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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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終章~若獅子と英雄達の軌跡~ 第190話

七耀歴1205年1月7日、同日10:10―――――





七耀歴1205年――――初春。リベール王国第26代女王、アリシア・フォン・アウスレーゼの呼びかけによって開催される事になった『エレボニア存亡会議』が始まった。





西と東の二大国全土を異世界の大国メンフィルと共に制圧した新興の大国、クロスベル帝国からは”黄金の戦王”ヴァイスハイト・ツェリンダー皇帝とヴァイスハイト皇帝の正妃予定にして、クロスベル帝国のもう一人の皇帝―――ギュランドロス・ヴァスガン皇帝の名代でもあるエルミナ・エクスー―――――





北東にあるレミフェリア公国からはかつて『西ゼムリア通商会議』にも参加したアルバート大公―――





開催国であるリベール王国からはアリシア女王に加えてクローディア王太女――――





異世界の大国、メンフィル帝国からは『西ゼムリア通商会議』にもシルヴァン皇帝の名代として参加したリフィア皇女に加え、前メンフィル皇帝にして現メンフィル大使であるリウイ・マーシルン皇帝と正妃イリーナ・マーシルン皇妃―――――





七耀暦500年頃に誕生し、暗黒時代と呼ばれた時代の平定に貢献したゼムリア大陸で最も広い信仰を集める組織、七耀教会からは七耀教会が崇める神――――『空の女神エイドス』自らと七耀教会の教皇の名代である”星杯騎士団”を束ねる”守護騎士(ドミニオン)”の一人にして星杯騎士団の総長であるアイン・セルナート総長―――――





いずれも国賓クラスのVIP達が今まさにリベールに集まりつつあった。







~キルシェ通り~





王都近郊の街道、『キルシェ通り』からは多くの車両や馬を駆る騎士達、更に空は様々な騎獣を駆る騎士達に守られるように囲まれ、エクリアが運転する黒いリムジンの中にはリウイとイリーナ、そしてリフィアがエリゼと共に乗っており、リムジンはエルベ離宮に向かっていた。





~王都グランセル・西区画~





王都の西区画にある『グランセル大聖堂』からはエイドスがセルナート総長と共に現れ、リベール王国が手配した白いリムジンに乗り、リムジンを守るように囲んでいる多くの車両にはケビンやワジ達を含めた”星杯騎士”達が乗り込んでおり、リムジンと車両はエルベ離宮に向かい始めた。





~グランセル国際空港~





空港にはエレボニア帝国の高速巡洋艦”カレイジャス”やクロスベル帝国の巨大戦艦”ヴァリアント”が停泊し、カレイジャスからはミュラー少佐やエレボニア正規軍の軍人達や鉄道憲兵隊の隊員達と共にエレボニア帝国皇帝名代、オリヴァルト・ライゼ・アルノール皇子がリィンとアルフィン、クレア大尉を連れて現れ、ヴァリアントからはクロスベル帝国の軍人達やダドリー達クロスベル警察の”捜査一課”の刑事達と共にヴァイス、エルミナ、アル、ユーディットが現れ、レミフェリア公家専用の飛行艇からは護衛や秘書と共に現れたレミフェリア公国国家元首、アルバート・フォン・バルトロメウス大公はそれぞれリベールが用意したリムジンや車両に乗り込み、王国親衛隊が運転する装甲車の先導によってエルベ離宮に向かった。









同日、11:00―――――





正午前―――各国のVIPがエルベ離宮にて勢揃いした瞬間であり、リムジンから降りてきた各国の首脳達はリベール王国の代表であるアリシア女王やクローディア姫と挨拶をしていた。





~エルベ離宮~



(まさに圧巻ですね……)

(はい……エレボニア帝国を除けば全員国王クラスの方々ばかりですからね……”通商会議”の時よりも凄まじいメンバーが集まっているといっても過言ではありません。それよりリィンさん、大丈夫ですか?)

