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兎を追い掛けて 

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第七章

「君達はどうするのかな」
「はい、兎さんの行く先にも着けましたし」
「それが目的でしたけれど」
 それが適ってというのだ。
「それが終わったから」
「後は」
「帰るだけだね」
 キャロルさんは自分から笑って言った。
「君達の本来の世界に」
「私みたいにね」
 ここでアリスがくすりと笑って言った。
「そうするだけよね」
「はい、アリスさんは大騒ぎでしたけれど」
「私達もそうなります?」
「賑やかに帰る」
「そうなりますか?」
「いやいや、この娘の場合は特別でね」
 キャロルさんは二人に優しく笑って話した。
「普通はね」
「穏やかに帰られるんですね」
「そうなんですね」
「そうだよ、ふと目を閉じたら」 
 そうすればというのだ。
「君達は君達の世界に戻っているよ」
「アリスさんと比べて凄く平和ですね」
「帰り方も」
「そうだね、そしてまた縁があるか今の一生の後は」
 その時にというのだ。
「またこの世界に来られるからね」
「じゃあその時はまた」
「宜しくお願いします」
「そういうことでね」
 キャロルさんはここでも温和で優しかった、そして。
 二人はお茶会に参加している面々にだ、こう言ったのだった。
「じゃあまた」
「縁があれば」
「今度はついて来るのじゃなくて普通に参加してくれ給え」
「楽しませてはもらった」
「また一緒に飲もう」
「その時を待っているわよ」
 兎にハンプティダンプティ、王様と女王様が応えて。
 アリスとキャロルさんもだ、二人ににこやかに笑って言ってくれた。
「またね」
「この世界で会おうね」
 お互いににこりと笑って挨拶を交えてだった、手を振り合ってから。
 二人は目を閉じた、そして再び目を開けると。
 そlこは二人がいた家の庭だった、お茶を飲んでいたその席に向かい合って座っていた。
 見ればミルクティーからは湯気が立っていてセットも食べかけのままだ、二人はそのお茶とセットを見てから。
 メアリーがだ、キャロルに言った。
「あっちの世界でのことは一瞬ね」
「私達の世界ではそうね」
「ええ、結構長い時間を過ごしたけれど」
「一瞬だったのね」
 二人の世界ではだ。
「けれどその一瞬がね」
「とても楽しかったわね」
「不思議の国は本当にあったのよ」
「そうね」
 鏡の国と一緒になっていてだ。
「そしてまた縁があれば」
「今の一生が終われば」
「その時はね」
「またあの世界に行けるから」
「その時にね」
「また楽しめるわね」
 二人で話すのだった、そして。
 メアリーは自分達の前にあるお茶を一口飲んでだ、妹に言った。
「キャロルさんも紳士だったわね」
「ロリコンじゃなかったわね」
「ええ、子供が好きだけれど紳士だったわね」
「とても優しくてね」
「そうした人ってこともわかったし」
「そのこともよかったわね」
 キャロルも笑顔で応える、そしてだった。
 二人でこちらの世界で飲んでいたお茶とセットを楽しんだ、こちらの世界のお茶も実に美味しくて二人はあちらの世界のことも思いだしこちらの世界のことも楽しむのだった。


兎を追い掛けて   完


                        2015・10・20 
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