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先輩

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第六章

「それからですよね」
「屋上から一気にだ」
「窓を蹴破ってですね」
「そこから一気に潜入するぞ」
「映画みたいですね」
「映画のスワットだな」
「そんな感じですよね、今の俺達」
 潤がこう言うとだ、宗男は彼に余裕のある顔で返した。
「むしろそのままだな」
「スワットと同じことをするんですね」
「そうだ、そうする」
 こう言うのだった。
「これからな」
「そうですよね、じゃあ」
「やるぞ、それでだが」
「それで?」
「いいか、くれぐれもな」
 宗男は今も余裕のある感じだ、飄々とさえしている。だがそれでも潤に確かな口調で話すのだった。
「今回は鉄砲玉になるなよ」
「危ないからですね」
「ああ、だからな」
 それで、と言うのだ。
「俺の指示に従え、従えなかったらな」
「その時は」
「まあ御前は先天的に無鉄砲だからな」 
 先輩としてこのことは知っているがという口調だった。
「その時は俺に任せろ」
「先輩にですか」
「そうだ、背中はな」
 そこはというのだ。
「任せろ」
「守ってくれるっていうんですね」
「ああ、いつも通りな」 
 それこそという口調でだ、宗男はまた潤に言った。
「そうしてやる、任せろ」
「すいません」
「馬鹿、それじゃあもう突っ込むの前提だろうが」
「あっ、そうなりますか」
「確かに御前はいつもそうだけれどな」
 それでもと言うのだった。
「それでもいいか」
「いいんですか」
「さっきも言ったが背中は任せろ」
 こうも言うのだった。
「いいな、じゃあな」
「はい、これからですね」
「行くぞ」
「はい、それじゃあ」
 二人で言ってだ、そしてだった。
 彼等はロープを付けてだ、手すりのところに留め金をセットしてだった。そのうえで飛び降りてそうしてだ、銀行の最上階の。
 窓を蹴破ってだ、そこから。
 突入した、ガラスは派手な音を立ててだった。
 蹴破られた、そのうえで。
 二人は部屋に入った、そして。
 すぐにだ、ベルトから留め金を外した。それからだった。
 宗男は潤にだ、こう言った。
「いいか、今の音でな」
「はい、ホシはですね」
「気付いたぞ、確実にな」
「そうですね、ホシは三人ですね」
「三人いるうちで一人は絶対に来るからな」
「だからですね」
「ああ、すぐにだ」
 宗男は実際にだった、その手に。
 拳銃を出した、言うまでもなく潤もだ。
 その手に拳銃を出していた、そのうえで。
 潤はまさにだ、すぐにだった。
 突っ込んだ、宗男はその潤を見て言った。
「よし、行くか」
 その突っ込み彼についていった、潤は部屋を出て廊下を駆けていってだった。 
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