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英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)

作者:sorano
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第63話

~黒の方舟・聖堂~



「それっ!!」

戦闘が開始されるとブルブランはヨシュアとケビンにクラフト―――ワイルドカードを放った!

「そらっ!!」

しかしケビンはボウガンの矢を放ってカードを撃ち落とし

「朧!!」

ヨシュアはクラフトを放って回避すると同時に攻撃した!

「フッ!!」

しかしヨシュアの攻撃に気付いたブルブランは杖で防御し

「小さくなぁ~れ………」

杖から妖しげな赤い光を放った!すると

「なっ………!?」

ヨシュアの身体が小さくなり、パズモすらも大きく見えるほどの小ささになった!

「こんなのはどうかな?」

「!!クッ………!?」

そこにブルブランがクラフト―――マジックナイフを放ち、ブルブランの攻撃を回避しようと行動したヨシュアだったが身体が余りにも小さい為、全ては避けきれず、ダメージを受けた!

「今助けたるっ!そらっ!!」

一方ケビンはクラフト―――セイクリッドブレスを放って、ヨシュアの傷を回復すると共に身体の大きさを元に戻した。

「ありがとうございます。………弧武!紅燐剣!!」

ケビンにお礼を言ったヨシュアはクラフト―――弧武紅燐剣を放った!ヨシュアが放ったクラフトによってヨシュアの分身達が一斉にブルブランを襲った!

「フフッ………」

それを見たブルブランは不敵な笑みを浮かべてクラフト―――ワイルドカードを放って、ヨシュアの分身を次々と消した!

「絶影!!」

「っ!?」

しかしその時、ブルブランの側面からヨシュアが強襲し、分身達に攻撃していたブルブランは反応できずヨシュアの攻撃を受けてしまい

「闇の酸に呑まれろや!強酸の暗礁壁!!」

「はっ!?」

ヨシュアに続くように放ったケビンの魔術を受けて怯んでしまい



「降り注げ、炎の槍!スパイラルフレア!!」

「風に呑まれろ!エアリアル!!」

「ぐっ!?」

それぞれの行動の前に駆動させていたオーブメントの駆動を終わらせたヨシュアとケビンのアーツを受けてしまい、さらにダメージを受けた!

「逃げ場はないぞ…………」

ダメージを受けたブルブランだったが反撃にクラフトを放った!

「あいたぁっ!?」

ブルブランが放ったクラフトによってケビンはダメージを受けたが

「……………」

ヨシュアは残像を残しながら自分に降り注ぐ光を回避し、ブルブランに接近した!

「ハァァァァ…………!」

「フフッ……」

武器に闘気を溜めながら近づいて来るヨシュアにブルブランは素早くクラフト―――ワイルドカードを放ったその時、ヨシュアの姿は消えた!

「何!?」

「せいっ!!」

それを見たブルブランは驚いた後、自分の背後に現れたヨシュアの攻撃を防ごうとしたが

「ぐっ!?」

武器と武器がぶつかり合った際、吹っ飛ばされた!

「朧・斬の型………まだまだ改良の余地はあるな…………」

飛燕剣の剣技―――”殲綱斬”とクラフト―――”朧”を組み合わせたクラフト―――朧・斬の型を放ち終わったヨシュアは静かに呟き

「ハアッ!!………フッ!!」

衝撃波を放った後、クラフト―――絶影を放った!

「っ!?」

吹っ飛ばされ、受け身を取った瞬間を攻撃されたブルブランは呻き

「はっ!?」

さらにヨシュアが放った衝撃波も受け、さらにダメージを受けた!

「貫けや!封印王の槍!!」

飛燕剣の剣技―――”円舞剣”とクラフト―――”絶影”を組み合わせたクラフト―――絶影・舞の型を受け、怯んでいるブルブランにケビンは魔術を放った!

「ハッ!!」

しかしブルブランは分身して、回避をし

「君にふさわしい最期を贈ろう!」

Sクラフトを放ち始め、ヨシュアを棺桶の中に閉じ込めた!

