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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

作者:sorano
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第5話

同日、12:15―――――





~バルフレイム宮~





「何だと!?奴等も”機甲兵”を所持しているというのか!?」

「は、はい……!しかも”新型”の姿もあったそうです……!」

「馬鹿な……一体どこで”機甲兵”の情報が漏れたというのだ!?クッ……トリスタやカレル離宮の守備に廻している部隊も廻せ!」

兵士の報告を聞いたカイエン公爵は信じられない表情で声を上げた後すぐに指示をし

「既にトリスタや離宮の守備隊もこちらに向かっています!」

「―――!しまった!?帝都の襲撃は囮で本命はカレル離宮にいるエリスね……!直ちに離宮の守備隊を引き返させ――――」

兵士の報告を聞いてある事を察したクロチルダが厳しい表情で指示をしようとしたその時、何と数機の”ルナ=ゼバル”がバルヘイム宮の謁見の間に突撃した!



「キャアッ!?」

飛行艇がぶつかった際に起こった衝撃にクロチルダは怯み

「な、なななななななっ!?」

突然の出来事にカイエン公爵は混乱した様子で声を上げた。するとその時プリネ、ツーヤ、エヴリーヌ、レーヴェ、ペテレーネが転移魔術によってクロチルダ達の目の前に現れた!



「”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”!?それにレオンや”蒼黒の薔薇”、”魔弓将”や”闇の聖女”まで……!さしずめ私を足止めする為に貴女達が来たと言う事かしら……!?」

プリネ達の登場に驚いたクロチルダは厳しい表情でプリネ達を睨み

「―――その通りです。少しの間、時間を稼がせて頂きます。」

「時間稼ぎをするだけだから手は抜くけど、間違ってエヴリーヌ達に殺されないでね、キャハッ♪」

「シルフィエッタ様に代わり、今度は私が魔術師として”格”の違いを思い知らせて差し上げましょう……!」

「クッ……!”蛇の使徒”を舐めてもらっては困るわ……!―――グリアノス!!」

プリネとエヴリーヌ、ペテレーネの言葉を聞いて唇を噛みしめたクロチルダがグリアノスに魔力を注ぐとグリアノスは巨大な鳥になった!

「公爵閣下!ご無事ですか!?」

「プリネ皇女殿下!ご指示を!」

するとその時近衛兵達が謁見の間に現れると共にルナ=ゼバルからはメンフィル兵達が現れた!



「――総員、近衛兵達を”殲滅”しなさい!」

「敵将と巨大魔獣は俺達が相手する。お前達は近衛兵達を皆殺しにしろ。」

「プリネ皇女親衛隊、戦闘開始!メンフィル帝国の”怒り”、今こそエレボニア帝国に思い知らせてあげなさい!」

「オォォオオォオオオオ―――――ッ!!」

プリネ、レーヴェ、ツーヤの号令に武器を掲げて雄たけびを上げたメンフィル兵達は領邦軍の兵士達との戦闘を開始し、プリネ達はクロチルダとグリアノスとの戦闘を開始した!





~同時刻・エレボニア帝国西部・某所~



同じ頃オーレリア将軍率いる領邦軍は必死に抵抗している正規軍と激しい戦闘を繰り広げていた。

「―――失礼します!閣下!オルディスより緊急の報告が来ました!」

「緊急の報告だと?一体何だ。」

黄金のシュピーゲルを操縦して機甲師団と戦う領邦軍を指揮していたオーレリア将軍だったが、慌てた様子で自分に近づいてきた機甲兵の報告を聞いて眉を顰めた。

「メンフィルです!メンフィル軍がオルディスに奇襲して来たとの事です!」

「何だとっ!?何故オルディスまで接近を許した!?オルディスに一番近いメンフィル領であるセントアークから進撃するにしても、それまでに領邦軍の空挺部隊の警備が気付いているはずだぞ!?」

