私を見るの?」
「ああ、気にしないで下さい」
 明るく笑いながらの言葉でした。
「何でもないですから」
「そうなの。それじゃあ」
 どうも腑に落ちないまま詰所に二人で入りました。何か昨日に続いて色々とあった一日になりました。そんな教祖の御誕生日でした。


第三十話   完


                  2008・12・13 
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