「千の棘をもってその身に絶望を刻み、塵となって無明の闇に消えるがいい…………」

一方ケビンは無数の魔槍を背後に召喚し、さらにボウガンにも魔槍を装着した!

「さあ、美しく散るがいい!! フハハハハハ、さらばだ!!」

そしてブルブランが杖を剣に変え、棺桶に向かって投擲すると同時に

「砕け、時の魔槍!!」

Sクラフト―――魔槍ロアを放った!無数の魔槍はブルブランが放った剣を撃ち落とし、ブルブランを襲った!

「グウ………!?」

自分に襲い掛かって来た魔槍を杖を振るい、さらにワイルドカードを次々と放って撃ち落としていたが、次々と身体のあちこちをかすり、その傷によってブルブランは呻いた。そしてブルブランの周りに刺さった矢は一斉に爆発した!

「ぐあああっ!?う、美しい…………」

爆発に巻き込まれたブルブランは悲鳴を上げた後戦闘不能になり、地面に膝をついた!



「さあ、お眠りなさい…………」

自分に向かって来たシェラザードにルシオラはクラフト―――幻術・夢見の鈴音を放って、シェラザードを眠らそうとした。

「………………」

しかしシェラザードはルシオラが鳴らした鈴の音をも無視して、集中して魔術の詠唱をし

「………来たれ、雷神!審判の轟雷!!」

上位魔術を放った!シェラザードの魔術によって、ルシオラの周りにすざましい雷が次々と落ち

「ひぅっ!?」

ルシオラに命中させ、ダメージを与えた!

「くっ………おさがりなさい………!!」

ダメージを受けたルシオラは呻いた後、クラフト―――火炎旋風を放った!

「…………………」

しかしシェラザードは素早い動きで回避しながら、鞭に雷を宿してルシオラに近づき

「ハアッ!もう一つ!!」

鞭を素早く2回振るった!

「ひぅっ!?っ!!」

シェラザードが放った雷を宿した鞭を繰り返して放つクラフト―――双雷打ちを受けたルシオラは悲鳴を上げ

「ハァァァァァ……………!!」

さらにシェラザードは鞭を素早く振り回して攻撃した!

「ああっ!?」

シェラザードが放った鞭の乱舞技―――サウザンドウィップを受けたルシオラはさらにダメージを受けながらオーブメントを駆動させた。一方シェラザードは鞭に竜巻を宿らせ

「吹っ飛びなさい!!」

ルシオラに攻撃した!

「キャアッ!?」

鞭に宿った竜巻で敵を攻撃すると共に敵を吹っ飛ばすクラフト―――スパイラルウィップを受けたルシオラは吹っ飛ばされた!しかし

「ティアラル!!」

オーブメントの駆動を終わらせたルシオラはアーツで回復し

「花は散ってこそ花………旋風よ、砕き散らしなさい!奥義、華散風魔の舞!!」

Sクラフトを放った!



「っつ!!」

ルシオラのSクラフトを回避しようとしたが、ルシオラが放った竜巻は追尾して来た為、回避できずシェラザードはダメージを受けて怯んだ!

「それっ!!」

その隙を狙ってルシオラは鉄扇を投擲した!

「ハッ!!」

しかしシェラザードは鞭を振るって叩き落とし、さらにオーブメントを駆動させ始め

「出でよ!封印王の槍!!」

「出でよ!雷神槍!!」

ルシオラが放って来た魔術に対して、素早く詠唱を終わらせて魔術を放って相殺し

「ラグナブラスト!!」

「ああっ!?」

駆動が終わったオーブメントを発動させ、高位アーツを放ってルシオラに大ダメージを与え、さらにもう一度オーブメントを駆動させ始めた!

「フフ………成長したわね、シェラザード…………なら、これはどうかしら?幻惑の鈴よ見せておやりなさい………」

一方ダメージを受けたルシオラは口元に笑みを浮かべた後、鈴の音を鳴らし、シェラザードに巨大化した自分の幻を見せ始めた!