「奴等、突然空から無数の飛行艇や戦艦の部隊と共に現れたとの事です!レーダーにも反応しなかったとの事です!」

「クッ……先日の件を考えると近日中に仕掛けてくる事は予想していたが、まさかいきなりオルディスに奇襲して来るとは……!状況はどうなっている!?」

部下の報告を聞いたオーレリア将軍は唇を噛みしめた後厳しい表情で問いかけた。



「オルディスの防衛部隊が応戦しているようですが、敵の戦力は余りにも圧倒的な為、戦況は芳しくないようです………!ナーシェン様からも援軍の要請が来ています!」

「クッ…………今から向かっても間に合わない可能性は高いだろうが、今の状況でオルディスを奪われる訳にはいかぬ!――――総員撤退!正規軍は捨て置き、これよりオルディスに向かい、メンフィル軍に襲撃を受けているオルディスを早急に守り、メンフィル軍を迎撃する!」

「イエス・マム!!」

そしてオーレリア将軍の指示によって機甲師団と戦闘を繰り広げていた領邦軍は撤退を始め

「な、何だ……?」

「撤退だと……?」

領邦軍の行動に正規軍は戸惑っていた。

「―――好機だ!何があったからは知らぬが、追撃しろ!」

「イエス・サー!」

対する正規軍を率いる司令官は好機と判断し、正規軍は撤退を開始する領邦軍に追撃を行い始めた!

「ががっ!?」

「グアッ!?」

「か、閣下!正規軍が追撃をしてきました!」

「チィッ……!事情を説明して停戦を求めた所で、奴等がそれを信じて停戦に応じる可能性は低い上、時間を無駄にする訳にはいかん……!――――全速力で奴等を引き離せ!今は奴等の相手をしている暇はない!(クッ……我が大望を叶える為の足掛かりである内戦をこんな形で終わらせてなるものか……!)」

オーレリア将軍は内心焦りながら、オルディスに急行し始めた。





~海都オルディス近郊~



オーレリア将軍率いる領邦軍がオルディスに向かい始めているその頃ターナ率いるメンフィル軍はオルディス近郊を守るラマール州の領邦軍と激しい戦闘を繰り広げていた!

「それっ!!」

「ハッ!!」

「ギャアアアアアッ!?」

「ガハッ!?そ……ん……な……馬鹿……なっ……!?」

ターナとシレーネがそれぞれ投擲した槍は機甲兵の操縦席にいる兵士まで貫き、槍に貫かれた兵士は信じられない表情で絶命した!

「この………喰らえっ!!」

その時ドラッケンが銃でターナとシレーネを攻撃したが

「フフ、遅すぎるわよ!」

「スナイパーが放つ矢の方が早くてよ!」

「しま―――」

ターナとシレーネは巧みな手綱さばきで銃撃を回避すると共にそれぞれ銃撃を放ったドラッケンの背後に回り

「セェェェイッ!!」

「ハァァァァァァッ!!」

「ギャアアアアアアアッ!?」

闘気を込めた槍で薙ぎ払いを放ち、操縦席にいる兵士ごとドラッケンを薙ぎ払った!



「ヒィィィィ……ッ!ば、化物……っ!」

「それ以前に何でメンフィル軍が攻めてくるんだよ!?」

「メンフィルと戦争状態になったなんて、聞いてないぞ!?」

「ええい、怯むな!偉大なる我らが主が納めしオルディスに絶対に薄汚い輩を通すな!」

ターナ達の獅子奮迅の活躍に貴族連合軍が恐怖を感じている中、司令官は若干焦った様子で指示をし

「―――お、応答せよ、応答せよ!こちら貴族街方面守備隊!」

「む……!?なんだ、こんな時に!!」

「上空よりメンフィル軍が急襲!メンフィル軍は守備隊を撃破しながら貴族街にある貴族の方々の家に突入し、破壊活動を始めている!そ、それどころか守備隊の一部が裏切り、メンフィル軍と共に守備隊の撃破や破壊活動を行っている!至急応援を求む!」

「な、何だとぉっ!?」

通信相手から語られた驚愕の事実に目を見開いて声を上げた。



「斬!!」

「えー――――ギャアアアアアアア――――――ッ!?」

「し、司令―――――ッ!?」

するとその時ターナお付きの護衛剣士である親衛隊員――――マリカが一気に詰め寄って刀を振るって司令官の身体を真っ二つに斬って絶命させ

「相手が誰だろうとターナの敵は斬る。―――それだけ。」

「グアアアアアアアッ!?」

「ギャアアアアアアッ!?」

静かな口調で呟いた後次々と機甲兵や戦車を刀を振るって真っ二つに斬って中にいる操縦者達を絶命させた!

