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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第168話

~ウルスラ間道~



「はあ……はあ…………」

「な、何とか勝てたわね……」

「はい……!」

「伝説の暗殺者と謳われていただけあって、相当な使い手でしたわ……」

二人の戦闘不能に安堵したリィンやアリサ、エリスが息を切らせている中、メサイアは疲れた表情で呟き

「ったく、とても今までずっと拘置所にいたとは思えない程の実力ね……」

「ハア……初戦でこんなとんでもない相手なんだから、先が思いやられるぜ……」

「フン、立ち塞がる者達全員に勝てばいいだけの事だ。」

サラ教官と共に疲れた表情で呟いたトヴァルの言葉にユーシスは鼻を鳴らして答えた。



「フフッ、手を抜いたつもりはなかったのですがまさか一本取られるとは……」

「クク、俺もヤキが回っちまったな………」

地面に跪いているリーシャは苦笑し、ガルシアは満足げな笑みを浮かべて呟いた。

「―――お見事です。私達の”試練”は合格ですので先に進んで下さい。」

「言っておくが残りの連中は俺達を超えた奴等だ……俺達に勝ったからと言って、気を抜かない事だな。」

「…………ご忠告ありがとうございます。それとガルシアさん……でしたか。貴方に一つ尋ねたい事があるのですが。」

リーシャの後に忠告したガルシアの言葉を聞いたリィンは静かな表情で答えた後ガルシアに視線を向けた。



「あん?何だ。」

「……解散した”西風の旅団”のメンバーが今どこで何をしているか知りませんか?フィーは彼らの事を知りたがっているのです。」

「リィン…………」

「………………」

リィンの質問を聞いたアリサは驚き、サラ教官は目を伏せて黙り込み

「さあな。俺は8年前に抜けた”部外者”だ。今奴等がどこで何をしているか知らねぇよ。」

ガルシアは静かな表情で答えた。



「そうですか…………―――それと刑期を終えたらフィーに会ってやってくれませんか?フィーは”西風の旅団”の人達を大切な”家族”だと思っています。かつての”家族”だった貴方との再会もフィーにとっては大切な事なので、どうか会って頂けませんか?」

「お前……………………フン、前向きに考えておいてやるよ。」

リィンの言葉を聞いたガルシアは驚いた後口元に笑みを浮かべて答え

「あの……お礼が遅くなって申し訳ありません。カレル離宮に幽閉されていた私を見つけ、姉様達と一緒に私を救出して頂きありがとうございます。」

「いえ、その頃の私はラギール商会に雇われていましたから、彼らの依頼に応じたまでですし、大した事はしていません。」

エリスに会釈されたリーシャは静かな表情で答えた。



「”雇われていた”だと?」

「その口ぶりだと今はラギール商会に所属していないのかよ?」

リーシャの言葉が気になったユーシスは眉を顰め、トヴァルは不思議そうな表情で尋ねた。

「―――はい。闇の中で生きて来た私にとって本当に大切なものが何なのかをロイドさんとイリアさんに諭された時にわかりましたから、彼らとの契約は切りました。」

「ええっ!?ロ、ロイドさんがですか………?」

「暗殺者を諭すとは相当変わり者な捜査官だな……」

リーシャの話を聞いたリィンが驚いている中、ユーシスは信じられない表情をしていた。



「やれやれ…………東方の伝説の暗殺者すらも仲間にするなんて、とんでもない所ね、”特務支援課”は。」

「それについては私達”Ⅶ組”も良い勝負をしていると思うのですが。」

「ア、アハハ……確かに皆さんもそうですが、リィン様達が契約している方々の面々を考えると”Ⅶ組”もとんでもない所ですね。」

苦笑するサラ教官に呆れた表情で指摘するアリサの言葉を聞いたメサイアは苦笑していた。



「さてと―――そろそろ行くか?」

「ええ。―――それでは俺達は先に急ぎますので。」

トヴァルに促されたリィンはリーシャとガルシアを見つめて言い

「はい。この後控えている皆さんの”試練”の相手は手強い方達ばかりですけど、ロイドさん達と色々似ている部分がある皆さんならきっと超えられると思います。最後まで諦めずに頑張ってください。」

「クク、どっかの大馬鹿兄弟のように抗い続けて超えられるかどうか、ムショの中で楽しみにしているぜ。」

二人はそれぞれリィン達に応援の言葉を送った。その後ウルスラ病院に向かっていたリィン達がしばらく歩いていると突如声が聞こえて来た。



ほう……あの二人を超えるとは。ロイド達ですらあの二人を同時に相手にした事はないというのに、その偉業を成し遂げるとはロイド達の”域”に近づいているのかもしれんな。



「え…………」

「な、何なの今の声!?」

「―――出てきたらどうですか?貴方の居場所は既にわかっています!」

突如聞こえて来た声にエリスが呆け、アリサが驚いている中、リィンは森林がある方向を見つめて叫んだ。するとツァイトが森林から飛び出してリィン達と対峙した!