「大地の盾!アースガード!!……………」

それを見たシェラザードはアーツで自分に絶対防壁を貼った!

「奥義・火炎地獄…………さあ燃え尽きなさい!!」

すると巨大化したルシオラはすざましい炎は絶対防壁に阻まれ、無効化された。

「花は散ってこそ花………旋風よ、砕き散らしなさい!」

Sクラフトを防がれたルシオラは再びSクラフトを放つ構えをし

「”嵐の銀閃”の真骨頂………見せてあげるわ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!」

シェラザードは全身に魔力を纏って、自分の目の前の地面を何度も叩き付けた!すると地面は盛り上がり始めると同時に暴風が宿った巨大な球体が発生し

「ハリケーンストライクッ!!」

最後にシェラザードは巨大な球体と地面に鞭で強烈な一撃を与えた!すると球体はルシオラに地面を盛り上がらせながら襲った!

「奥義、華散風魔の舞!!」

一方ルシオラはSクラフトを放ったが

「そ、そんな………!」

シェラザードが放った球体に呑み込まれ、信じられない表情をした。そして球体は閃光の如くルシオラを襲うと地面を盛り上がらせて、ルシオラを空中に打ち上げ、さらに空中に打ち上げられたルシオラにすざましい雷が落ちた!

「キャアァァァァァッ!?ふふ…………迂闊ね……」

鞭に高位魔術を宿らせて風を閃光の如く襲い掛からせて、最後に雷を落とすシェラザードのSクラフト―――ハリケーンストライクを受けたルシオラは悲鳴を上げた後、戦闘不能になった!



「ぬあぁぁぁぁぁぁ……………てやぁ!!」

「はっ、付いてこれるかよ?」

ジンとヴァルターは向かい合い、お互い自分自身の能力を上げるクラフトを使って自分自身を強化し

「はあっ!!」

「せいっ!!」

同時に拳を繰り出して、お互いの攻撃を相殺した!すると相殺した際、周りに衝撃波が起こった!

「オラオラァッ!!」

攻撃を相殺されたヴァルターはクラフト―――ソニックシュートで連続攻撃をし

「オォォォォォォ………!!」

ジンはクラフト―――千手悔拳を放って相殺した後、一端下がった!

「せいやぁーっ!!」

一方ヴァルターはクラフト―――レイザーバレットで遠距離から攻撃を仕掛け

「ハアッ!!」

ジンは闘気を溜める事によって発生した球体を放つクラフト―――波動掌を放って相殺し

「もらったぁ!はぁっ!でやあぁぁぁ………!」

Sクラフト―――龍閃脚でヴァルターに襲い掛かった!



「………………」

しかしヴァルターはジンの激しい攻撃を全て防御し

「おら、おらぁっ!!」

クラフト―――インフィニティコンボを放って反撃した!

「フン!ハアッ!!」

対するジンはハイシェラのクラフト――烈風脚をヒントにし、編み出した何度も拳を放って攻撃する拳技――烈風拳を放って相殺した!

「こおぉぉぉぉっ………………!」

攻撃を防がれたヴァルターはその場で力を溜め

「はぁぁぁぁぁぁ…………!」

ジンもその場で力を溜め、そして!

「ふん!!」

「せえぇいっ!!」

ヴァルターがクラフト―――ゼロ・インパクトを放つと同時にキリカが持つクラフトと同じクラフトであり寸勁技――零頸を放って相殺した後

「こぉぉぉぉぉぉ…………フン!!」

ハイシェラのクラフト――ラクスハイシェラをヒントにし、高まった気を落ち着かせて大地や自然から闘気を集束すると共に力を吸収して自らの傷をも回復する気功――――森羅功で闘気を集束し、さらに技を打ち合った際にできた傷を回復した!