「クソ――――ッ!どうしてこうなったんだ――――ッ!?」

「援軍は……援軍はまだか――――ッ!?」

メンフィル軍の圧倒的な攻撃によって次々と仲間達が絶命していくというまさに”悪夢”のような状況にラマール州の領邦軍の兵士達は恐怖の表情で悲鳴を上げていた。



~海都オルディス・貴族街~



オルディス近郊でメンフィル軍と貴族連合軍がぶつかり合っている中、飛行艇や戦艦でオルディスの上空まで向かい、飛行手段を持つ騎獣に乗って貴族街に現れたヒーニアスとジスト率いるメンフィル軍は貴族街を守護する守備兵達を次々と虐殺していた。

「雑魚はどけ!時間の無駄だ!」

「グアッ!?」

「ががッ!?」

ヒーニアスが次々と放つ矢に喉元や眉間を貫かれた兵士達は絶命して地面に倒れ

「フンッ!」

「ギャアアアアアアッ!?」

ジストは跳躍して大剣を振り下ろして守備兵の身体を真っ二つにして絶命させ

「オラアァァァァァッ!!」

「ガアアアアアアア――――ッ!?」

そのまま薙ぎ払い攻撃を放って周囲にいる多くの守備兵達の身体を上下に別れさせて絶命させた!

「このまま一気に戦線を圧し上げ、カイエン公爵家の城館に突入する!遅れるなよ、ジスト!」

「あいよっ!全員、一人たりとも俺達に遅れんじゃねえぞ!」

ヒーニアスの指示に頷いたジストは大剣を掲げて号令をかけ

「オォォォォォオオオオォォォォ―――――ッ!!」

ジストの号令に応じたメンフィル兵達は雄たけびを上げて士気を高め、怒涛の勢いで防衛部隊の兵士達を討ち取り続けた!



「キャアアアアアアアッ!?だ、旦那様が……!」

「あなた……あなた―――ッ!」

「うわあああああああんっ!!目をあけてよ、お父様―――――ッ!!」

「だ、旦那様―――――ッ!!」

一方貴族街にある貴族の家から次々と貴族達や貴族に仕える執事の悲鳴が鳴り響いていた!


同日、12:25――――



~バリアハート郊外・北クロイツェン街道~



オルディスがメンフィル軍に襲撃を受けていたその頃パント率いるメンフィル軍がクロイツェン州の領邦軍を圧倒していた!

「業火の理よ、我が呼びかけに応えよ――――フォルブレイズ!!」

「グギャアアアアアア――――――ッ!?」

「熱い、熱いよ―――――――ッ!?」

パントが放った業火の大魔術をその身に受けた機甲兵を操縦する兵士達は悲鳴を上げながら焼死し

「降り注げ聖光――――アストラルレイン!!」

「グアアアアアッ!?」

「ガアァァァァッ!?」

ルイーズが解き放った聖なる光の矢の雨は降り注いで戦車や機甲兵を破壊して兵士達を絶命させたり、重傷を負わせたりしていた!



「敵は怯んでいる!隙を逃さず戦線を一気に圧し上げろ!」

「ハッ!!」

「オォォォォォオオオオォォォォ―――――ッ!!」

「う、うわああああぁぁぁぁっ!?」

パントの号令によって士気を上げたメンフィル軍は怒涛の勢いで領邦軍に襲い掛かり、メンフィル軍の勢いに領邦軍は恐怖の表情で悲鳴を上げていた。

「おのれ……っ!まさか宣戦布告もせずに、攻めて来るとは卑怯者共が……!クッ……オーロックス砦からの応援はまだか!?」

自軍が圧倒されている事に唇を噛みしめた領邦軍の司令官は焦りの表情でオーロックス砦からの援軍を待っていた。



~オーロックス砦~



一方その頃、メンフィル軍の襲撃を知ったオーロックス砦に詰めている領邦軍は次々と機甲兵や戦車に乗り込んで北クロイツェン街道で起こっている戦闘の援軍に向かおうとしていた。するとその時砦に巨大な影が覆った!

「ん……?」

「空が急に暗く……まさか雨か……?―――え。」

「な―――――」

突如暗くなった空を不思議に思った領邦軍が空を見上げると何と、オーロックス砦の上空には合成儀式によって生み出された”戦略級”の魔物――――”歪竜”である”ペルソアティス”が滞空し、口に膨大なエネルギーを溜め込んでいた!

