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歌集「春雪花」

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 晩春の

  田植えの終えし

   山里の

 のどけき風の

    侘しものかな



 田植えも終えた、春も終わりに近付く山里…。

 鳥や草花は光を浴びて生を謳歌していると云うのに…私は一体何をしているのだろうか…?

 ただ…毎日溜め息をついて日々を過ごす…。
 何のために生きているのかさえ分からない…。

 梢を揺らす咽かに吹き抜ける風さえ…今の私には侘しいだけだ…。



 夜もすがら

  想いてつきし

   溜め息の

 見なば淋しき

    朝ぼらけかな



 一晩中彼を想い…溜め息ばかり…。

 心などなければ、こんなに辛いこともあるまいに…。
 なぜ…人を愛するのだろうか…?

 なぜ…私は彼を愛したのだろうか…?

 そんなことばかり延々と考えていたら…ふと、朝が来たことに気付いた…。

 何とも淋しい…朝ではないか…。



 
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