「クク……もっと楽しませろよ、ジン!はっ!ふん!!」

一方ジンの様子にヴァルターは好戦的な笑みを浮かべた後、一端下がって気の弾を放った!

「おぉぉぉぉぉぉぉぉ…………!!ハアッ!!」

対するジンはすざましい闘気をドーム型に纏って、ヴァルターが放った気の弾を無効化すると同時に

「おらおらおらぁ~っ!うおりぁぁぁ~っ!!」

「泰斗流最終奥義!玄武烈破――――ッ!!」

ヴァルターがSクラフト―――アルティメットブローの最後の強烈な一撃を放つ瞬間、Sクラフト―――玄武烈波を放った!



「っ、しゃらくせぇ!」

互いの技がぶつかり合った際、ジンの技に圧し負けたヴァルターはダメージを受けた!一方ジンはヴァルターから一端距離を取り

「こおぉぉぉぉ…………!!」

Sクラフト―――雷神掌で放つ闘気の球体にさらにすざましい闘気を溜めこんだ後、解き放った!

「滅!雷神掌ッ!!」

「フン!ハッ!そら、そらぁっ!!」

それを見たヴァルターは次々と気の球を放ったが

「チッ!グッ!?」

ジンが放った雷神掌に闘気を溜めこむ事によって、究極の気の球を放つSクラフト―――滅・雷神掌によって全て呑み込まれ、さらに命中して怯んだ!

「そこだぁっ!!」

ヴァルターの様子を見たジンはすざましい闘気を全て両脚に纏わせ、ヴァルターに強襲し

「ぬぉぉぉぉぉぉぉ…………!!」

高速でSクラフト―――龍閃脚を放った!

「チィッ…………!!」

ジンの攻撃を防御していたヴァルターだったが、高速で放たれる事によって見切れず、次々と高速の蹴りを受けた!そして高速の蹴りを放ち終わったジンは、跳躍してすざましい闘気によって龍の頭の姿を形どった両脚に纏わせながらヴァルターを襲った!

「我流泰斗流奥義!地龍猛閃脚―――――ッ!!」

「クソが………………」

ハイシェラの究極奥義―――”地竜猛襲脚”をヒントにし、編み出した奥義でありSクラフト―――地龍猛閃脚を放ったジンが地面に着地すると地面に大きな皹が入り、Sクラフトを受けたヴァルターは信じられない表情で戦闘不能になり、地面に膝をついた!

「やれやれ………まさか自分の技を習得した者の技をヒントにして、我流を生み出せるとはな………あのとんでもない御仁に世界の広さを体感させてもらった甲斐はあったな……………」

一方Sクラフトを放ち終わり、ヴァルターの戦闘不能を確認したジンは構えを解いて、リシャールと共に常にボロボロにされていたハイシェラとの恐怖の模擬戦の事を思い出しながら苦笑していた。



「チッ…………甘く見過ぎてたか。」

「フフ…………でも悪くない勝負だったわ。もう少し長く続いていても良かったくらいかしら?」

戦闘が終了するとヴァルターは舌打ちをし、ルシオラは口元に笑みを浮かべた。

「…………さすがにそれは勘弁させてもらうよ。」

「ああ…………全くや。」

ルシオラの言葉を聞いたヨシュアは苦笑し、ケビンも疲れた表情で頷いた。

「さて、我等を退けたことで諸君は第四にして”表”の最後の”守護者”に挑戦する資格を得た。」

「”影の王”が見出した最初の”守護者”。おそらくあなた達にとって、”表”の最後の壁となって立ち塞がってくるでしょうね。」

「それでも俺達3人相手にここまで立ち回ったんだ。無様を晒したら…………殺すぞ?」

「ああ…………わかってる。」

「ま、せいぜい気張らせてもらうわ。」

”執行者”達の言葉にヨシュアとケビンはそれぞれ頷いた。



「…………ルシオラ姉さん………その………今でも姉さんは…………」

「フフ、本物の私が生きているか死んでいるか………偽物の身としては何とも答えようがないわね。」

「………そっか…………」

「その答えは帰ってからあなた自身で見極めなさい。それと………その髪と服、とっても似合っているわよ。」

「あ………フフ、ありがとう。」

ルシオラに微笑まれたシェラザードは驚いた後、笑顔で答えた。

「ヴァルター………キリカのことなんだが。」

「ああ、こいつらから聞いているぜ。何でもカルバードの情報機関からスカウトされたんだってな。ジン、あいつに言っとけ。あんまり強面が過ぎると完全に嫁き遅れるぞってな。」