「な、なななななな、なんだあれはっ!?」

「り、りりりりりりり、”竜”!?」

「い、いかん!退避!退避――――――ッ!!」

”ペルソアティス”に気付いた領邦軍はオーロックス砦から逃亡し始めたが時すでに遅く、”ペルソアティス”は口から高純粋魔力が込められたエネルギーを解き放った!



「――――――!!」

「あ―――――」

「女神よ―――――」

”ペルソアティス”が放ったエネルギー波の威力はあまりにも凄まじく、兵士達の悲鳴をも掻き消してオーロックス砦を呑み込み、エネルギーが消えるとオーロックス砦は”消滅”してオーロックス砦があった場所は巨大なクレーターになっていた!



~南クロイツェン街道~



一方その頃、北クロイツェン街道での戦闘の援軍に向かった影響で見張りの兵士しかいないという南口の街道の物陰にはエフラム率いるメンフィル軍の騎馬隊が隊列を組んでいた。

「エフラム様、斥候の報告では南口に待機している領邦軍は北口での戦闘の援護に向かい、見張りの兵士達しかいないそうです。また”歪竜”によるオーロックス砦の”消滅”も確認したと先程報告にあがりました。」

「―――わかった。総員、これより作戦を開始する!今こそ同胞を傷つけた愚か者達に俺達メンフィルの怒りを思い知らせてやるぞ!!」

デュッセルの報告を聞いたエフラムは槍を掲げて号令をかけ

「イエス、マイロード!!」

「オォォォォォオオオオォォォォ――――――ッ!!」

エフラムの号令に応えたメンフィル兵達はそれぞれの武器を空へと掲げて辺りを轟かせる勇ましい雄たけびを上げた!

「―――総員、突撃開始ッ!!我らを阻む者達は全て蹴散らせっ!!」

「オォォォオオォォォォォォオオオォォッッッ!!!!」

そしてデュッセルの号令によってエフラム率いるメンフィル軍の騎馬隊は南口に突撃した!



「な、なななななななななっ!?」

「メ、メンフィル軍だとっ!?クソッ!お、応答せ―――――」

怒涛の勢いで突撃して来るメンフィル軍に見張りの兵士達は混乱し

「邪魔だ!そこを退け!セイッ!!」

「ぬぅんッ!!」

「グアッ!?」

「ガッ!?」

先頭にいるエフラムとデュッセルが繰り出した槍に心臓を貫かれて絶命し、絶命した兵士達の死体は騎馬隊によって弾き飛ばされて堀に落ちた!



~バリアハート市内~



「メ、メンフィル軍!?」

「まさか……近くで始まっている戦闘はメンフィル軍の襲撃か!?」

「う、うわああああぁぁぁぁっ!?」

「に、逃げろ――――ッ!メンフィル軍が市内に入って来たぞ――――ッ!!」

「こ、公爵閣下は一体何をしているんだ!?」

「ああ、ルーファス様がいてくれたらこんな事には……!」

バリアハートに突入して来たエフラム達に驚いた市民や貴族達は混乱し、逃げ回り始めた!



~貴族街・アルバレア公爵城館前~



「なっ!?騎馬隊だと!?北クロイツェン街道で戦闘しているメンフィル軍は囮か!」

「クッ……絶対にここを通すな――――ッ!!」

アルバレア公爵家の城館前を守っていた見張りの兵士達はエフラム達の登場に驚いた後、武器を構えたが

「そこを退け!聖炎槍!!」

「「ギャアアアアアア――――――ッ!?」」

エフラムの”聖炎”を纏った槍の薙ぎ払い攻撃によって絶命し、吹っ飛ばされた!



「よし!これより屋敷に突入し、アルバレア公爵夫妻を拘束する!総員、奮起せよっ!ただし、非戦闘員には決して手を出すなっ!!」

馬から降りたエフラムは号令をかけ

「オォォォオオオオオオオオオオオオォォォオ―――――――――ッ!!」

エフラムに続くようにそれぞれ馬から降りた騎馬隊の兵士達はエフラムの号令に雄叫びで返した後、エフラムと共にアルバレア公爵家の城館に突入した!



オルディスとバリアハートがメンフィル軍による襲撃を受けているその頃、カレイジャスはカレル離宮の上空に到着し、地上の状況をモニターで見ていた。 
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