アリシア女王やリウイ達にそれぞれ挨拶をしているオリヴァルト皇子とアルフィンの様子を驚きの表情で見ていたリィンの小声に静かな表情で答えたクレア大尉は心配そうな表情で尋ねた。



(?何の事でしょうか。)

(……エリゼさんの事です。)

(あ……………)

クレア大尉の言葉を聞いたリィンは呆けた後複雑そうな表情でリフィアの背後に控えているエリゼに視線を向け

「?(兄様……)………………」

リィンの視線に気付いたエリゼは一瞬複雑そうな表情をしたがすぐに表情を戻して静かな表情でリィンとクレア大尉を見つめて会釈をし

(……大丈夫です。エリゼは”通商会議”にも参加したのですから、エリゼが参加する事も予想していました。俺達の為に陰でずっと動き続け、苦渋の決断でクロウを制圧したエリゼの為にも今回の会議は例え相手が(エリゼ)でも、負ける訳にはいきませんから。)

(リィンさん…………フフ、そうですね。)

リィンの決意を知ったクレア大尉は驚いた後やがて優しげな微笑みを浮かべた。



「―――各国首脳の皆様。ようこそ、遠路はるばるリベールへいらっしゃいました。リベール王国の国王、アリシア・フォン・アウスレーゼと申します。」

その時アリシア女王が各国からのマスコミのカメラによるフラッシュにたかれながら説明を始めた。

「新年早々我が国と友好を結んでいるエレボニア帝国の存亡をかけた『エレボニア存亡会議』に参加して頂き、誠に有難うございます。通例ならば、この場で歓迎の意と共に開会宣言をさせて頂くところですが……その前に、この会議に急遽参加する事になり、ゼムリア大陸に住む誰もがその姿を拝見する事を夢見ていた方のご紹介の為に少しだけ時間を頂きたいと思います。」

(ついに来たか……!)

(女神様ってどんな人なんでしょうね、ナイアル先輩~。)

(”空の女神”の”本性”を知っている私からしたら、ちゃんとまともな所を見せてくれるのかが心配ね~。)

アリシア女王の発言を聞いてある事を察した”リベール通信”の記者であるナイアル・バーンズとカメラマンのドロシー・ハイアットはそれぞれ興味ありげな表情でアリシア女王を見つめ、グレイスは苦笑しながらアリシア女王を見つめていた。するとその時エルベ離宮の扉が開き、そこからセルナート総長を後ろに控えさせたエイドスが現れ、アリシア女王の横に並んだ。



「―――ご紹介申し上げます。七耀教会が崇め続けて来た存在にしてゼムリア大陸の多くの人々の信仰の対象である”空の女神”―――エイドス様です!」

「――初めまして。エイドス・クリスティンと申します。様々な事情で一時的にですがこのゼムリア大陸に降り立ち、今回の会議に参加する事になりました。まずは私を崇め続けて来た七耀教会の方々を始めとしたゼムリア大陸の人々に私自身、心から感謝している事をこの場を借りて言わせて下さい。――――こんな私を信仰してくださってありがとうございます。」

アリシア女王の紹介に応えるかのように一歩前に出たエイドスは全てを慈しむような母性溢れる優しげな微笑みを浮かべ、エイドスの微笑みに一瞬見惚れたマスコミ達はすぐに我に返り、一斉にフラッシュをたいてエイドスの微笑みを写していた。



(まさかエイドス様御自身が参加するとは予想もしていませんでしたね、あなた。)

(ああ。エイリークの報告ではエイドス達のユミル滞在中にカレイジャスが現れたとの事だったからな。それを考えると恐らくはエレボニア帝国の味方をする為だと思うが……)

(フム……”ブライト”を名乗らなかったのは恐らくエステル達の為じゃろうな……)

イリーナの小声の言葉に頷いたリウイは真剣な表情でエイドスを見つめ、エイドスの自己紹介に疑問を感じたリフィアはエイドスの意図をすぐに察して納得した表情をし

(フッ、まさか”空の女神”をこの会議に参加させるとはな。)

(……彼女が参加したのは十中八九エレボニアの味方をする為でしょうね。)

(正直、驚きました。一体どんな手段で現代の国際問題に介入する気が無かった”空の女神”の心を変えたのでしょう?)

(あの方が”空の女神”……)

ヴァイスは感心した様子でオリヴァルト皇子達を見つめ、エルミナが真剣な表情で推測している中、目を丸くしているアルと共にユーディットは呆けた表情でエイドスを見つめていた。



「―――それでは改めまして。首脳の方々、およびこの場にいる全ての関係者の立会と、そして”空の女神”の名の下―――『エレボニア存亡会議』の開催を宣言させていただきます!」

そしてアリシア女王は各国の首脳達に宣言した。 
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