「はは………わかった、伝えておくぜ。」

ヴァルターの言葉を聞いたジンは苦笑しながら答えた後、寂しげな笑みを浮かべて尋ねた。

「ヴァルター………本物のお前はリタ達が守護している”冥き途”にいるのか?」

「クク………ああ。まさか”闘神”と”猟兵王”までいるとは思わなかったがな。お蔭で日々奴等とやり合っていて、死んだ今でも楽しんでいるようだぜ。」

「ハハ………お前らしいな。ま、あんまり暴れすぎてナベリウス達に迷惑をかけるなよ。」

「るせえ。余計なお世話だ。」

苦笑しながら言ったジンの言葉を聞いたヴァルターは面白くなさそうな表情で答えた。

「さて………そろそろ時間のようだ。」

「それでは皆様………今宵の舞台はこれにて。」

「クク………そんじゃあ、あばよ。」

そして執行者達は光と共に消滅し、同時に執行者達がいた場所に転位陣が現れた。

「あ………」

「転位用の魔法陣か………」

「さてと………いよいよこの領域で”表”の試練は最後や。ヨシュア君………このまま進んでも平気か?」

「………問題ありません。万全の準備を整えてから魔法陣の中に入りましょう。」

その後ケビン達は拠点に戻って休憩をした後、メンバーを編成し直し、ケビン、ヨシュア、プリネ、アガット、エヴリーヌ、アドルのメンバーで探索を再開し、転位陣に乗って転位した。



~狭間~



「―――よくぞ来た。滅びし里の遺児…………そして聖痕を背負いし贖い人よ。」

ケビン達が先を進むと聞き覚えのある声が聞こえ、その先を見ると広い場所に黒騎士がいた。

「………!」

「待たせたな…………!」

黒騎士に気付いたヨシュア達は走って黒騎士に近づき、黒騎士から一定の距離をとった。

「”王”が用意した遊戯盤、よくぞここまで駒を進めた。”表”の最後の守護者たる私を倒せば”裏”の試練に挑む事ができるだろう。クク、その中には”冒険家”。貴様が愛する女神と共に挑む試練もある。せいぜい楽しみにしている事だ。」

「何…………!?僕とフィーナが関係する”守護者”………一体誰だ………!?」

黒騎士の言葉を聞いたアドルは驚いた後、真剣な表情で尋ねた。

「フフ………奴を一言で表すなら………”女神の友”だ。」

「”女神の友”……一体誰なんだ…………?」

「クク、それは自分達で確かめると良い………無論それはこの私を倒すという不可能に近い試練を超えなければならんがな。」

「………………」

不敵な笑みを浮かべている黒騎士をアドルは真剣な表情で睨んだ。

「…………一つだけ………聞いてもいいですか?」

一方ヨシュアは黒騎士を黙って睨んだ後、静かに問いかけた。

「なに……………?」

「どうして………何故、あなたはそのような格好をしてい顔を隠しているんですか?」

「フフ………何を聞くかと思ったら。”王”がそう望まれたから………それ以上の理由がどこにある?」

ヨシュアの問いかけに驚いた黒騎士だったが、すぐに気を取り直して不敵な笑みを浮かべて答えた。

「違う………!あなたがここにいる理由は確かにそうかもしれない…………だが、顔を隠しているのは”影の王”が望んだからじゃない!その理由はまったく別のものだ!」

「!……………………」

しかしヨシュアの叫びを聞き、真剣な様子で黙ってヨシュアを見つめた。



「ヨシュア君………」

「………ヨシュア、お前…………」

「………………………」

「?(ヨシュアが関係して、プリネが複雑そうな表情をしている………?…………!くふっ♪そういう事か♪フフフフ…………エヴリーヌ達を邪魔するんだから、跡形…………残さなくていいんだよね♪)」

