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Three Roses

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第一話 運命の薔薇その十

「その真面目さ、潔癖さがだ」
「かえってですね」
「危うく思える、極端に走るとだ」
「王位に就かれたなら」
「その時は国を誤る」
 王は鋭い目でだ、弟に話した。
「そうなりかねない」
「だからこそ」
「あの娘は出来るだけ王にはしたくない」
「だからこそ」
「あの娘を第五としたい」
「では第四の継承者は」
「そなたの娘だ」
 大公にだ、これ以上はないまでに強い声で告げた。
「マリアだ」
「私の娘をですか」
「そうだ、そなたの娘を第四の継承者としたい」
「それは何故でしょうか」
「気質がいいからだ」
 だからだというのだ。
「非常に心優しい、だからな」
「マイラ様よりもですか」
「王にいい、マイラは厳し過ぎる」
「だからこそなのですね」
「しかもあの娘も極端には走らない」
 マリアのその気質も見ての言葉だった。
「だからよい」
「では」
「いいな」 
 大公に対して確認の言葉もかけた。
「王位継承権の順序はその様にする」
「私はです」
「マイラをだな」
「はい、第四にと思いますが」
「本来ならそうした」 
 王も否定しなかった。
「本来ならな」
「あの方のご気質故に」
「そうする、わかったな」
「では」
 大公はわかった、王が考えを変える気がないことが。それに第三まで決めているのならその後までは王位は回らないとも思ってだ。
 それでだ、王に答えた。
「では」
「その様にな」
「はい、では太子を」
「大事にせねばな」
「そうしましょう」
「何といってもな」
「やはり君主は男子です」
 大公は王に強い声で言った。
「他国もそうであり我が国もまた」
「女では何かと不都合が多い」
「はい」
「身体の問題でな」
「女はどうしてもです」
 それこそとだ、大公はさらに言った。
「その身体に問題があります」
「筋肉がなくな」
「月のものも出ます」
「そして戦場に立つことにも向かない」
「ですから」
「女よりも男だ」
「はい、女王は我が国にも他国にも例があろうとも」
 それでもとも言った大公だった。 
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