「へっ!?」

「白い狼だと……?」

ツァイトの登場にリィンは驚き、ユーシスは眉を顰め

「……!あんたは確か”特務支援課”に所属している警察犬の……!」

「”空の女神”の”眷属”――――”神狼”か。まさかお前さんが俺達の次の相手か?」

ツァイトを見てある事に気付いたサラ教官は目を見開き、トヴァルは真剣な表情で尋ねた。



「えっ!?」

「”空の女神の眷属”だと!?」

「左様。私の名はツァイト。かつて女神から人に贈られた大いなる”七の至宝(セプト=テリオン)”の一つ――――”幻の至宝”の行く末に在り続けた者だ。」

ツァイトの正体にエリスとユーシスが驚いている中ツァイトは静かな表情で答えた。

「!?お、狼が喋った~~~~っ!?」

「え、えっと……猫のセリーヌさんが喋っているのですから今更だと思うのですが……」

「フン、確かにその通りだな。―――それで俺達の次の相手は貴様か?」

ツァイトが喋った事に驚いているアリサにメサイアは苦笑しながら指摘し、ユーシスは厳しい表情でツァイトを見つめて問いかけた。



「うむ。”特務支援課”が解散するまでは警察犬として登録されている私も”特務支援課”の一員だからな。”六銃士”の一人―――”黄金の戦王”が出したお前達の相手を務めるという”支援要請”をロイド達が受けた為、私もお前達の相手を務める事となった。」

「!!じゃあ、俺達の他の”試練”の相手はロイドさん達なのですか!?」

「フゥ……まさかこんな形で特別模擬戦のリターンマッチをする事になるとはね。」

ツァイトの説明を聞いたリィンは驚き、サラ教官は疲れた表情で溜息を吐いた。



「というかお前さん、リベールであらわれた竜と同じ”眷属”なのに、俺達”人”の事情に関わっていいのかよ?」

「”幻の至宝”が失われた現在、私の本来の使命も既に終わっている。そして”零の至宝”を用いようとしたクロイス家との戦いも終わり、女神自身より”自由”を言い渡された故、”特務支援課”が解散するまでは彼らの仲間として在り続けるのが今の私の務めだ。」

「え、えっと……ツァイトさん、だったかしら?一つ聞きたいんだけどいいかしら?」

トヴァルの質問に答えたツァイトにアリサが遠慮気味な様子でツァイトを見つめて尋ねた。



「フム、言ってみるがよい。」

「えっと……女神様って昔から”女神”扱いされるのを嫌がったり、あんな自由奔放な性格をしていたのかしら?」

「ふふっ、そう言えばお前達も現代に降り立った女神と出会ったのであったな……―――答えは是だ。ゼムリアの窮地を救った際に人々から”空の女神”と称えられていた時は笑顔で対応していたが内心は相当嫌がっていたようでな。我らを含めた仲間達だけでした祝勝会では一体誰が”空の女神”という痛々しい名を思いついて自分に付けたのかという愚痴を言っていたな。それにあやつは普段は猫を被って女神らしい態度で人々と接していたが、我らのような親しい者達にはお前達に接したような気軽な態度で接していた。女神曰く自身が猫を被って人々と接している姿を”女神モード”と勝手に名づけていたがな。後は仲間達が下らない事で喧嘩をした際は”ロストオブエデンの刑”等高火力のアーツで黙らせたこともあったな。フフッ、仲間達からは”シリアスブレイカー”や”天然女神”に”KY女神”、他には”虹の悪魔”や”ゼムリアの魔王”等様々な変わった呼ばれ方をされたり、この世で絶対に怒らせてはならない人物として見られていた事もあったぞ。それと結婚を機に”女神モード”は疲れるからもう2度としないと言い、あやつの(つがい)や私を含めた仲間達に必死に止められて何とか踏みとどまってはいた事もあったな。」

アリサの質問に苦笑した後昔を懐かしむかのように静かな笑みを浮かべるツァイトの答えにリィン達は冷や汗をかいて脱力した。



「め、女神様が本当にそのような事を……?」

「そ、”空の女神”の名前が痛々しいって……」

「そのような事を思う”神”等間違いなく歴史上初でしょうね……」

「”実物”を知る身とすれば、その様子が目に浮かぶな。」

「ハァ……まさかそこまでハチャメチャな性格だったとはね……さすがはあのエステルとカシウスさんの先祖だけあって”色々な意味”でとんでもないわね。」

「七耀教会の信者や関係者達が聞けば全員卒倒しそうな内容だな。というか何だよ、女神が猫を被る”女神モード”とか、”女神”なのに”悪魔”や”魔王”に呼ばれるとか。」

「ううっ、知りたくなかった事実だわ……」

我に返ったエリスが信じられない表情をしている中、表情を引き攣らせているリィンの言葉に続くようにメサイアは苦笑し、ユーシスは呆れた表情で呟き、サラ教官やトヴァル、アリサは疲れた表情をしていた。



「さてと。お前達も急ぐ身。雑談はこのくらいにして、始めてもよいか?」

「!はい、お願いします………!」

そしてツァイトの言葉に表情を引き締めたリィンは仲間達と共に武器を構えた。するとその時ツァイトは咆哮を上げて光に包まれ、何と巨大な聖獣へと変化した!



「な―――――」

「げ、”幻獣”と対して変わらない大きさに………!」

「間違いなく、”蒼の深淵”が巨大化させたあの鳥より手強いわ!」

「ま、まさかこれが女神様の”眷属”である”神狼”の”真の姿”なのでしょうか……?」

「ええ、恐らくそうなのでしょう……!」

「女神の”眷属”だけあって凄まじい霊圧を放っていやがるぜ……!」

「………………」

ツァイトの真の姿を見た仲間達はそれぞれ驚いたり警戒している中、リィンは落ち着いた様子でツァイトを見つめ

「例え相手が誰であろうと、クロウ達を助ける為にも絶対に退けない!行くぞ、みんなっ!!」

やがて決意の表情で仲間達に号令をかけた!



「おおっ!!」

「来るがいい――――人の子達よ!」

そしてリィン達は”神狼”ツァイトとの戦闘を開始した! 
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