ヨシュアの叫びを聞いたケビンとアガットは真剣な表情でヨシュアを見つめ、プリネは複雑そうな表情で黙って見つめ、ヨシュアとプリネの様子に首を傾げたエヴリーヌだったが、ある事を察して凶悪な笑みを浮かべた。

「やっぱり僕の事情を知っている人達は皆…………気付いていたみたいですね。僕が不甲斐ないばかりに………本当にすみませんでした。」

一方エヴリーヌの様子に気付いていないヨシュアは静かに言った。

「なに………君のせいばかりでは無いやろ。オレらかて、まさかという気持ちがあったのも確かやしな。」

「………まあな。」

「フフ………」

「………何を納得しているのか知らないが…………それが真実だと思うなら構わずここで言ってみるがいい。クク、それを告げるだけの覚悟がお前達にあるのならばだが。」

納得している様子のヨシュア達を見た黒騎士は口元に笑みを浮かべて言ったが

「………断る。」

「…………なに…………」

ヨシュアの答えを聞き、静かに驚いた。



「あなたの正体など力ずくでその仮面を剥ぎ取ればわかること………確かなのは、ここを乗り越えない限り、明日が来ないという事だけだ。―――ならば今はあえてその事に触れずにおく。迷うのでもなく、そして逃げるためでもなく………」

驚いている黒騎士にヨシュアは静かに答えた後

「ただ、全身全霊を賭けてあなたという試練に克つために!」

探索を再開する前にウィルに頼んで”影の国”で手に入った材料で創り、以前使っていた武器を合成し、さまざまな魔術効果が付与された真新しい双剣―――『干将・莫耶』を決意の表情で構えて叫んだ!

「ヨシュア君………」

「へッ、俺もあの時の借りをここらで返しておきたいしな………」

「フフ………”影の国”に来てからは初めての手合わせね。悪いけど………本気を出させてもらうわよ!ハアッ!!」

ヨシュアの言葉に続くようにケビンとアガットも武器を構え、プリネは微笑んだ後、”力”を解放して黒髪と琥珀の瞳に変化させ

「僕とフィーナの”試練”を超える為にも………お前を倒す!黒騎士!」

アドルは静かに呟いた後、武器を構え

「キャハハハハッ!本物じゃないのは残念だけど…………たっくさん、遊んであげるっ!!仮面どころか、腕、足、頭…………ぜ~んぶ、剥ぎ取ってあげる!楽に消えさせないんだから!」

エヴリーヌは凶悪な笑みで大声で笑った後、全身に魔力や闘気を纏って武器を構えた!



「………クク…………ハハハハハハハハハハッ!まさかそんな風に開き直るとは思わなかったぞ!いいだろう、ならばこの顔、力ずくで曝け出せてみるといい!」

一方黒騎士は大声で笑った後、ヨシュア達に剣を向けて叫び、詠唱をした。すると漆黒のドラギオンが空から飛んで来て、黒騎士の背後に着地した!

「黒のドラギオン…………!」

「へっ、そう来たかい!」

「そんな玩具………さっさとバラバラにしてやる!」

漆黒のドラギオンを見たヨシュアとケビンは警戒し、エヴリーヌは高々と叫んだ。

「我が名は”黒騎士”………漆黒の竜機を駆り、最後の”駒”―――”滅びし里の修羅”を守る深淵の守護者なり!”影の王”との誓約に従い、今ここに試練として立ち塞がらん!いざ―――――尋常に勝負!」

「ああ…………!」

「望む所や……………!」



そしてケビン達は黒騎士達との戦闘を開始した…………!


 
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